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人生を彩る本と雑貨に出会える、松山の「本の轍」。ディープな知識が豊富な店主との語らいを

文学のまち松山で、おすすめの本屋さんは? と聞かれたら、迷わず頭に浮かぶのが「本の轍」。「本と雑貨をハシゴして、ついでにコーヒーも飲める本屋」をコンセプトに、2017年にオープン。松山の中心的な商店街から少し離れたエリアの路地に佇むビルで、越智政尚さんと奥様の千代さんの二人が営んでいる。

扉を開けると「こんにちは」と、越智政尚さんが声をかけてくれた。

店主の越智政尚さん。カウンター内の隙間からも雑貨が顔を覗かせている。越智さんと千代さんだけが入れる空間から、どんな景色を見ているのだろう。

見渡すと、営業面積6坪の空間に、古書や新刊図書、レトロな雑貨を目にすることができる。さらに、「Bonami」というアーティスト名で自由手芸家として活動している千代さんの作品もあちこちに散りばめられていて、ほっこりする。この小さな空間に、本は3400〜3500冊、雑貨は200〜300点並んでいるというから驚きだ。時には、企画展や著者を招いたイベントも開催されている。小さいからこそ、本と至近距離で珈琲が飲めて、店主ともゆったり話ができて、本好きにはたまらない時間を過ごすことができる。

取材日はクリスマス間近。左のお腹がぽってりしたサンタはBonamiさんの作品で、子どもたちの人気者だったそうだ。絵本やポストカードなど、クリスマスプレゼントが見つかりそうな店内。
Bonamiさん作のあみぐるみのAppleWatch。可愛いが止まらない。矢野顕子さんからオーダーをいただいたこともあるそうだ。あなたならどの色を選ぶ?

なぜ、ここをおすすめするのかというと、いつも何かに出会えるのだ。それはまだ知らない本の世界だったり、人であったり。でも、いつも本を目当てに通っていたので、実は雑貨はあまり目に入っていなかった(200点以上もあるのに)。なぜ、本と雑貨なのだろう。

まずは、珈琲をオーダー。ドリップする越智さんの背中を見ながら、常連さんがよく座るという特等席に腰掛ける。運ばれてきた珈琲を味わいつつ、カウンター越しの越智さんに聞いてみることにした。

あちこちに雑貨があり、思わずあれはこれはと聞いてみたくなるカウンター内。
越智さんが珈琲をドリップしているその豆は、徳島のアアルトコーヒーのものを使っている。アアルトコーヒーの珈琲焙煎人であり、著書も数ある庄野雄治さんを招いたトークイベントも過去に開かれている。
器は松山で作陶する石田誠さん作。持ち手のないフリーカップは、手の中にすっぽりと収まり、温もりが伝わってくる。海外のカフェのように添えられた一口菓子は、口の中でほろほろと溶けていく。並べてある本をちょっと動かしてできたスペースで飲むのが特等席なのだが、POPをこんなに間近で飲むなんて、新鮮な気分だ。

本も雑貨も同じ目線で愛でている

棚の上から下まで本が並び、幾つかは表紙を見せて、台には本が平置きされている、一般的な書店とは、そのようなイメージだろうか。「本の轍」では、その時のおすすめと目が合ったり、宝探しをするような楽しさがある。

右側にある入り口付近は、企画展などが行われる注目度が高いエリア。ちょうどこの時は、高橋久美子さんと白井ゆみ枝さんの『ヒトノユメ』展2022が行われていた。その隣の棚には、詩や短歌、エッセイ、リトルプレスなどの新刊本が並ぶ。棚板がコの字型になっている本棚は、さまざまなお店をリサーチして、この大きさ、形に行き着いたのだそう。

「僕は、雑貨の仕事をしていたから、VMD(Visual Merchandising)というか、いわゆる見せる感じのディスプレイを、結構、意識しているんですよ。本屋さんでそういうことを意識してるのって、あまりないと思いますね」

それを聞いて納得したのだが、本と雑貨が共存するディスプレイの中で、それぞれにセレクトや見せ方に違いがあったりするのだろうか。

「本も雑貨と同一の目線で、品選びをして、愛でていますね。両方好きなので、同じ目線で陳列をしています。雑貨は、古いもの、古びたもの、古い感じがするものに分けて、そういう感じのものを集めて売ろうと当初は思っていたのですが、普遍性を問わないデザインのものも置き始めましたね」

