冥嘴

めいし、です。 映画を観がちなアラフォーL。元一次創作者/軽微な物書き。猛禽と烏が好き…

冥嘴

めいし、です。 映画を観がちなアラフォーL。元一次創作者/軽微な物書き。猛禽と烏が好き。文化人類学をかじっている。 好き:ホラー、デル・トロ監督、白石晃士監督、雨宮監督作品。嫌い:余命。 「細かすぎて伝わらない映画モノマネ」レパートリーに“ペイルレディの初動”があるヒョロガリ。

最近の記事

映画『サユリ』…近年最高のホラーエンタメ!(ネタバレ有感想・考察の長文)

7,8月と事前記事を書くくらいホラーが、特に日本含むアジアンホラーが熱かった2024年の夏。 個人的に最も楽しみにしていた作品がJホラーだった という事、更には この夏のベストホラーがJホラーであった 事は、近年のホラー映画体験ではもはや奇跡的だった。 Jホラー低迷期の今起こったこの奇跡は、現時点で私にとって “この監督というだけで無条件に絶対に観に行く唯一の邦画監督” である白石晃士監督の新作『サユリ』がもたらしてくれたものだ。 今回は、話題沸騰で上映館も増えつつある映画『

    • 映画『風が吹くとき』 ……リバイバル上映を記念し、今後も不朽の名作であり続ける事を祈って

      ※10年近く前に観た時も、先日サブスクに来た時再度観た時にも更に衝撃を受けており、8月のリバイバル上映に先立ってお友達と再鑑賞した時の記録。Filmarks投稿文に加筆修正 ※以下、映画『風が吹くとき』の内容・展開に触れる箇所があります。 ネタバレ有感想としてご注意下さい。 『スノーマン』のレイモンド・ブリッグスとデヴィッド・ボウイが製作に携わったアニメーション。 ポスターヴィジュアルのイラスト通り、絵本のように素朴でシンプルな描画で、 「日本の被爆後まもなく、イギリスに

      • 白石晃士監督 彼岸の家クラファン

        • 映画のストーリーに対して「モラルが無い」と憤る人とは合わないし、観客にモラルあるからこそ抱かせる感想とか、ゾーニング解決とか良い方へ考えてるけど、モラルがあろうと 「作品・宣伝・原作アリとして誠意がない」 が現在のビッグバジェット邦画と宣伝手法なんだね、という印象。まあ嫌いです。

        映画『サユリ』…近年最高のホラーエンタメ!(ネタバレ有感想・考察の長文)

        • 映画『風が吹くとき』 ……リバイバル上映を記念し、今後も不朽の名作であり続ける事を祈って

        • 白石晃士監督 彼岸の家クラファン

        • 映画のストーリーに対して「モラルが無い」と憤る人とは合わないし、観客にモラルあるからこそ抱かせる感想とか、ゾーニング解決とか良い方へ考えてるけど、モラルがあろうと 「作品・宣伝・原作アリとして誠意がない」 が現在のビッグバジェット邦画と宣伝手法なんだね、という印象。まあ嫌いです。

          2024年、アジアンホラーの夏が来た!!(備忘録8月編)

          先日noteにメモした7月の観たいホラー映画ですが、思いの外上映スケジュールがタイトすぎる『鎮魂歌』と『Kfc』にはこれを書いている7月25日現在観に行けていません。 『フンパヨン』『呪葬』『怨泊』『怪談晩餐』『あのコはだぁれ?』は予定通り鑑賞。 そんな中で、いよいよ8月まであと一週間を切ってしまいました。 8月も引き続きホラー映画が熱い!という事で、公開日と公式予告編をメモしていきます。8月はアジア以外のホラー多め。 前記事同様、何の情報も入れずに観たいよって方は、目次まで

          2024年、アジアンホラーの夏が来た!!(備忘録8月編)

          2024年、アジアンホラーの夏が来た!!(備忘録7月編)

