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数学花壇 〜放物線編①〜

エピソード1:名を呼ぶ前に点をとらえよ!

その日は眠りが浅かったのだろうか。
どこからか僕に話しかけてくる声があるのだ。

「わしの姿・・・勝手に・・・けしからん。」

何か怒っているようだ。

「わしの姿を見て、指をさし勝手に名前を呼ぶ。まったくけしからん。」

なんのことだ。そう思って目を開けてみるものの家の様子はいつもと変わりない。それでも声は聞こえてくる。

「知らぬふりをしておるが、おぬしもその一人だな。」

知らぬも何も見えていない。小さな声で言ってみる。
どなたか僕に話しかけましたか?

「わしの声が届いたのか。それはよき。多くの者がわしを指さし、名前を呼ぶ。呼ばれたと思って来てみれば、もうそこにいない。冷やかしも大概にせえ。」

すいません。謝ってはみたが心当たりがない。

「おぬしはわしの姿をみる前に、わしの姿をとらえようとしてみたか?」

姿が見えなきゃとらえることなんてできないんじゃ・・・
すいません。何をおっしゃっているのか僕には分からないのですが・・・

「2つの異なる点Aと点Bから等しい距離にある点Pはいくつあるかのう?」

数学?
ちょっと待ってください。それは・・・たくさんあります。

「たくさん?たくさんというのは具体的にいくつじゃ?」

面倒くさい爺さんだな。いや、爺さんかどうかはわからない。
数えられないくらいです。ええっと無数です。

「よき。おぬしはその点たちをとらえたことはあるかえ?
例えば、点Aを(-1, 0)、点Bを(1, 0)とすると点Pはこんな感じにとらえることができるかのう?」

わっ、すごい。目の前に突然グラフが現れた。
そうそう、点Pはこの点たちの集まりだ。
この点の集まりが直線になり、線分ABの垂直二等分線というんだったっけ。
は、はい、イメージ通りです。

「ふむ。では、点Fと、点Fを通らない直線Lから等しい距離にある点Pはいくつあるかのう?」

点と点じゃなくて、点と直線?
点と点でたくさんあったのだから点と直線でもたくさんあるはず。
点と直線でもたく・・・無数にあります。

「よき。その点たちをとらえるとさっきと同じかのう?」

待ってください。
そうだ、思い出した。確か放物線になるんだったような。
いいえ、違います。放物線になります。

「何?おぬし、今なんと言った?」

えっ、間違っていたのかな?
放物線って言いました。

「けしからーん!」

えっ、えっ、放物線って言っただけなんですけど。

「まだ点をとらえていないのに結論をいう者があるか。仕方ないのう。
例えば、点Fを (1, 0)、直線Lを x=-1 とすると点Pはこんな感じにとらえることができる。」

うわっ、またグラフが目に前に現れた。
そうそう、こういうイメージ。

「点を集めると直線かえ?それとも曲線かえ?」

曲線です。

「どんな曲線かのう?」

どんな曲線?なんて答えればいいのだろう。名前を言ったらまた怒鳴られそうだし。うーん、これくらいしか思いつかないけど。
ええっと、x軸について対称な曲線です。

「うむ。確かに今の例ではそうじゃ。しかし、点Fを (0, 1)、直線Lを y=-1 としたらどんな曲線じゃ?」

うーんと、頭の中でイメージすると・・・

「少し手伝ってやるかえ。」

おおっ、グラフが見える!すごい!
ありがとうございます。y軸について対称な曲線です。

「うむ。では点Fと直線Lによって答えが変わらないように答えてみよ。」

ええっと、共通していたことは・・・
対称軸が点Fを通っていて、直線Lと平行じゃなくて・・・
わかりました。
点Fを通り直線Lと垂直な直線について対称な曲線です。

「よき。おぬしは先ほど放物線と言っとったな。その理由は何じゃ?」

理由も何もこういう曲線を放物線というって習ったんだよなあ。
でもそんなこと言ったら地雷を踏みそうだし。なんて答えたら・・・。

エピソード2に続く。


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