ヴィンテージファンなら思わず手に取ってしまう、ヘーゼルアトラス社のミルクガラスのチャイルドマグ。Liptonのキーホルダーはノベルティだろうか。

なるほど。食器一つを取っても、ファイヤーキングのキャニスターがあれば、珈琲柄のレトロなお茶碗があったり、松山市で作陶する石田誠さんの器もあり、共存しているのが面白い。セレクトの軸のようなものは何なのだろうか。

ミルやポットなど、珈琲にまつわるものが描かれた”お茶碗”。米を食べながら、珈琲のことを考えてしまいそうだ。これを作った人は何を考えていたのか、ツッコミどころ満載で誰かと話したくなる。隣の『いずみさん、とっておいては、どうですか』は、雑貨好きの人へのおすすめ本として越智さんが選んだ数冊の中の1冊。

「自分たちの中の”好き”という部分があるので、そういうところに引っかかるものを、国内外問わずに置いているという感じでしょうか。僕、可愛いものが好きなんですね。格好いいというよりは可愛いもの。これを言うと引かれちゃうので表立っては言わないんですけど、“乙女紳士”なんだと自分でも思います」

笑いながら語ってくれた越智さんは、松山ローカルエディターズの書き手でもある。雑貨の座談会では、雑貨の魅力を洗剤のダウニーという絶妙な例えを持ち出していたが、ここでも「乙女紳士」という名言が。人によって大小あるかもしれないが、誰もが持っている乙女心。越智さんがセレクトする雑貨には、そこをくすぐるものがある。

そんな越智さんが、雑貨を好きになり仕事にまでしてしまった、そのルーツはどこにあるのだろうか。

始まりはキッチュな雑貨の世界。そして雑貨専門店に

そもそも音楽に興味をもたなければ、ディープな雑貨の世界にはまることはなかったかもしれない。音楽の棚は、このジャンルに詳しくない人も手に取りやすいセレクト。

それは、振り返ると高校生の頃だという。当時、松山でバンドを結成し、ブルースロック系の音楽をライブ演奏していたことから、同世代よりもおじさんたちに可愛がられるような若者だったそう。そんなライブ仲間と通っていたのが「東京少年」という雑貨店。

「そこに行くと今まで見たこともない雑貨があるんですよ。キッチュなというか、香港のものとか、アジア系の雑貨があったり、ないものは自分で作って商品化するみたいな感じのお店だったんです。例えば軍手にプリントしているとか、ヒョウ柄の器だとか。そこから雑貨に惹かれていった感じはありますね」

当時買った小物入れやヒョウ柄のペンケースは、今も残っているそうだ。この「東京少年」は、広島の「文化屋雑貨店」の支店に当たる。「文化屋雑貨店」とは、1974年に長谷川義太郎さんが創業した伝説的な雑貨店(創業は渋谷、後に原宿に移転し、2015年に閉店)。誰も見向きもしなかったようなものに価値を見出すその独自の審美眼に世界的なデザイナーも足を運んだという。東京以外にも店舗はあるがフランチャイズではなく、長谷川さんのお眼鏡にかなった人には屋号を名乗ることが許されていて、広島店もその一つ。広島店で働き、その支店にあたる松山の「東京少年」の店長をしていたのが千代さんだ。文化屋雑貨店がファッションやデザインに携わる人々に影響を与えたように、地方都市・松山でも、新しい文化に触れられる場であったようだ。今はないその店を懐かしむ声を聞く度に行ってみたかったと思う。

そんな文化屋雑貨店の世界を知ることができる1冊として、長谷川義太郎さんの『がらくた雑貨店は夢宇宙』を紹介してくれた。長谷川さんの考え方に影響を受けた、越智さんの原点となる本。

『がらくた雑貨店は夢宇宙』(著:長谷川義太郎)。晶文社の「就職しないで生きるには」シリーズの一つ。実は、著者のサイン入り。
病院のベッドがあるかと思えば、中国のバニーガールの人形、金太郎の前掛けなど愉快。

