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わたしはずっと、長女だった。

実家から東京に帰る。1時間半、グリーン車に乗って。私以外に、乗客はいない。

シートを全開に倒して、飲むヨーグルトを飲みながら真っ暗になった外を眺める。だんだん、ビルが多くなって灯りも増えていく。

地元のゆるりとした空気感が大好きで、都会の忙しなさへ戻るのは惜しい気持ちになるけれど。それと同時に、帰り道にはいつも、夫と「ちゃんと安心して帰れる場所」を作れた自分たちに拍手喝采したくなるのである。

ちゃんと「帰りたくなる」家をつくれてよかった。家に帰りたくなくて、校門が閉まっても部室にいた高校生のわたしへ、希望を教えてあげたい。

今日は実家に顔を出しに行った。楽しくて久しぶりに会えてとてもよかったのだけど、半日経った頃には、家に帰りたくなる。

わたしの家は、もうここ実家ではなくて、夫が待ってる東京の家だ。わたしが100%安心して、ぐーたら私らしくいられる夫との関係に、実家へ帰るたびに感謝したくなる。

実家では、両親の関係があまりよくなく、母と父と妹、みんなを繋ぐ「長女」でいなければと思っていた。母はいちばんにわたしを頼りにしているし、しっかりしなければいけない。父と母がこれ以上ギスギスしないように仲をとりもって。母と妹が喧嘩した時は、どっちの話も聞いて。

わたしはずっと、長女だった。家族の潤滑油でなければならなかったし、暗くなりがちな我が家を明るく照らせる存在でありたかった。

いまはそんなことしなくてもいいのだけど。やっぱり実家に帰ると、母の話をうんうん、と聞き、両親のお互いを透明のように扱う様子に密かに傷つき、それを隠すように、明るく、笑わせる存在であろうとしてしまう。

それはすこし無理をしていて。ほんとの私はメンタルが激弱で自信なんてこれっぽちもない弱虫なのだ。両親が不仲であることに傷つき、人の話しを聞いて中立でいることしかできなくて、自分の考えがない子に育ってしまった。

そんなわたしが結婚をして家を出て、2年以上経つ。こうしなければ、と考えなくてもただ居るだけでいい。そんなふうに言ってくれた夫からもらったものは、数えきれない。

両親を見てて結婚が幸せなんて思ったことはなかったけれど、その深層心理を乗り越えて、いま幸せに暮らせていることは本当に幸運だと思う。

「長女」であるわたし、から解放されて前よりは幸せになれたと思う。だから、少し帰った時くらい、頑張れるよ。

そしてこれからも、「妻」「母」とか役割に縛られて苦しくなっちゃわないように。わたしを大事にしていきたい。

そんな、日曜日。



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