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外資系大企業から日系スタートアップへの転職

日系スタートアップのキャディに転職しました。
図面SaaS新プロダクトの 1人目のカスタマーサクセスとして、立ち上げを担当する予定です。

これまでに3社を経験しましたが、すべて外資系の大企業。スタートアップに転職する決断に至るまで、それはもう悩みました。子ども達を育てるなかで、年収が下方修正になるので「自分だけではなく家族にも少なからず影響を与えるのでは…」という、漠然とした不安もありました。普段の仕事では即断・即決・即行動を信条に、インスピレーションで動くことも多々ありますが、さすがに今回は熟考を重ねました。

そこでこの記事では、なぜ日系スタートアップへの転職を決断できたのか、熟考したポイントに沿って振り返ります。

「転職は縁とタイミング」とはよく言ったもので、判断基準も人それぞれだと思いますが、

  • VUCA時代にどんなキャリアを築くべきか、考え中

  • 最近、成長が鈍化してきたように感じる

  • スタートアップへの転職を考えているけど、あと一歩が踏み出せない

ような方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。

①よくある失敗パターンに『当てはまらない』と思えた

転職にあたり、考えうる様々なソースに当たりました。信頼している知人友人・家族・書籍・ネット記事などなど。その結果見えてきたのは、転職失敗の原因は、スタートアップ企業側・応募者側、それぞれに潜んでいるようだ、という事です。

失敗例: 中途採用しか行っていない=人材の未来への投資というスタンスが足りない(企業側)

こちらの記事を読んだときに、あるものを思い出しました。

無条件に「新卒は採りません」と掲げている企業は、人材の見方に対するバイアスが強いこともある。だから、そうした会社は、人材に対する見方に柔軟性がない可能性が高く、入社してもミスマッチが起こりやすいと思います。

「良い」企業は、中長期的に、人の未来に投資しようとするスタンスを持っていることが多いですよね。
短期的な頭数合わせではなく、将来的に中核を担ってくれる人材を、時間をかけて育てていく。そうしたスタートアップの方が、転職者さんのことも大切にしてくれる可能性が高いです。

スタートアップ転職、よくある失敗7パターン──冬の時代に突入?その前に押さえたい勘所

それは、キャディの人事評価制度『HELIX』です。

入社した今となっては手前味噌ですが、この制度、読めば読むほど素晴らしい。

人事評価制度は、単純に評価を決める機能だけでなく「人材を育成するエンジンであるべき」という思想のもと、ミッショングレード×評価軸のマトリクスになっており、それぞれの要件が明記されています。
勿論、非連続な目標を掲げようというポリシーも盛り込まれていますが、最も特徴的なのは、フィードバック(FB)の精度にあります。

自己レビュー・上長レビューに加えて、各部門のマネジャーが集まって評価のCalibrationを必ず実施します。そこで多様な目からみた評価をすり合わせることで、評価の納得度を高め、1人ひとりの成長を促す為のフィードバックをできる限り集めてその精度を高めます。更にこのHELIXは永遠のβ版という位置付けでこれまで試行錯誤しながらよりよい方法を模索しながら様々なチューニングを繰り返しています。
こういう仕掛けによって、個々の成長と成果創出を支援することで、非連続を生む環境を作ってきました。

キャディの組織のこれまでの歩みとこれから|Shin Hara|原 申

新卒からベテランまで全員平等に同じ基準で評価する。「あなたの現在地はここ。ここは優れているけど、ここが足りない。〇〇や✗✗をもっと頑張れば次に行ける」と明確に伝えてもらえる、という制度です。すごく良く練られていて、本当の意味での成長が期待できそう、と感じました。周りも自分もこの制度でぐんぐん成長していく。その先にはどんな未来が待っているのか…?と、とてもワクワクしています。

※エンジニア職のHELIXについて詳細はこちら

失敗例: 経歴を高く買ってしまう(企業側)

これは公開するか悩みましたが、大事な点なので思い切って書きます。

実は私、2年前にもキャディの選考を受けていたのです。当時の最終ワークサンプル(体験版の会議ディスカッション)の感想は、正直、『ディスカッション自体は楽しかったし、面接官の方々も素晴らしかったけど、自分でうまくやるイメージが描けないな……』でした(汗)そして当然ながらオファーには至りませんでした。

もともと「マーケティングまたはカスタマーサクセスの専門性を高めたい」と考えており、それぞれの職種を検討していましたが、幸運にも『カスタマーマーケティング』という両方を経験できるポジションとご縁があり、このような成果を出すことができました。

