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ラッキーと、悪魔くん

移民国家カナダには、本名のほかに通名としての英語名を持っている人たちも多い。名乗った際にいちいち聞き返されるのも面倒だし、英語名の方が覚えてもらいやすいという事情もある。

知り合いのインド人は、英語名をLuckyにしていた。みなが彼をラッキーと呼んでいた。言霊を信じている私にとって、その光景はとても好ましいものに見えた。一方でだいぶ前の話になるが、悪魔ちゃんと名付けられた赤ちゃんがいて話題になった(その後は「亜駆」と改名されたらしい)。

毎日毎日呼ばれる自分の名前。自分の代名詞ともなる記号。数十年にわたってラッキーと呼ばれるか(仮に)悪魔くんと呼ばれるか、その差は大きいと思うのだ。

量子力学は、全ての物は「波」の性質を持っていると説く。ポジティブな波動を受け続けるか、ネガティブな波動を受け続けるかは、目に見えずとも、本人にも周りにも多大なる影響を及ぼしているのではないか。

「悪魔」ほど世間的に受け入れ難い言葉でなくても、否定的な波動を持つ言葉はたくさんある。例えば「クズ」や「カス」。面白おかしく自分のことをそう呼ぶ人たちも目にするが、正直もったいないと思う。もちろん、自分を貶めることで何らかの利益を得るという目的を達するためにやっている場合もあるので、外野がなんのかんの言うことではないのかもしれないが。

特に自分をあらわす形容詞には十分な注意を払いたい。なぜならネガティブな形容詞はネガティブな波動を発し、ネガティブな波動はさらにネガティブなものを引き寄せるからである。どうせなら少しでもポジティブな波動をまとっていたい。そこで役に立つのが「リフレイミング」である。

「リフレイミング」とは、自由な思考や行動を縛る思い込みや意味づけを 言い換えることによって新たな視点を獲得する方法である。

「あなたは落ち込みやすいね」と言われるより「あなたは感受性が豊かだね」と言われる方が、自分を肯定されている気がしないだろうか。「あなたは飽きっぽいね」と言われるより「あなたは好奇心旺盛なんだね」と言われる方が気分が良くはないだろうか。

同様に「頑固」→「意志が強い」、「やかましい」→「エネルギー溢れる」、「臆病」→「注意深い」、「空気が読めない」→ 「我が道を行く」「独立独歩」などと言い換えることもできる。

「リフレイミング」の活用によって自分や他人に対する新しい視点が得られ、しかもポジティブな波動を身にまとうことができるとなれば、一石二鳥、使わない手はない。


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