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ショートストーリー

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#小説

ショートストーリー

ショートストーリー

これは昨日書いたストーリーとは全く別物である。

大学1年生の前期テスト最終日に映る夕焼けは美しい。ムワッと広がる蒸し暑さは心地よく、夏の訪れを教えてくれる。大学構内は妙にざわつき、みんな夏休みの計画でも立てているのだろうかと想像を馳せて暇を潰す。

時間は17時43分。18時から授業のグループ発表の班で打ち上げをすることが決まっている。早く時間よ来ないかなとワクワクする。こういう待ち時間は楽しい

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#1 ショートストーリー

#1 ショートストーリー

港区にオフィスを構え、ウィーンと気持ちよくセグウェイを乗りこなす男がいた。

「社長、おはようございます。本日のスケジュールです」

秘書は手際よくレジュメをその男に渡す。

曲がり角にもかかわらず、スピードを落とさないでいると、社員とぶつかりそうになり、
「ちょっと危ないじゃないですか!」

「すまんすまん、LINEマンガ読んでた」と言い訳。ちなみに社長のお気に入りは「白竜legend」である。

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物語「ポストモダンガール」 ①

ブログの執筆が滞っているため、その日その日思ったことをそのまま書き出して1本の物語を作ることを試みる。

今回のテーマは「ポストモダンガール」とする。

それでは早速始める。

友達がカラオケにてスマホに耳を傾けている。特異な行動に、隣にいる私は声をかける。

「電話なら、外でしなよ」
「いや、メロディの確認」

彼女はそのまま耳にスマホを傾ける。メロディの確認…? すごい!彼女はまるでミュージシ

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物語「ポストモダンガール」②

そして、カラオケを皆々が歌い、彼女が歌う番がやってきた。そして、彼女は選曲する。トイレで出入りする周りの行動を気にしつつ、ウケが良くない限界線を認識しているはずだ。おそらく好きなアニメのオープニングだかエンディングを歌いだろうが、我慢しているに違いない。選曲履歴には無いものの、検索履歴にはその手の曲がびっしり詰まっていることがその証左だ。さぞ、悔しいだろう。こういう光景を見て、「これだから日本人は

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物語「ポストモダンガール」③

微量のコーラをグラスの中に入れるという無意味な動作をした後、私は部屋に戻った。

曲の進行状況を示す6段階の数字は5から6へと変わった。

ちょっと戻るのが早かったなと、後悔する。ずっとスマホを見ながら形容しがたい表情をする友人。

私は噛みしめる。ビリビリとむしゃくしゃに破り捨てたい衝動を我慢して。

頼む、早く終わってくれ。君はもう十分過ぎるほど、役目を果たした。もう無理する必要ないだろ。『雰

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