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小説:革命 (未完成)

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執筆中の小説「革命」をまとめたマガジンです。 気軽に読んでもらえると嬉しいです。
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記事一覧

小説(10):革命

小説(10):革命

僕は楽器を弾いたことが無い。
いや、リコーダーや鍵盤ハーモニカなら音楽の授業で弾いたことはあるが、自分から進んで楽器を弾いたことは無かった。
「いい音だな」
純粋にそう思った。
店内に流れるジャズ系の音楽に乗せて、即興だろうか、指がなめらかに弦を滑っていく。
あれくらい弾けるようになったら気持ちいいだろうなぁ。
そんなことを思ってぼーっと眺めていると、ふと顔を上げたお兄ちゃんの視線が僕にぶつかった

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小説(9):革命

小説(9):革命

歩いている途中である疑問が浮かんできた。
もしかして、和紀は齋藤さんに惚れてしまったのかもしれない。いや、絶対そうに決まってる。そうでもしなきゃ走るのが好きでもない和紀がいきなり陸上部に入るなんて言うはずがない。

「お前まさか齋藤さんに惚れたのか・・・・・・?」
和紀はニヤリと笑って
「教えねーよ。」と言った。

長年付き合ってきたからこそわかるが、和紀はウソをつくときに疑問に対してYESかNO

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小説(8):革命

小説(8):革命

運動場へ着くと、サッカー部や野球部が練習をしていた。
野球部はベースを回って走塁の練習、サッカー部はドリブル練習をしているところだった。
それぞれの練習場所の横には制服の生徒が四~五人ほど見学しており、恐らく彼らも僕らと同じようにいい感じの部活が無いか探しているのだろう。
僕らはまず野球部の見学の集団に交じり雰囲気を確かめることにした。

ベースを駆け回る野球部員は揃いも揃って小麦色に焼けた肌をし

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小説(7):革命

小説(7):革命

「齋藤さん陸上部に入るのかー。俺もそろそろ何か始めた方がいいのかなー。」
と一人呟く。
確かに僕の周りにも中学になって部活を始める人が増えてきているのは感じていた。
それに、放課後はたまには和紀と遊んだりするがそれ以外の日は家に帰るとテレビを見るか漫画を読むか最近親に買ってもらったゲームをするかの三択だ。
この時間のテレビ番組は大抵ニュースでつまらないし、漫画は台詞がそらんじられるほど読んでおり、

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小説(6):革命

小説(6):革命

授業が終わり、家への帰り道で彼女のことを思い出していた。
すると、
「おい涼、お前昼休みどこ行ってたんだよ。俺ら体育館でバスケしてたんだぞ」
といきなり話しかけられたので僕はビクッと驚いてしまった。
「え、そんなこと言ってたっけ?」
「朝言っただろー。お前がいなかったから俺ら人数少なくてキツかったんだからな。明日もやるから忘れんなよ」
そう横で話す彼は山下和紀(かずのり)である。
家が近いので小学

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小説(5):革命

小説(5):革命

彼女の教室に向かう廊下で僕は彼女がどのような人であるか色々と想像していた。

まさか裸眼ではないだろう。
眼鏡をかけているに違いない、僕は裸眼だが頭の良い奴の大抵は眼鏡と決まっている。
運動も少しはできるだろうか、勉強ばかりでは体に毒だ。
というかなんだあの苗字は、難しすぎないか、人生でずっとあの苗字を書き続けたら五日は普通の人より鉛筆を持つ時間が長くなるだろう。

そうこうしている間にD組の教室

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小説(4):革命

小説(4):革命

中学は、さほど小学校とは離れていない場所にある地元の学校へ進んだ。
都市部の頭の良い小学校六年生は中学受験をしてそれなりにレベルの高い学校へ進学するのだろうが、僕はしなかった。
なぜなら、中学受験という存在そのものを知らなかったからである。
おばあちゃんもさすがに中学から親の手を離れて暮らすのには無理があると判断したのだろうか、彼女同様、家族、先生、誰一人として中学受験を進める人はいなかった。

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小説(3):革命

小説(3):革命

小学生ながらこんな素っ頓狂な夢を語っているちょっとおかしな奴に果たして両手で数えるほど友達はいたのだろうか。

それが驚くことに両手では数え足りないほど多くいたのである。
その理由はいたって簡単で、おばあちゃんのおかげで僕の学業の成績が良かったからだ。
都会だったらそんなことは無かったのかもしれないが、僕の住んでいた地域は超がつくほどのド田舎である。
都会と田舎において親の教育に対する意識や教育に

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小説(2):革命

小説(2):革命

名探偵コナンがどんな漫画かという説明はもはや必要ないだろう。
おばあちゃんは大体2週に1回ほど本屋に連れて行ってくれ、その都度1巻の次は2巻、2巻の次は3巻というようにそれを1巻ずつ買ってくれた。
当時の僕は、どんな難事件であれ天性の頭脳で事件を解決に導く主人公、江戸川コナンにひどく憧れたものだった。
また、幼心もあってか、彼が所有する腕時計型麻酔銃や蝶ネクタイ型変声機、キック力増強シューズやター

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小説(1):革命

小説(1):革命

僕の小学校低学年の頃の夢は探偵になることだった。
周りがサッカー選手や野球選手、あるいはモデルや医者になりたいという中での僕の夢は、恐らく先生が目も当てられないほど完全に浮いていただろうが、当時の僕は、周りの皆の夢よりはよほど現実的な夢に違いないと考えていた。しかし、少し変わった少年であったことは間違いない。
これには僕のおばあちゃんが大きく関係している。

部活動やクラブ活動の何一つにも参加して

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