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『竜とそばかすの姫』はなぜ思ってたより○○だったのか

細田守監督の『竜とそばかすの姫』を観た。公開当時も劇場まで観に行ったから、今回で2回目だ。

今でも観た直後の感想を覚えている。「思ってたより重めの内容だった……」だ。

『サマーウォーズ』のような楽しい感じを想像していたら、映画の後半で暴力や怒声といった虐待のシーンが出てきて「おぉ、こういう展開なんだ……」とたじろいだ。

しかし、細田守監督は家族をテーマにした作品が多いし、子どもの虐待を取り上げても不思議じゃない。

『サマーウォーズ』のようなエンタメ性を求めていた以外にも、理由があるはずだと思った。なぜ、思ってたより重いと感じたのだろうか。

“竜の正体探し”から一転

劇中の大半で描かれるのが、「竜の正体はいったい誰?」という大きな謎だ。

世界各国の疑わしい人たちが出てきたり、すずの同級生たちが出てきたり。「もしかしてこの人が竜かも」と思わせる描写が散りばめられている。

すずの父親もあやしいし、しのぶも……。僕はすっかり「この中のだれが竜なんだろう?」とすずの周りの登場人物の中に竜のオリジンがいると思い込んで推理していた。

それは乱暴で荒々しい竜がベルを守るなど、竜のオリジンが実はやさしい人物だと分かるから。

だから、すずの身近にいるやさしくてすずを気にかけている人物たちがあやしく見える。ベルがいる「U」の世界とすずのいる現実世界がかさなるのだ。

現実的に考えたら、ベルと竜のオリジンがすぐ近くで生活しているなんてめちゃくちゃ低い確率だ。

ただ、アニメだしありえるというフィクションのパワーがある。『美女と野獣』を連想させる城でのファンタジーでロマンチックなシーンが、現実感をうすれさせているのもあるだろう。

ジャスティンが執拗にベルや竜をアンベイルしようとして正体を暴こうとするのも、観客が『竜とそばかすの姫』において正体探しが核心だと感じる理由だと思う。

正体探しも本作の重要な要素だが、物語は一転。後半では現実ですずとはまったくかかわりのない虐待されている子ども・けいくんがオリジンだと分かる。

そして終盤、竜の正体探しからけいくんを助け出すターンに入るのだ。

竜の正体がだれかあきらかになることが作品の見どころだと思って観ていたら、虐待されているけいくんを救い出せるかどうかというふうに流れがガラッと変わった。

これが、『竜とそばかすの姫』が想像と違ったと感じた理由だと思う。


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