SF小説「東京安定剤」
「精神にも安定剤が必要なように、この東京にも安定剤が必要なんだ…」
そういう言葉をかけられた私は即座にサッと身を引く思いになった。何か本能的な恐怖というか、そういう根源的なモノを感じ取らざるを得なかった。
私はこの東京に来てどれくらい経つだろう。日記でもつけてりゃ毎日何してたかは分かるだろうけど、あいにくそんな習慣があるぐらいなら、こんなところまで何も深く考えずに来ちゃいない。
というのも、もうお察しの読者もいるだろうけど、実は家出してきたんだ、私。私の住んでる田舎が嫌ンな