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【美術展2024#17】特別展 中尊寺金色堂@東京国立博物館本館特別5室

会期:2024年1月23日(火)~4月14日(日)

国宝・中尊寺金色堂は、天治元年(1124)藤原清衡(きよひら)(1056~1128)によって建立された東北地方現存最古の建造物です。建物の内外を金色に飾り、螺鈿蒔絵(らでんまきえ)の漆工技法を駆使した装飾が施された絢爛豪華(けんらんごうか)な姿は、まさにこの世の極楽浄土です。奥州藤原氏の栄華を伝える一方で、金色堂は彼らが今なお眠る聖地でもあります。このように日本の美と信仰との結節点である金色堂は、世界遺産に登録される平泉の文化遺産のシンボルとして、世界中から注目を集めています。

展覧会公式サイト

今年建立900年を迎えるとのこと。
悠久の歴史にワクワクしながらいざ入場。

会場に入ってすぐの大画面に映し出される8KCGの映像に圧倒される。
まるで金色堂内部に迷い込んだような臨場感に包まれる。
トーハクの展覧会は毎回のようにこの手の映像があるがどれも非常に良くできている。

場内撮影禁止だったので公式図録から



先日モネ展の話で、私は額縁の装飾的な世界観が苦手と書いた。

だが、神社仏閣の装飾に関してはむしろ大好きだ。
どちらもゴテゴテのギラギラだが何が違うのだろうと思いベルサイユ宮殿の写真と見比べてみた。

様式は違えどどちらも豪華絢爛。
煌びやかな装飾の中に像が立ち並ぶのも同じといえば同じ。
けれどもベルサイユ宮殿に対してはなぜか感じる違和感。

私が日本人だから、という理由ではない。
きっと私は西洋コンプレックスがあるのだ。

ヨーロッパに憧れを抱いた学生時代。
だが、初めに足が向いた先はアジア諸国だった。

そこで私は東洋文化の幅広さと奥深さにがっつりと魅了されてしまった。
それまで世界の共通言語だと思い込んでいた英語が通用しない文化圏を渡り歩き、各地の素晴らしい美を目の当たりにした。
西洋だけに素晴らしい美があるわけではないのだ、それぞれの場所にそれぞれの価値観や美意識があるのだと実感し、西洋コンプレックスはだいぶ薄らいだ。

その後も旅を繰り返したり実際に住んだりしてアジア圏の解像度はかなり鮮明になった。
だが、実はいまだにフランスにもイタリアにもイギリスにも行けていない。
10代の頃から西洋の現代アートに魅了され、西洋のファッションやサブカルチャーにもハマった。
それが私の価値観や美意識に多大な影響を与えている、…はずなのだが肝心の現地にはまだ行ったことがなく、ドットの荒いモザイクがかかったままだ。

実際に見ていないもの、体験していないことを外から語る後ろめたさ。
それがいまだに西洋コンプレックスを払拭しきれない理由なのだと思う。
早く行かなければ、とは常々思っているのだが…。


話を戻そう。

映像を横目に奥へ進むと国宝の仏像たちが鎮座している。
ポスターや写真では煌びやかに写っていたが実物はかなり控えめな色艶で厳かな雰囲気を纏っていた。

国宝 阿弥陀如来像 公式図録から


貴重な国宝の仏像11体が揃って至近距離で見られるのはありがたい。

だが信仰の対象は現地にあってこそ成り立つインスタレーションみたいなものだから、そこから切り離して博物館に持ち込まれた瞬間に作品(と言って良いのかわからないが)としての本来の意味は大幅に失われてしまうのかもしれない。

なんだかこんなところまでお越しいただいて申し訳ございませんという気持ちになった。

出口付近には金色堂の精密模型があった。

屋根の組み方がわかる
内部までよくできている


ちなみに余談だがパキスタンのバスのギラギラぶりはもはやアートだと思う。
リンク先の下の方にある写真をご参照いただきたい。↓


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