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真夜中野マヤ
2023年7月10日 22:36
角 冴子、まもなく古稀である。そこそこ裕福な家に生まれた。同世代の友人には怒られるが、オイルショックもバブルもあまりぴんと来ない。ぴんと来ないまま終わった感が否めない。いつもそうだ。若い頃から流行りのファッションもうまく取り入れられなかったし、結婚もいずれするだろうと呑気に構えていたら、いつのまにか結構な年齢になってしまい、子供の顔どころか花嫁姿さえ見せられないまま、両親は旅立ってしまった。
2023年7月10日 21:41
ヨシくんとは別々のクラスだったけれど、家が近かったのでよく遊んだ。ヨシくんは背が低く色黒で、にかりと笑うとすきっ歯の白い歯が、墓石みたいに並んでいた。短く刈り込んだ頭は絶壁で、その平らな後頭部を手のひらでするりするりと撫でると校庭の人工芝みたいで気持ちよく、わたしはことあるごとにヨシくんの後頭部を撫でていた。そのたびにヨシくんは「よせやい」とわたしの手をくすぐったそうに振りほどいた。雪深いふる