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「雨が好き」な女性にはなれなかった(「20代で得た知見」を読んで)

好きな天気は何?って、幼い時によく質問し合ってた時があって、
今考えれば「どんな質問だよ」と思うんだけど、小さい時、割とわたしの回りでは自己紹介的な時に使われる質問だった。
好きな天気って何だ。天気に好きも嫌いもないだろうって思う冷めた子どもだったけれど、一応「晴れかなぁ」なんて答えていた。

だいたいの子どもは「晴れ」と言っていたんだが、
ごく一部のとっても美人で儚い感じの子は「雨がすき」「雨音を聞くのがすき」てな事を言っていて、「ほんとか?でもなんかおしゃれ…」と思ったもんである。
でも大人になって、真夜中にベッドで横になり、部屋を暗くして自分の感覚が音に研ぎ澄まされる時に、サーッという雨の音、屋根から落ちるトントントン、という大きな雨音が落ちていく音を聞いて、「なんだかとってもいいなあ」と思った。でも、だいたい夜は爆睡していて、幼い頃にはその美しさには気づけなかった。

加えて、一昨年に彼氏と紅葉に行った時に雨が降っていて
私はその日に紅葉に行くことをとても楽しみにしていたので、待ち合わせの時に「雨が降っているからどうする?」と彼氏に言われたものの、絶対に行きたい、と強行。

結局傘で紅葉は見にくいし、靴は汚れるしで楽しさ半減。私も不機嫌になり笑、「そう考えると雨の日のデートってあんまりなかったな。こんなに面倒なんだ」と思って、その日、彼氏と「雨の日で遊ぶときは家にいよう」と確認し合った。大人になっても、「雨がすき」という次元には到達できそうにない。

ものすごく人気になっていたけれども、なかなか手にとってこなかった
「20代で得た知見」を読んだ。読んだ感想としては
「雨が好き」と言うタイプの人が書いているんだろうな、という事だった。一応言っておくと、否定ではなくて、ただの感想です。


いやまあ、そういう本だということは分かるのだが、私には美しすぎた。
読む中で常に、もう一人の私が「こんな美しいことを思うのか?」と問いかけてきて、結局最後まで集中できなかったのだ。
疑いはしないのだが、エピソードの中には、「こ、こんなことが本当にあり、こういう事を思ったのか?」と感じてしまうこともあった。まあ、わたしの感性が汚れているんでしょうね。

「確かに」と思う言葉ももちろん沢山あって、
それが美しく、綺麗につづられた言葉を沢山あびることができる。

「雨が好き」と言える感性を持つ人だとどれもすんなりハマるんだろうけれど、私はきっと、その半分くらいしか刺さっていなくて。

でも、きっと真夜中の夜の雨の音が心からいいな、と思えた時があったように、そのときが来たら、きっとさらに、しみじみ刺さるのだと思う。
その時を楽しみに、また日々を過ごしていこうと思います。


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