だれかの人生を切りとったものに。
今日は、noteでとても嬉しいことがありました。
嬉しいというか、誇らしいというか、おそれ多いというか。
今月の頭から掲載をスタートされていた篭田さんの小説「雀と鉄輪」。
今日掲載された、その最終回のヘッダー写真に、ぼくの写真をつかっていただいたのです。
全17回の、最終回。
ぼくのレビューが作品のすばらしさを損なわずに伝えられるか、すこし自信がありません。
もちろん迷わず篭田さんのところへ飛んでいってほしい。
でも、まったくお話の想像がつかない方もいらっしゃると思うので、ごく簡潔にお話の内容を書いておきます(完全にぼくの言葉ですのでもし間違いがありましたらご指摘ください)。
印刷会社に勤める下半身完全麻痺の車いす使用者、涼。同僚の奈美は、中途で入社して一年余り。他部署で働く彼らは社内でかかわることはほとんどなかったけれど、ある日の昼休憩、涼は駐車場の隅にある物置の陰に、窮屈そうに身をかがめている奈美の姿を見た。それも一度ではない。何日もつづけて。携帯電話に視線を落とすその表情はとても寂しげで、涼は思わず奈美に声をかけた。そこからはじまった、二人の交流。
障害、葛藤、辛く暗い過去。
それらが織り交ざった、切なくて苦しい物語。
もう一度書きますが、ぜひすこしずつでも時間をとって、篭田さんのページを訪れてほしいと思います。
17話すべてが収録されたマガジンのリンクも下に貼っておきます。
最終話、先ほど読ませていただきました。
外を歩いていたのですが、しっかり立ち止まって読みました。
涙が浮かびました。
写真どうこう、関係なく。
プロフィールをご覧いただければお分かりになると思いますが、篭田さんはご自身も下半身に障害を抱えられていて、車いすで生活をされているそうです。
フォローをさせていただいてからそこまで時間が経っていませんし、もちろん実際にお会いしたこともありませんので、それが篭田さんの人生にとってどれだけの負担を強いていた、そして今も強いているものなのか、ぼくには想像も及びませんし、軽々しく労りの言葉をかけることができるものでもありません。
しかしながらおそらくは、この物語の中、主人公である涼の心境や葛藤には、ご自身の体験も多く投影されていたことと思います。
車いすを使用した目線からの描写も、ふだん自分の視野でしか物ごとを見ることをしていないぼくには到底気づけるものではなく、自分の視野の狭さを感じさせられました。
いち小説として、面白かった。
そんな感想では終えてしまうことのできない物語の重さと、弱々しくも確かな絆の清々しさ。
すこしでも多くの人の目に触れてほしい。
そう思って、今日のnoteを書かせていただきました。
篭田さん
苦しい苦しい物語でした。
最終話、とても感動しました。
篭田さんの生活や体調について、上にも書きましたが、ご苦労はぼくの想像の及ぶところではないのだと思います。
こうしてぼくのところでこの内容を一つの記事にして公開するということに迷いもありましたが、それでも素直な感想をほかのみなさんにお届けしたい、ぜひ足を運んでほしいと思い、このようなnoteを書かせていただきました。
行き届かない部分がありましたら、申し訳ありません。
素敵な体験をさせていただきました。
ほんとうに、ありがとうございます。
これからも、よろしくお願いします。
<おわりに>
改めてぼくも、自分の撮ったものがだれかの物語に彩りを添えることができたことを、うれしく、ありがたく思います。
日々こうして提供したものをつかっていただいていますが、一つひとつのnoteに込められた作者の方の思いや考え、そういったものに深く触れることができる喜びは、自分で書くということとはまた違う、とても貴重な経験となります。
だれかの人生を切りとったものに、自分が関わるかもしれない。
もちろん写真は気軽につかっていただきたいですが、ぼくもそんな可能性に耐えることのできるものを、しっかり選んで提供していかなければならないなと、改めて思いました。
今日も、みなさんに感謝です。
いつもありがとうございます。
それでは、また。
いただいたサポートは、ほかの方へのサポートやここで表現できることのためにつかわせていただきます。感謝と敬意の善き循環が、ぼくの目標です。