セルロイドの筆箱やガラスの金魚鉢、オブジェ、謎の眼鏡など写真も紹介されていて、ページを捲る手が止まらない。「こんな、訳の分からないのがいっぱいあったんですよね。で、同じような感じが『宝島』」。今度はカゴいっぱいの『宝島』バックナンバーを見せてくれた。

当時のカルチャーが詰まっている、『宝島』バックナンバーは今でも宝物。

「当時、この雑誌をよく買っていて。音楽やファッション、雑貨のことも全部出てくるので、そういうところから情報を仕入れていたんですよね。この誌面作りが、文化屋雑貨店と同じようなノリなんですよ。だから、多分、僕、こういうのが好きだったんですね。当時、僕が見ていたのは80年代なので、もっと昔の『宝島』も知りたくなって、70年代まで遡ってみると、めちゃくちゃ面白い。そこには植草甚一という名前が出てくるんですよ」

『宝島』の記念すべき創刊号。今見ても格好いい表紙。そこには「植草甚一編集」と書かれている。

植草甚一さんとは、映画・ジャズ・ミステリーの評論家。多彩な顔を持ち、『宝島』や、その前身となる雑誌『ワンダーランド』の編集顧問も務めている。本やレコードなど蒐集家であったことも知られており、そんな植草ワールドに、好きなものを貫く姿勢や趣味志向の部分に相通ずるものがあり、影響を受けたという。植草さんの著書をパラパラと見せてもらうと、ダンディーな一面もあり、越智さんが自身のことを「乙女おじさん」ではなく「乙女紳士」と言ったのも、かく在りたいと憧れたからではないかと思ってしまう。

越智さん所有の植草甚一コレクションの一部。かつて植草さんの蔵書だった本も持っているそうだ。

そんなディープな世界にはまっていたのが松山で過ごした高校時代。その後、広島の大学に進学し、広島で就職。転勤で広島の文化屋雑貨店に戻ってきていた千代さんとも再会し、将来は二人で雑貨店ができればと夢を膨らませていた。そのためにも、4〜5年くらいどこかで雑貨販売の経験を積みたいと考えていた越智さん。ちょうど、広島に東急ハンズ(現:ハンズ)出店の採用募集が出て、転職が叶った。

「当時のハンズは、担当した部門においては自分の好きなものを仕入れ、自分が売り、帳簿までつけ、まあ当然ディスプレイとかも全部やるんです。最初、僕、文房具のファイル担当だったんですよ。その後システム手帳の担当になり、そこは結構面白かった記憶がありますね」

文房具以外の売り場も担当した後、バイヤー部門に配属され、東京の好きな場所の商品をセレクトして広島で展開する企画も好評であった。

「それはすごい面白かったです。1人で何でもやらないといけないので、そういうので鍛えられていき、身についていきましたね。だから、もう独立しても良かったのかもしれませんが、それがやめられないんですよね。

雑貨業界を知り、利益を考えると、独立しても難しいのではないか、資金もすごくいるというので、なかなか踏み出せない。そのまま管理職になって、ますますやめられなくなり、 27年間いました」

これ以上のキャリアアップが望めなくなった頃、その先のことを考えるようになり、もうそろそろお店をと思い始めた。そんな時、千代さんが一箱古本市に出店してみたいと口にする。参加してみると、これが面白く、売れ行きも好調。その後、越智さんも一緒に、様々な一箱古本市に参加するようになる。

「それで本のことが、楽しくなってきたんだと思うんです。直接、お客さんと相対して、本を前に、絶対話すじゃないですか。その会話をするのが楽しかったんです。だから、今とやっていることは変わらないですね」

ちょうど広島に、個性的な古本屋やブックカフェができて盛り上がりを見せていた頃で、そうした本屋に通いながら、自分たちがやりたいお店の方向性も次第に明確になっていった。

店内の壁には「BOOK IS POWER」の額。その下に、セロハンテープのミニチュア。テープに印字された本の轍は延々と続く。このバランスが面白い。

そんな折に、越智さんに松山転勤という転機が訪れる。ハンズ松山店の立ち上げに携わり、無事に松山店をオープンさせるものの、千代さんが病気になったこともあり、自分たちの年齢を考えると限りある人生の中でやりたいことをやった方がいいという思いを強くする。「もうお店をやろう」と。会社が副業を認めてくれていたことも後押しとなり、2017年に「本の轍」をオープンした。本も雑貨も珈琲もイベントも。二人のやりたいを詰め込んだ場に。会社員とお店の二足の草鞋を履いていた越智さんだったが、2022年に退職し、お店一本になる。