          2024年も上半期が過ぎましたが皆様如何でしょう。 個人的には『オーメン・ザ・ファースト』の意味不明年齢レーティングと意味不明モザイクが悔やまれるばかりでした。 『インフィニティ・プール』や『みなに幸あれ』みたいな奇妙さ全開の作品にも『ナイトスイム』みたいな王道をしっかり見せてくれる作品にも出会えたので楽しかったです。 いよいよ7月、夏といえばホラーですが、今年の夏はとにかくアジアンホラーが目白押し。 個人的にホラーセンスが大好きなタイや台湾に加えて、ベトナムの激ヤバスプラ

          2024年、アジアンホラーの夏が来た!!(備忘録7月編)

          容赦なきパステルカラーの無残絵――映画『ユニコーン・ウォーズ』の話(ネタバレ無し感想・そのほか)

          映画として、映像作品として、今年ベスト級です。 全国で6館のみと少ない上映ですが、気になっていて観に行ける環境の方は絶対に足を運ぶことをオススメします! □『ユニコーン・ウォーズ』との出会いと、予想を裏切られた痛快な味わい 私が利用している「Filmarks」というアプリがある。 これにはClip!といって、自分の観たい作品の覚え書き的なメモを登録する事が出来るのだが、去年の夏頃だろうか、サムネイル無し・簡単な説明文(しかも“〜との事”といった不明瞭な概要)のみで「202

          容赦なきパステルカラーの無残絵――映画『ユニコーン・ウォーズ』の話(ネタバレ無し感想・そのほか)

          『TXQ FIXTION イシナガキクエを探しています』と“宙ぶらりんモキュメンタリーJホラー”の挑戦(ネタバレ有?考察と感想)

          ※数行しかないイシナガキクエ考察と感想だけ読んでくれる人は↓のリンクから。 ネタバレ、私個人の勝手な妄想に近い考察で出来ているので、ご理解の上お願いいたします。 ※そして、私は近年の日本のホラー映画に対し基本的に否定的・嫌いです。 そのあたりを織り交ぜての雑記になっておりますので、合わない方、近年の日本のホラーにお気に入りがある方、ネガティブな意見は目に入れたくない・受け入れられない方は回れ右が吉です。 ・「スプラッタ」や「心霊」といった“恐怖の種類” ・「アート」や「風

          『TXQ FIXTION イシナガキクエを探しています』と“宙ぶらりんモキュメンタリーJホラー”の挑戦(ネタバレ有?考察と感想)

          映画『陰陽師0』ーー“呪術ブーム”の中、敢えてこう描いた意図は?(ネタバレ有感想そのほか独り言)

          ※はじめに 私は民俗学・文化人類学をややかじっており、原作小説を途中までと、野村萬斎氏主演の映画、稲垣吾郎氏主演のNHK版を鑑賞済です。 そのため、呪術ありきの感想や原作との比較を含めての感想が含まれますのでご了承下さい。 フィルマークス投稿に加筆修正。 ※映画の全体的な見せ方や雰囲気、描き方に触れていますので、まだ観てない・前情報無しで観たいという方は閲覧をお控え下さい。 更に警告文を挟み、より映画の内容・描写に細かく言及するネタバレ有感想となります ■『陰陽師0』あら

          映画『陰陽師0』ーー“呪術ブーム”の中、敢えてこう描いた意図は?(ネタバレ有感想そのほか独り言)

          映画『変な家』を観たので個人的に一番好きな雨穴さん作品『怪』の話をする

          映画『変な家』、公開初日に観てきた。 平日午前でここまで満員に近いって滅多にないな、という観客の多さ、特に春休みだからであろう、若者、特に映画館の使い方をよく分かっていないような中高生くらいの集団が多かった。 私は原作者の雨穴(うけつ)さんのファンだ。 黒い布らしきものに全身を覆われ、顔には白い仮面、CV:他者 とされる女性か子供か、またそれ以外の何かかのような可愛らしい声の怪人物だが、うさぎと和菓子がお好きらしい。 YouTubeチャンネルのヘッダーが後ろ向きのうさぎなの

