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優秀な投資銀行バンカーの特徴まとめ(若手)

私は新卒で日系投資銀行に入社し7年間勤務してきた。今回は主に若手にフォーカスして「優秀」と言われる投資銀行バンカーがどんな特徴があるのか書いていきたい。横文字の業界用語を一部使っているが、何のこっちゃよく分からないという方は、投資銀行の基本的な役割や役職などについて↓のnoteにまとめているので、そちらを参照してから読んでみて欲しい。

「優秀」の定義

一口に「優秀」といっても人によって考え方は様々だと思う。ここでいう「優秀」の定義は、社内外からの評価が高い若手バンカーとする。

1. レスの速さ

これは投資銀行業界に限った話ではないかもしれないが、優秀と言われる人達でレスが遅い人を私は見たことがない。これはメールや電話に限った話ではない。例えば顧客との面談で依頼を受けた後のアクションの速さなども含まれる。

基本的に何かをお願いされた際に、少なくとも出来るのか出来ないのか、納期までに出来ないのであればいつまでであればどこまでは出来るのか、といったレスを瞬時に行える人は総じて優秀だ。

お願いをする側(顧客やシニアバンカー)からしても、ジュニアバンカーがどの程度動けるのか全て把握することは出来ない。ジュニアバンカーは常時複数の提案資料作成や案件執行を抱えている。特に最近は投資銀行業界でもテレワークが浸透し、隣の席で忙しそうにしている・・・などの状況が見えづらくなっていることから、より「レスの速さ」の重要性が増している。

2. 自分なりの視点・アウトプットを仕事に落とし込める

ジュニアバンカーは基本的に常時忙しいので、言われたことだけをこなすだけでも大変な負荷がかかる。なので大半の人は言われた任務を遂行するだけでも良いのではないかという思考に落ち入る。

その中で、しんどいながらも提案資料に1ページだけでも自分なりの視点を加えたアウトプットなんかがあると、「お、この人は自分で考えながら仕事が出来るんだな」という印象になる。

例えそのアウトプットが多少方向性にズレがあったとしても、「作業だけにならず考えながら仕事をしているか」といった点を測ることは出来るので、プラスになる。

3. 忍耐力・我慢強さ

公募増資やM&Aなどは顧客が主人公であって、投資銀行は黒子でしかない。新聞の一面を飾るのはあくまで顧客であり、投資銀行の名前が華々しくメディアに乗ることはあまりない。ただ、黒子として案件執行の全般的なサポートをしているのは投資銀行だ。

その殆どは書類作成や関係者のスケジュール調整、Excelいじりなど、泥臭い仕事の積み重ねだ。映画や小説で度々ウォール・ストリートの華々しい生活が描かれ、それに憧れて入社する人もいるが、日々の雑務に追われてみると中々に苦しい気持ちになる。

そこを踏ん張って、依頼された仕事を最後までやり切る人は社内外からの信頼も厚くなる。

4. 関係者を巻き込みながらボールを前に転がすことができる

投資銀行の仕事において1人で完結できるものは何一つとしてない。全て「チーム」で動く。公募増資であれば、IBD(Investment Banking Division)と言われるフロント部隊、ECM(Equity Capital Market)という引受部隊、書類の校閲部隊、引受審査の部隊など、総勢10名ほどのチームで対応する。M&AであればIBDに加え、M&Aアドバイザリー部門と協働する。

上述の社内チームに加え、弁護士・会計士・税理士や印刷会社などが社外の関係者にあたる。もちろん、顧客もだ。

これらの関係者をまとめながら全体のスケジュール・進捗管理、論点整理、交渉などを進めていくことになるので、「自分以外の誰か」を常に巻き込みながら、案件がスタックしないように「ボールを前に転がしていく」ことが重要となる。

ジュニアバンカーにとって、これはある程度経験を積んでいかないと難しいのだが、分からないことも周りに聞きながら主体的に進めていく姿勢を持っているかは重要なポイントだ。

総論

ここまで述べて、他の業種の方はどう思われるだろうか。投資銀行バンカーだからといって別に特殊なものが求められる訳ではなく、どの仕事にも活かせるものではないかと思う。

基本的に上の4つを持ち合わせた人は総じて「優秀」だと感じるが、投資銀行以外でも活躍できる要素を備えているのではないか。

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