猫が可愛いお店のロゴは、イラストレーターの福田利之さんが手がけた。本のタワーの上で一服の珈琲を。

雑貨は心の拠り所

1929年にベルギーで誕生した「タンタンの冒険」シリーズ。各国で翻訳され、今も世界中で愛されている。そんなタンタングッズが並ぶコーナー。

話を聞けば聞くほど、越智さんも千代さんも筋金入りの雑貨好きで(広く浅くではなく、好きなものをディープにという意味で)、雑貨に関するプロフェッショナルでもあることが伝わってきた。雑貨のプロに、なぜ、人は雑貨を求めてしまうのだろうかと問いを投げかけてみる。

「そうですね。まあ、本も雑貨も自分の心の拠り所になってくれる部分が多いので、要はそこに魅かれるのって、やっぱり、それを自分が欲しているから。その雑貨、本、ものに、そういう自分の救いを求めている部分があると思うんですよ。これがあると安心するとか。なので、どんどん好きなものが増えていくんでしょうね。救われたいから」

雑貨は救い! また名言が飛び出たが、確かに、なくても生きてはいけるけれど、あったら楽しいもの、可愛いものって、ついつい買ってしまった経験が私にもある。そして本も、自分の中に悩みや迷いがある時ほど、貪るように読んでしまう。

「そう、自分の人生が豊かになるんだと思いますね。だって自分の集めたものって、自分の思いが込められているから、自分の分身みたいなものですよね。そこに価値を見出せるか、そうじゃないか」

高橋久美子さんと白井ゆみ枝さんの『ヒトノユメ』展2022。作品の中の一つに「言葉を食べて生きていく」というものがある。出会った言葉を糧にして生きていく、それは雑貨も同じかもしれない。

人生を豊かにする雑貨。本も同じ目線で見ている。本屋で働いた経験はないというが、もので世界観を作りあげることには長けているそんな二人の本屋だから、面白いのかもしれない。

取材時に訪れた常連さんは、こんなことを言っていた。「松山にもいろんな古本屋があるけれど、こういう店はなかったんですよ。置いているものが嘘をつかないし、イマジネーションが掻き立てられる。感性がなければできないことですが、お二人のセンスなんでしょうね」

常連さんがブリキのおもちゃをお買い上げ。愛嬌のあるキャラクターだ。

そんなお客さんの絶賛に照れながら、本人には言わないんですよ、と前置きした上で、越智さんは言葉を続けた。

「千代ちゃんは、やっぱり、センスがすごいんですよ。僕が高校生の時に初めて会った時に感じた、この人すごいなっていう気持ちは今も変わらないですね。物を見る目、そしてディスプレイもすごい上手い。僕はハンズ流のやり方が身についているけど、彼女は、ちょっと違うんです。僕が困っている時に彼女がやると、すごい決まったりする部分があって。だから、口に出しては言わないけど、感謝していますね。そういう部分では、敵わないですし、すごいなっていつも思います。多分、本の知識は僕の方があるんですよ。でも、感性の部分って、身につけようとしても身につけられるものじゃないので」

本のタワーとBonamiさんの作品。世界観が伝わってくる。

店主との会話や未知の世界と出会う体験をお土産に

珈琲本コーナーには、アアルトコーヒーの豆や5周年記念缶が並ぶ。

2022年に5周年を迎え、記念グッズのトートバッグや缶も好評だ。春日町で営業を続けて、変化を感じることはあったのだろうか。

「もともとのお店のコンセプトは、30〜40代の独身女性が来てくれるようなお店にしようと思っていました。古本を扱っているお店ってちょっと薄暗い感じのところが多かったから、明るめの店内にして入りやすくして。それは結構、ターゲットにフィットしたんですよ。色々やっていく中で、そのうち男性も来てくれるようになったり、4年目ぐらいから、高校生や大学生も増えてきた感じはしますね。やっぱり長く続けないと広まっていかないので、そういうことが少しずつ変化してきているのかな」