          映画『変な家』を観たので個人的に一番好きな雨穴さん作品『怪』の話をする

          『君たちはどう生きるか』の感触と雑談

          ※アニメとスタジオジブリ作品が苦手な私が『君たちはどう生きるか』を二回鑑賞した走り書き。 始めに言っておくと、考察がどうとか、私は宮﨑監督のメッセージが汲み取れたとか、そういう文ではないです。 フィルマークス投稿文に加筆修正。 作品のあらすじや内容に触れての記述があります。ネタバレ注意! 戦災に傷つき、親族や学校といった環境に馴染めぬ少年。 庭の禁足地の秘密、そこへ誘う一羽の“アオサギ”…… 始めに書いてしまうと、私はアニメ(アニメーション技法としてではなく俗語的に「ア

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          映画『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司』の語る妄想に驚いた話

          『クレヨンしんちゃん』の映画が大人からも凄まじい支持を受けている、とは聞いていた。 一応子供の頃にはクレヨンしんちゃんが人気だった世代ではあるが、私が唯一観たことのある映画の『しんちゃん』は『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ アッパレ! 戦国大合戦』だけであり、しかも観たのは30過ぎてからだ。 この作品は、『しんちゃん』がPTAに敵視され子供達の支持を得続けた“コミカルで下らない笑いや言葉遊び的なギャグ”をしっかり踏襲しつつ、子供向けとは思えないハードなシナリオで、子供だけでなく

          映画『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司』の語る妄想に驚いた話

          アニメーション『カクレンボ』ーー子供達は、美しくおぞましい闇を駆ける

          U-NEXTを物色していたら、ふと不思議な絵柄のサムネイルが目にとまった。 『カクレンボ』。 たった25分のアニメーション映画だ。 狐面をつけた八人の子供達。 その装いは和風にも、アジアの他国の様相にも見える。 普段アニメーションを観ない(苦手)な私だったが、この独特の雰囲気と、始業までの30分で観られる短さに惹かれて、恐る恐る再生してみた。 ※簡単な冒頭のあらすじを書いた後、警告文を挟んでネタバレありの考察・感想となります ■あらすじ 「鬼が出る」と噂される町。 暗

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          怪奇の時間、狂気の主観!映画『ボーはおそれている』の話(ネタバレ有感想・考察)

          私は一体、何を見せられているんだ? 個人的にこう感じる映画体験はそれほど少ないわけでもない(B級~Z級を練り歩いてるとまあ日常茶飯事)。 しかし全国規模の公開作品で、しかも三時間に渡りこう感じ続けたのは生まれて初めてではないだろうか。 映画『ボーはおそれている(原題:Beau Is Afraid)』。 最凶最悪のストーリーが観る者を苛む『ヘレディタリー 継承』、そして雰囲気と展開のあまりのギャップから注目を集め、更には半ば面白半分の悪趣味ブーム的にミーム化した『ミッドサマー

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          怪作!映画『みなに幸あれ』……荒削りだからこそ尾を引く猛毒(微ネタバレ考察・感想)

          節分も終わればもうじき三月三日、いわゆるひな祭りですが、雛人形が元々どういうものだったか知っていますか? 知らないの? あなた、頭の中がお花畑なのね。 ……なんて言葉を突然かけられたら、あなたはどう思うだろうか。 いや、何でもない。映画の話をしよう。 角川ホラー大賞を受賞した短編を長編化した映画『みなに幸あれ』を観てきた。 予告編の段階から異質な怖さ不気味さを放っていた本作、やはりとも、意外だとも思ったが『エクソシスト』や『リング』のような万人ウケするホラーエンタメではな

          怪作!映画『みなに幸あれ』……荒削りだからこそ尾を引く猛毒(微ネタバレ考察・感想)

          「大手Jホラー疲れ」の話とそこから解き放ってくれたクセ強2023年Jホラーの話

          いきなりこんな事を書いて良くないとは思うんだけど、ここ数年、“ホラー映画好き”としてはJホラーを追うのはほぼ惰性じゃないですか? 私はそうです。 日本のホラー映画のメインストリームが時代とともに変わったのを受け入れられず、その諦めの悪さで未練がましく『女優霊』から『呪怨』初期4作の頃の雰囲気をひたすら懐古して 「今年のJホラーも観てみよう、面白いかも知れないし」 とか 「この監督だからワンチャン昔みたいな雰囲気の作品かも!」 とか、(どれだけつまらねえか観てやるぜ、ではなく

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