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なぜあの管理者は評価されるのか?介護事業所に求められる全体最適の思考法


1. はじめに

介護事業所の管理者として評価されるためには、いくつかの重要なポイントがありますが、その中でも特に重要なのが「全体最適」の考え方です。

「部分最適」「全体最適」という言葉をご存じでしょうか?

簡単に言うと、「部分最適」は自分の事業所だけにとって良い結果を追い求める考え方です。
一方で、「全体最適」は、法人全体の利益や地域社会への貢献も視野に入れて事業所を運営する考え方を指します。

管理者として「部分最適」だけを追求することは一見正しいように思えます。
たとえば、自分の事業所の売上や職員のモチベーションを高めるために、法人全体の方針とは異なる独自の運営をすることがあるかもしれません。
しかし、それが他の事業所や法人全体にマイナスの影響を及ぼす場合、最終的には組織全体の成長を妨げることになります。

「木を見て森を見ず」という言葉をご存じでしょうか?
これがまさに部分最適の考え方です。

一部の木だけを見て、森全体を見ないと、

そこで求められるのが「全体最適」の考え方です。
法人内の他の事業所や関連機関と協力し、たとえ自事業所にとって一時的な不利益があっても、法人全体にプラスになるのであればそれを選ぶ姿勢が重要です。
この視点を持つことで、事業所だけでなく法人全体の成長や地域社会への貢献を実現できる管理者として評価されるのです。


2. 全体最適とは何か?

「全体最適」とは、個々の事業所の利益だけを追求するのではなく、法人全体やその関連事業所の利益、さらにその先の地域社会全体の利益まで考慮した運営をすることです。

自分の事業所の目標達成だけにとらわれず、法人全体として何を目指すべきか、そしてそのために自分の事業所がどのように貢献できるかを考えます。

自事業所にとって不利益でも、法人全体にとってのプラスを選ぶ

ときには、自事業所の運営にとって一時的な不利益を受け入れる必要がある場面もあります。

たとえば、人員が不足している他の事業所に自事業所の職員を一時的に派遣するケースや、自分の事業所の予算を一部削減して法人全体の経営を支えるケースがそれに当たります。

このような判断は、その瞬間だけ見れば自事業所の不利益につながるかもしれませんが、法人全体が強くなることで結果的に自事業所にも利益が還元されるのです。

全体最適の判断が組織を強くする

全体最適の考え方が浸透した法人は、各事業所が孤立することなく協力し合うため、組織としての強さが生まれます。

たとえば、複数の事業所が連携してサービスを提供できる体制が整えば、利用者にとってもスムーズな支援が受けられ、法人全体の信頼度も向上します。

また、法人全体の財政や人材を柔軟に活用することができれば、経営の安定性も高まります。

このように、全体最適の視点を持つことは、法人全体の持続的な成長に不可欠な要素なのです。


3. 視野を広く持つことの重要性

全体最適を実現するためには、管理者として「広い視野」を持つことが欠かせません。
目の前の仕事に集中することは大切ですが、自事業所だけの利益や運営に固執してしまうと、他の事業所や法人全体との協力が難しくなります。

それだけでなく、法人が存在する地域社会全体のニーズに目を向けなければ、社会の変化に対応できない事業所になってしまう可能性もあります。

そのため、広い視野で物事を捉え、自分の事業所が法人全体や地域社会の中でどのような役割を果たしているのかを常に考えることが重要です。

法人内の協力体制を築くための視点

自事業所だけでなく、法人全体で連携できる管理者になるためには、他の事業所がどのような課題を抱え、どんなサポートを必要としているかを理解する姿勢が求められます。

たとえば、職員や予算の調整、事業所間の情報共有の促進など、法人全体での連携をスムーズにするための工夫が必要です。

「自分たちだけが頑張れば良い」という考えではなく、「みんなで支え合う」という考え方を持つことで、協力体制が強化されます。

地域全体の中での役割を意識する

また、事業所の運営を「地域社会全体の一部」として捉える視点も欠かせません。
地域の住民や行政機関、他の福祉施設などと積極的に連携し、自事業所が地域の中でどのような役割を果たすべきかを考えることが大切です。

