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引き取り訓練という名のご近所めぐり

例年、一学期に全家庭一斉に行う幼稚園の引き取り訓練。今年度は未実施のまま二学期を迎えていた。兄の小学校は二学期に入ってすぐ、ほぼ例年どおりの運用で行われたが、小規模園である弟の幼稚園ではソーシャルディスタンスが確保できない。よって、親の引き取り訓練は同日一斉ではなく、個別実施の結論に至った。今日からどうぞとのことなので、早速行う。

引き取り訓練の内容は、緊急時対応として事前に提出しているお迎えルートを歩き、自宅から園までの所要時間を先生に申請する、というもの。これは例年通りだ。非常時を想定しているので、下に兄弟がいる場合、ベビーカーではなく、抱っこかおんぶして歩かねばリアルじゃない。

兄が通園していた時代、7月の太陽が我々に燦々と光を降り注ぐ中、2歳の弟を抱っこし、徒歩30分の道のりを歩いていくと、全身滝汗。あのときは本当にツラかった。でも、おかげさまで、「非常時は迎えにいくだけで大変なことになる」というイメージはしっかり構築できた。訓練って大事。

兄が小学生になってからは、小学校を経由してから幼稚園に向かう経路を申請している。今の自宅から幼稚園までは徒歩10分だが、幼稚園から小学校は歩くと大人の足で20分かかる。非常時に幼児の足で小学校まで歩き、さらに自宅まで歩くのは厳しいだろう。先に小学校で兄を迎えたのちに、幼稚園に向かうと決めている。この判断がどう出るかは、そのときを迎えるまでわからない。

兎にも角にも、訓練でも自宅から小学校を経由してから、幼稚園に向わねばならない。まず、自宅から北に向かった町外れの小学校へ行き、西の町外れにある幼稚園に向かう。大人の足で30分の道程。今日の東京は、小春日和とでも言いたくなるような温かさだった。正直、良い散歩コースである。

自宅を出発すると、スーパーエリアに出る。楽しみにしている業務スーパーのオープン準備が着々と進む。店内垂れ幕を覗き見ると、『特価・マスク50枚398円』との文字が。さすが業務スーパー。開店セールはこのくらい攻めなきゃね。木曜日、開店時間に並ぶ暇を作れますように!

後ろ髪を引かれながら通り過ぎると、住宅街が続く。ここかしこで住宅の建築工事が行われている。年末が近づいているのもあるが、最近、ご近所は建築ラッシュだ。古くからの地主さんの土地で、構造の変更を伴う建築が行われたり、不動産会社に買い取られ、建売住宅にドロンして販売されていたりするところも多い。どこもすぐに住人が入るらしいからスゴイよね。これだけ家が増えれば、小学校の生徒数が増加の一途を辿っているのもわかる。

そんなことを考えながら歩みを進めると、今度は商店街エリアに出る。最近、ママ友の間で噂になっている、某芸能人が経営しているコーヒーショップが現れた。せっかく前を通ったから一杯飲みたいところだが、訓練中だからガマン。商店街界隈では、コーヒー関連店が増え続けている。商店街を抜けた先にある駅前には、念願のスタバも誕生した。我が町のコーヒーブームはまだまだ継続中。夫もこのエリアの一角にあるコーヒー豆の焙煎屋さんで、いつもおいしい豆を仕入れてきてくれる。在宅ワーカーが増えて、テイクアウトや自宅用のコーヒー消費が増えているのかもしれない。

なんてことも考えながらさらに歩くと、いつもの通園路の遊歩道に出た。園までもう少し。ジャケットはもう着ていられない。インナーのヒートテックのせいで、若干汗までかいている。良い運動になった。

弟の登園後は、お迎えのギリギリまで在宅作業をしていることが多い。ご近所をこんなにも長い時間、ブラブラ歩き回ったのはいつぶりだろう。スカイブルーの空の下、訓練という名のご近所めぐりに興じた昼下がりであった。

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