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【SF小説】東京七代目(15日目)

 えっ、今おれ東京?って言っても〝東京〟にいるんじゃないよ!
東京にさせられたんだよ!ニッポンの首都だよ!ン百万都市だよ!
できるわけないじゃん、おれなんかに東京が…。

 おれはまあどこにでもいるような大学生だ。まだ2年生つっても将来のことを考えたら、そろそろ就活に本腰を入れても遅くはない時期ではある。つっても先輩たちの話を聞いているとなかなか内定がもらえないなんて話はよく聞く話で、中にはもっとも~っとヒドイ仕打ちというかハラスメントを受けたって話もザラだ。だからってそんな話ばかり聞いているとまだ何もしないうちから正直ウンザリしてきて一歩も動けなくなってくる。実際友達とかではそんなヤツもよくいるしなァ。って聞いてばかりじゃあダメだよな!

  そんな就活の真っ只中にとある企業に面接に行った時の話だ。アレって誰でもイヤだと思うけど、それが何度も受けるとなったらも~っとイヤだから、なるべくおれでも受かりそうなトコロちゃあランクを下げる感じでイヤだけど、そういうトコロを探して、とりあえずエントリーシートを提出してみたんだけど…。で、エントリーシートは通ったんで、その会社に行ってみた。
「ヲフォン!ヲフォン!キ・キ・キ・キミか?ウチを受けたいって言ってくれたのは?ヲフォン!」
こう言っちゃあなんだが今にもお迎えが来そうな年齢の感じがするじ~さんが一人いるだけだった。その時からスゲ~イヤな予感はしたんだが…。

 「ワシは東京…と言ってもすぐにはピンと来ないかもしれん。イヤ…もうそんなに時間はない。手短に話そう。ワシは長年〝東京〟をしていたんじゃが、いろいろと疲れて…そろそろ〝代〟を譲りたいのじゃが、なかなかココでも後継者問題があってのォ~。ワシはワシで大変じゃったが、〝大阪〟や〝京都〟〝ニューヨーク〟なんかもなかなからしいとは聞く。イヤ、そんな話をしている場合ではない。キミが明日、イヤ今すぐ〝東京〟になれ!」

 と、じ~さんが言った瞬間、おれは東京になった。確かに…確かに、おれ田舎がイヤで東京の大学におれでも受かるような大学になんとか滑り込みで入れたし東京に憧れていたけど…。まさかその東京そのものになるなんて…。渋谷とか原宿にはなりたかったかも⁉だけど新宿とか山手線も中央線もおれ?中野も神保町も秋葉原もおれ?おれ、東京?

 つ~わけで、さっきまで先代の東京だったじ~さんは〝どっか過疎地の市町村〟とやらになるらしく、この東京としてど~やっていくかノウハウもクソも教えてもらえないまま譲られたようだ。ただこのおれで〝七代目〟らしいことだけは何とか聞けた。ど~しよ~?八代目が見つかる、イヤ見つけるまで、ど~しよ~?東京ど~しよ~?ってか、おれが今東京なのだった…。
忘れちゃいけない!けど…東京、ど~しよ~⁉

完。


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