地域社会から信頼される事業所は、法人全体の評価にもつながり、ひいては経営の安定にも貢献します。

利用者のためだけでなく、地域全体の福祉向上のために活動する姿勢を持つことが、長期的な発展につながるのです。


4. 視野を広げるための具体的な方法

広い視野を持つためには、普段の業務の中で意識的に行動することが必要です。
以下に、いくつか具体的な方法をあげました。
これらを参考にしていただき、日々実践することで、法人全体や地域社会を見据えた運営ができる管理者へと成長していけるはずです。

1. 他の事業所の運営状況や課題を知る

まず、自分の事業所だけでなく、法人内の他の事業所の状況や抱えている課題を知ることが重要です。
定期的なミーティングや事業所間の情報共有の場を活用し、お互いの強みと弱みを理解することで、具体的な協力体制を築くことができます。
たとえば、「この事業所のノウハウを自分たちにも取り入れよう」「ここの課題には自分の事業所から支援を出せるかもしれない」といった発想が生まれます。

2. 法人全体の方針や経営戦略を理解する

自事業所の運営だけでなく、法人全体のビジョンや経営戦略を理解することも大切です。
経営層が掲げる方針を正確に把握することで、「自分の事業所で何を優先すべきか」を見極めることができます。
自事業所が法人の全体像のどの部分を担うのかが明確になると、より効果的な運営が可能になります。

3. 地域のネットワークや行政と連携する

地域のネットワークに積極的に参加し、行政や他の福祉施設との関係を深めることも、視野を広げる上で効果的です。
地域包括支援センターや自治体主催の会議や研修会に参加することで、地域のニーズや課題が見えてきます。
また、地域社会との連携が深まることで、法人全体の信頼度が向上し、利用者や家族にとっても安心感を与えることができます。

4. 業界のトレンドや社会の動向を把握する

介護業界は、社会の高齢化や法律の改正など、絶えず変化しています。
そのため、業界の最新の動向を把握することも、管理者としての視野を広げる手助けになります。
介護関連のセミナーや研修会に参加し、新しい知識を得たり、他法人の取り組みを学んだりすることで、自事業所の運営にも活かせるアイデアを得られます。
また、時には他業種から学ぶ姿勢も必要です。異なる視点を取り入れることで、新たなサービスや運営のヒントが見つかるかもしれません。


5. おわりに

全体最適の視点で事業所運営を行う管理者は、法人内外から高く評価されます。

自事業所だけの利益を追い求めるのではなく、法人全体や地域社会との連携を重視することで、利用者や職員にとっても「信頼される事業所」を築くことができるからです。

また、法人全体の利益を優先した判断が結果的に自事業所の成長にもつながることを、長期的な視点で理解していることが求められます。

全体最適で考えられる管理者がもたらす価値

全体最適を意識した運営は、各事業所の孤立を防ぎ、組織全体の結束力を高めます。
こうした協力体制の中では、人材や予算の有効活用が可能となり、緊急時の対応力も向上します。

たとえば、急な人員不足が生じた際にも、法人全体で助け合うことでスムーズに乗り越えられます。

また、法人全体で目標を共有し、全員が同じ方向に向かうことで、利用者へのサービス品質が向上し、地域社会からの信頼も深まります。

部分最適の限界

一方、部分最適にこだわり続けると、組織全体としての成長が滞るリスクがあります。
自事業所の利益だけを最優先して他の事業所との協力を拒んでしまうと、結果的に法人全体の弱体化を招く可能性があります。

たとえ一時的に自事業所の売上や評判が向上したとしても、法人全体が不安定になれば、自事業所の運営にも悪影響が及びます。

組織の中で評価される管理者とは、目の前の課題に素早く対応するだけでなく、法人全体と地域社会を見据えた大きな視点を持ち、全体最適の判断ができる人物です。

そのような管理者の存在は、組織全体の強さを引き出し、利用者にも地域社会にも信頼される事業所運営を実現します。
ぜひ、広い視野をもって事業所運営をしていくようにしましょう!


ここまでお読みいただき、どうもありがとうございました!

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《このnoteを書いた人》
ひろ/介護事業経営者/理学療法士/介護支援専門員
・病院で80人の部下を抱える管理職⇒介護で起業⇒7事業立ち上げ⇒経営11年目
・仕事効率化、知的生産、ビジネス書、文房具、ガジェットの話題が大好き
X(旧Twitter)で介護事業の運営・マネジメント・リーダーシップについて発信
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