もしもキャディが「とにかく人が足りないから若干の違和感を感じつつも来てもらおう」という決断をする、いわゆる経歴を高く買いすぎるスタートアップで、私もそれに乗ってしまっていたら、お互いに不幸な未来が待っていたかもしれせん。

そして後日、キャディのステージが上がった段階で改めてお声がけを頂き、2度目の最終ワークサンプルを体験しました。その内容は「この仕事をやってみたい!」と強く思えるものでした。

この経緯から、経歴ではなくちゃんと中身を見てもらえているな、という手応えがありました。

以上の背景から、『企業側の失敗例には当てはまらなそう』と思えました。

一方で、自分自身の失敗要素はどうでしょうか?

失敗例: 大手企業での成功体験を、そのまま活かそうとする(応募者側)

大企業での成功体験は、スタートアップでは当てはまらない

(アタリマエのことですが・・・)

これ、頭ではわかっていても、実行するのはなかなか難しいと思うのです。

いつもTwitterで子育て&マネジメントに役立つ情報を発信されている、研究者の篠原 信 先生@shinshinohara が、以前このような興味深いツイートをされていました。

「すいえんさー」というNHK教育番組での、一流大学生とアイドルグループの対決に関する考察です。知識の豊富な一流大学生が、知識のないアイドルグループの「すイエんサーガール」に、頭を使う競技で敗北してしまったというエピソード。大学生の敗北理由は、『知識に頼りすぎたこと』と篠原先生は分析されています。

「大学生」を「大企業からの転職者」に当てはめた状況、よくありそうですよね。

では、過去の成功体験にしがみつかず、ゼロベースで課題解決する思考になるにはどうしたらいいか? 

当面の対策として、常に頭に以下のフレーズをリフレインする事としました。

まずは「お客様」のことを、しっかり見る。話はそれからだ

(肝に銘じてます。もし忘れてる時があったらツッコミおねがいします>キャディの皆様)

失敗例: 自分のキャリア指針とマッチしていない(応募者側)

「キャリア指針とマッチしているか?」についても、よくよく考えました。

志村転職先のスタートアップが成長していたとしても、ただそこにジョインしただけでは、ビジネスパーソンとしての希少性は高まりません。“ワンオブゼム”になったら、埋もれてしまうだけ。

ジョインした後に成果を出し、信頼を得て、担う役割や付与される裁量を拡げていくことが重要です。会社の成長にどれだけインパクトを与えられそうなのか、しっかりと検討する必要があります。

伊藤「とにかく伸びている企業だから」と転職する人は、ただ“勝ち馬”に乗っているだけで、キャリアの指針が定まっていない。あるいは、キラキラとしたスタートアップに入ろうとしているだけのこともあるでしょう。

残念ながら、そういった“ファッション思考”で転職して、その人ならではの成果を出せている人は、私が知る限りほとんどいません。

スタートアップ転職、よくある失敗7パターン──冬の時代に突入?その前に押さえたい勘所

今回の個人的な転職指針は「俯瞰力を高めて、ビジネスストラテジーが描ける人材になる」です。グローバル2000兆円市場に切り込むプラットフォーム戦略を描き続けるキャデイでしっかりと仕事をしていけば、まず間違いなく実現できるのでは、と考えています。

※なお、前回の転職で重視した「専門性を深める」という点は、今はあまり気にしていません。もしもカスタマーサクセスやマーケティング以外の職種にアサインされても、自分の能力が最大限活かせて会社の事業に貢献できるのであれば、今なら「はい、喜んでー」と受け入れられると思います。真剣に「狭く深く」をやってみたからこそ、以前やっていた「広く浅くなんでも」の価値や面白さが分かりました。

② 最大のリスクはなにか?を考えた

ここまでで、「どうやら失敗パターンには当てはまらなそうだぞ」と思えましたが、まだまだ決断には至りません。そこで、続いて、「自分にとって一番のリスク要素は何か?」を考えました。

最終的に絞ったのは次の2点、「成長できないこと」と「健康を害すこと」です。

成長については、前述の評価制度HELIXがあること、失敗パターンに当てはまっていないだろうと思われる根拠から、おそらく大丈夫かなと思えました。少し心配だったのは「健康」です。夢中になると寝食を忘れるタイプなので、一抹の不安が頭をよぎります。

