薔薇の横顔
早朝から冷たい雨が降り、
濃灰の空から叩きつけるような雨が降り、
遠雷の訪いに肩をすくめ、
バラバラと落ち続ける白い礫に目を剥く。
そんな天の気を受けても、
喧騒の合間には陽が顔を出し、
凛と可憐な花が開く。
春の日に娘から贈られた花を植え替えて、
お世辞にも上手いとは言えない世話でも、
私という粗忽に負けず、
あれから三周目の開花。
この花は強い。
助言を受けて、
今ある姿を一旦捨てると肚を括る。
うまく行っているからと言って、
それが最善だとは限らない。
この花鉢が次も咲くために、
更に大きな花を咲かせるために、
花を捥ぐ。
最善を尽くすために今を捨てる。
うん。心地良い。
手のひらに花を包み、さくっと捥ぎとる。
雨の向こうに陽が割り射して眩しい。
きっとどこかで虹が出ている。
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