ここで展示やイベントを行った作家の皆さんの直筆イラスト。額もそれぞれ違っていて、凝っている。

取材の途中にも若い男性が訪れ、越智さんにおすすめの本を尋ねていた。お客さんとの会話を手掛かりに、越智さんが数冊を選んでいく。

「かつて僕が若い頃に、年上のお店の人にいろいろ教えてもらったように、僕が持っている、積み重ねてきたアーカイブ的なものを、今の若い方とかに伝えられればいいかなって思っています」

どんな球を投げても、何かしら返してくれる、そのやりとりが面白く、未知の扉が開くかも。ぜひ、気軽に聞いてみてほしい。

「ただ、僕の若い頃と違うのは、インターネットがあるかないかですよ。僕の時代は、雑誌とか本からでしか情報を得ることができなかったけど、今はネットで何でも知れるから。お店に行って、そこの人から教えてもらうというのは少なくなっていると思うんですよね」

しかし、逆に、情報が溢れ、簡単に入手できるからこそ、センスある人と話せるリアルな場があることは貴重なのかもしれない。

「そうですね。そう思っていないと僕もお店をやってないですからね。単にものを売るだけならインターネットで販売すればいい訳で、それだとやっぱり面白くない。以前、買い付けのためにニューヨークに行って書店を巡ったのですが、その時に、まちを形作り、特色付けるのは、個人のお店がちゃんとしてるからだなって感じたんです。そういうお店がなくなったら、まちがつまらなくなる。そういう思いで、今もやってますかね。大層に、文化発信とかは、一切考えていなくて、好きなことをやっているだけですよね、本当に」

ハイボールの聖地として知られ、惜しまれながら2022年に閉店した松山の名店「バー露口」の本もある。お店は無くなってしまっても、本はアーカイブとして伝え続けていく。

実は、松山の本屋事情を振り返ると、2022年は移転や閉店が相次いだ激動の年。寂しさを感じるとともに、ちゃんとやらなきゃと思うこともあるそうだ。越智さんの言う「ちゃんと」とは、お客様のことを語った次の言葉にも表れている。

「散歩の途中で来てくれて、お茶を飲んでくれて、本も買ってくれたり、雑貨も買ってくれたりするでしょう。なんか、そういうお客さんとの関係性がすごい好きなんですね。多分、それって、そのお客様の日常というか、生活の中の一部として入っているんですよね。勝手にそう思っていますから」

実は人気のミルクティー。珈琲が苦手な方はこちらを選ぶそうだ。お客さんとイギリス旅の経験もある越智さんや千代さんとでイギリス談義に花が咲くこともあるそう。
BonamiさんのApple Watchをつけて、常連さんが来店。

松山の人々の生活に入り込んだ本屋さんと言うように、仕入れる時にはお客さんの顔が思い浮かび、一緒にお店を作っている感覚があるという。だから松山のここにしかない、この地だからこそ、この二人だからこそのお店となっている。

初めて訪れた方も、人見知りな方も、本や雑貨を手にしながらだと、話しやすい。そこで得られるここでしかできない体験を、本や雑貨とともにお土産として持ち帰ってはどうだろうか。

本のスリップには、ボブ・ディランの曲の一節が。日常の喧騒から離れて、隠れる場所をくれる、それがここ、本の轍なのだ。
この日、出会ってしまった本とヴィンテージキーホルダー。岡本太郎本をきっかけに「タローマン」について語ってしまった。キーホルダーには、フランス語で”歌うカササギ”と書かれていて、お菓子屋さんのノベルティーグッズだったようだ。ご機嫌に歌うカササギを見ていると、レコードをかけながら口笛を吹いている越智さんと重なる。


【本の轍】
住所:愛媛県松山市春日町13-10
電話番号:089-950-4133
営業時間:13:00〜19:00
営業日の最新情報はInstagramを
HP:https://www.honnowadachi.com/
Instagram:@honno_wadachi
駐車場:なし


今回の書き手:新居田真美
えひめの暮らし編集室主宰。これからも続いてほしい「ひと、もの、こと」に光を当ててたいと、流れていく言葉や降り注ぐ言葉を編む人。暮らしを編むことについてはまだまだ実験の日々。愛媛県内子町の紙にまつわる人々による「そしてこれから 和紙の旅」のサポーター。
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