「仕事にのめり込みすぎて、体壊したらどうする・・・?」

と、ぼそっと夫に聞いてみました。すると当然のように

「壊す前に辞めればいいじゃん」

との答えが。「あ、何だそんなことか」と拍子抜けしましたが、悩んでいる渦中には全く浮かばなかった。冷静なコメントに感謝です。

意外なことに、当初いちばん不安だった年収半減については、「最大」とまではいかないのでは?と思えるようになりました。苦労は買ってでもしろ、と言いますし、収入が減ることで支出を見直した結果「むしろ節約になっていいかも」くらいに楽観視しています。※今までの支出に問題がありすぎたのかもしれません(小声)

ちなみに仕事から得られる報酬というと金銭的なものが浮かびがちですが、それ以外にも7つ、計8つの要素があるようです。

① スキルセット
② 人的ネットワーク
③ 自己理解
④ ポジティブ感情
⑤ 達成
⑥ 没頭
⑦ 意味
⑧ 金銭

ライフピボット 縦横無尽に未来を描く 人生100年時代の転身術 |黒田 悠介 (著)

キャディでの仕事では、金銭はたしかに減るけれど、それ以外の要素がぐっと高まるので、トータルでみると大きくプラスになっていると思います。また今後の成長が期待でき、金銭的にも戻せる(超えられる!?)日も近いと感じています。

③ いつもの「選択ポリシー」に従った

これまで生きてきて、選択肢に悩んだときには「人生、楽しい方に100万点」のポリシーで決めてきたので、今回も「楽しいかどうか」はじっくり考えました。
特に「楽しそう」と思えた点をご紹介します。

※以下、ごく個人的な内容なので、「そういうのは結構!」という方は最後にジャンプしてください(笑)

プロダクトチームとの連携

外資系企業の日本支社で働いてきて、常々思ってきたことがあります。

それは

プロダクトチームとの距離が果てしなく遠い・・・

という事。社内でプロダクトへの要望をあげる際はチケットを起票したりアンケートに答えたりといった間接的な方法ばかりで、本社でプロダクトを作るチームとの直接のコミュニケーション機会はほとんどありませんでした。

そのため、本来のカスタマーサクセス活動の主軸である「プロダクトへのフィードバック」に対する意識は、空回りすることが多く、いつしか薄れていってしまいました。

キャディの面談で「カスタマーサクセスに期待することは何ですか?」と聞いたときに、「顧客のサクセスとは何かを理解し、プロダクトにフィードバックすること」と即答いただいた際、静かな深い感動を覚えました。

(これ、外資の方には共感していただけるはず…!)

大きなミッションの実現に志を持った、ピュアでアツくて優秀なメンバー

初めてキャディの存在を教えてくれたのも、今回お声掛け頂いたのも、前々職で10年一緒に働いた同僚かつママ友のなおぴんでした。

もともと超がつくほど優秀で馬力のあった彼女が、泣くほど仕事に本気になったという事実。

四半期ごとに開催されるWin Partyに出席させていただき、仕事と成長に対する熱量の高さに圧倒されました。

全員が『主人公』として、組織として同じゴールに向かっていく姿は、ピュアで熱くてカッコいい。「アラフォーでも青春できる場が、ここにある…」と思いました。

スタートアップで働く体験談

この本にも少なからず影響を受けました。東大→ハーバード大→Googleでインターンという輝かしい経歴をもつ超々優秀な学生であった著者が、Googleの内定を蹴って、当時はまだ無名の米国スタートアップ「Asana」に就職し、立ち上げ期ならではの貴重な経験を積みながら成長されていく姿が詳しく書かれています。

ネームバリューやブランドではなく、「どんな経験ができるか」「自分がどう成長できるか」を軸に考えた時に、スタートアップは非常に魅力的な環境であることが、実感を持って伝わってきました。

おわりに

以上の経緯から、外資系大企業から日系スタートアップへの転職を決意しました。

攻めは最大の守り。子どもが小さく教育費の負担があまり大きくない今は、「チャレンジに丁度いい、むしろ今しかない!」とまで開き直っています!(笑)

新プロダクト図面SaaSのカスタマーサクセス立ち上げメンバーとして、お客様に価値をお届けできるよう尽力します。

気づいたら5000字超えの大作になってしまいました。最後までお読みいただき、ありがとうございました!
何か少しでも参考になる部分がありましたら幸いです。

まだ具体的に転職を考えるまでは至らないけど、自分のこれからを改めて考えたい、という方にはこちらの本もオススメ。今回の私のキャリアチェンジはまさにライフピボットで、今後を考える上でも参考になりました。

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