数学花壇 〜放物線編③〜
エピソード3:名前には意味がある!
「曲線上の点Pとx軸との距離を一辺とする正方形の面積と、そのときの点Pとy軸との距離を横の長さとする長方形の面積が一致するんじゃ。」
ん?!どういうこと?!
「こういうことじゃ。」
おおっ!目の前に現れたグラフに見入ってしまう。
なるほど、こういうことなんだ。ん?長方形の縦の長さは変わっていない。
そうか!正方形の面積と長方形の横の長さの割合が常に同じになる点の集まりが放物線なんだ!
「よく気づいたのう。だが放物線ではなく、parabolaじゃ。これで苗字のことは分かったかのう?」
あの、真剣に聞いていましたが、苗字の話は一度も出てきていない気がします。
「言ってなかったか。parabolaが苗字じゃ。」
parabolaが苗字ですか?!じゃあ、名前は何だったんですか?
「おぬしが先ほど求めた式じゃ。(放物線編②参照)」
そういえば、これで名前がわかったのうとか言っていたなあ。
「わしがおぬしにこう聞いていたらどう答えたかのう?」
「点F (1, 0) からの距離と直線L : x=-1 からの距離が等しい点Pの軌跡(点Pの集まった図形)を求めてみよ。」
おそらく同じように解いて、求める軌跡は、放物線 y²=4x って答えたと思います。
「わしは、本名で呼ばれたいのう。」
と言いますと?
「わしなら放物線ではなく parabola y²=4x と呼ぶ。おぬし、名前を間違えられても平気かえ?」
できればちゃんと呼んでほしいです。
「そうじゃろう。彼らもそうじゃ。」
そんなこと考えもしなかった。
今度からそうします。
「うむ。おぬしに彼らのことをもっと聞いてみようかえ。パラボラアンテナを設置するとどうなるか知っておるかのう?」
も、もちろんです。電波を拾いやすくなります。
「それはなぜじゃ?」
確か、焦点に集まるとかじゃなかったかな?待てよ、この爺さんは焦点という言葉を使っていない。焦点って言葉を使ってもよいものなのか。ここは・・・
1つの点に集まるからです。
「どんな電波もかえ?」
種類まではわからないぞ。
すいません、種類までは不勉強です。
「種類ではない。どんな方向から飛んできても電波は1つの点に集まるのかを問うておる?」
ん?!方向?それなら・・・
まっすぐ飛んできた電波なら1点に集まります。
「まっすぐというのは、parabolaの対称軸に平行である方向ってことでよいのかのう?」
なるほど、そう表現すればいいのか。
そ、そうです。
「そのことをどう確かめようかのう?」
数学で、ですよね?
「ふむ。その前にイメージを共有するかえ。」
「これは parabola y²=4x の対称軸に平行な方向から入射した光が反射して1つの点にたどり着くまでのグラフじゃ。この点Qをどう求めるかのう?」
細かいことですが、今、電波を光と置き換えたのは電波も光だからですよね?
「そうじゃのう。」
細かいことですが、光について反射の法則は成り立つ前提で良いのでしょうか?
「そうじゃのう。」
それならば、解けそうだ。反射の境界面は点Pにおける接線を考えればよくて、点Pにおける法線となす入射角と反射角は等しいから・・・
放物線 y²=4x は、点 (1, 0) からの距離と直線 x=-1 からの距離が等しい点Pの軌跡として求めた。だから焦点が (1, 0) だってことは分かっている。間違ってはいないはず。・・・あっ、放物線じゃなくてparabolaだった。
こんな確かめ方でいかがでしょう?
「ふむふむ。この答えは、反射点Pがparabola上のどこであっても点Qを通るってことかえ?」
は、はい。
「そうかそうか。この求め方で反射点Pが表現できていない点があるのう。どこか分かるかえ?」
えっ、表現できていない点?
・・・分からないです。
「おぬし、ケーキは好きかえ?」
急になんだ?ケーキ?点とケーキに何のつながりが?!
エピソード4に続く。
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