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誰か早くスピッツを国の重要文化財に指定した方が良い


どうも!考える犬です。

突然だけど、スピッツって最高ですよね。


……(視聴中)


あぁ、スピッツは良いなぁ。
スピッツは、良いよなぁ。


というわけで、今日はスピッツの話。

といっても、いつもほどガチ分析はしません。だってみんなもう知ってるから、スピッツの素晴らしさは。今日はそんな誰もに愛されるスピッツの良さを、思いつくままに語りたい。だらだらと。


そんな週末です。
お酒でも飲みながらお付き合いください。


1.スピッツのここが良い


スピッツは、最高のバンドだ。


何が最高かと言うと、そりゃもう色々あるんだけど、うーん、そうだな。
まずスピッツは、アンサンブルがすばらしい。


第一に、三輪テツヤ氏のギター。

(左端の違うバンドの人みたいなのがてっちゃん)

彼の特徴と言えば、クリアトーンのアルペジオ。アルペジオっていうのはギターの弦を一本ずつ弾く、実に繊細な奏法である。


「えっ、そのルックスで??」
と驚いてはいけない。見た目からは荒々しいパワープレイが予測されるが、その実、丁寧な仕事人なのだ。


そんな彼のプレイが光る名曲は山ほどあるが、あえて挙げるならこの曲を置いて他にない。

最高。

イントロからサビ、アウトロに至るまで、ずーっと宝石のようなアルペジオが堪能できる。というか、もうこの曲自体が国宝だよなぁ。


お次はベース。
そう、田村さんの縦横無尽にうねるベースだ。

田村さん

スピッツは比較的シンプルな歌メロが多いが、そこに彼が非常に激しい凝ったベースラインをつけることにより、曲に猛烈な勢いと個性がつく。これはもはや一種の発明と言って良い。


そして音も躍動するが、本人も動く動く。
初めてライブで見た時、たまげたもんなぁ。

↓はライブのダイジェスト映像だが、ぜひ動画で見てほしい。


↓は切り抜き画像。
彼がいかに自分の持ち場から離れているかがわかる。

田村さーん!!

でもこの体から溢れ出る強烈なグルーヴが楽曲の中で光る。これがスピッツサウンドには欠かせないんだよね。


そして熟練のドラミング、崎山さん。
彼はもうなんと言っても上手すぎるのよ。

鉄人・﨑山龍男。

何が凄いって、思い起こす限り、彼のドラムが滑ってるのを一度も見たことないんだよな…。ずっっと上手い。ずっと安定。でも守らない。常に攻めてる。なのに滑らない。なんそれ?人間か?まさに鉄人。


そんなリズム隊2人が曲のエネルギーをブーストさせて、サウンドに勢いが生まれる。そう、実はスピッツはリズム隊が特徴的なバンドだ。

前へ前へ、アグレッシブに躍動するベース&ドラムの上に、てっちゃんのアルペジオとマサムネさんのガラスのような声が乗る。これは一般的なバンド像とは役割が逆と言える。普通はギター&ボーカルが前で、それを下支えするのがドラム&ベースなんだよね。

アグレッシブなリズム隊に、職人肌のギター&ボーカル。
それがスピッツだ。

これにより、ロックの衝動をビンビンに発しつつも、どこか繊細で押しつけがましくない、彼ら独自のサウンドが完成するのである。


そして、何といってもこれを語らないわけにはいかない。
スピッツサウンドの要にして、邦楽界の至宝。

草野マサムネの歌声である。

天使の歌声

ソングライターとしても天才的な彼の楽曲、
そしてバンドが作り上げた盤石のサウンド。
そこに最後に魂を吹き込むのが、この声である。

透き通っていて、柔らかくて、でもどこか神経質で切なくて…。聴く者にこれほど多様な感情をもたらす声を、僕は他に知らない。


一曲聴きましょう。
2008年の楽曲、「若葉」。

…あぁ、良いなぁ。

この曲、1番ではマサムネさんの極上のボーカルが、そして2番に入ると先に述べた最強のスピッツサウンドが一挙に押し寄せる、贅沢な一曲だ。でもって歌詞もすばらしい。

思い出せる いろんなこと
花咲き誇る頃に
君の笑顔で晴れた 街の空

若葉/スピッツ

暖めるための 火を絶やさないように
大事な物まで 燃やすところだった

若葉/スピッツ

彼の歌詞は決して難解な言葉はないが、示唆と隠喩に溢れており、絶妙に聴き手に余白を残したレベルの高い表現である。これについて語るとそれだけで記事が一本書けてしまうので、ここでは割愛。


…そんでまたマサムネさんって、あくまで淡々と歌うのが良いよね。

情熱的に歌うボーカリストも素敵だけど、彼のように淡々と丁寧にピュアな歌詞を歌われると、かえってストレートに刺さって、油断すると泣きそうになる。辛いことがあった帰り道とか。


そう、僕が思うに日本人の8割は一人の夜、不意にスピッツに刺されたことがある。それぞれのシチュエーションで、それぞれの曲によって。

おそらく僕たちの心の中には、「スピッツ」という箱みたいなものがあって、そこには大事な曲が宝物のようにしまってあるのだ。あの日あの時、寄り添ってくれた思い出とともに。


そんな具合に、彼が生み出した曲は、そのどれもが「誰かの大切な一曲」になるポテンシャルを秘めていると思う。

あなたの特別はどれ?

2.スピッツとミスチル


ところでスピッツといえば、僕はつい無意識にミスチルと対比してしまう。その証拠にほら、先日もこんな呟きをしている。

ね?

…という僕のゴミみたいな呟きはさておき、スピッツとミスチル。

彼らはデビューがほぼ同時期だし、同じ4人編成。さらにお互いに意識し合っていることをインタビュー等で公言している。自他共に認める「ライバル」と言って良い関係だ。

しかしこの両者、ある種対照的なバンドである。
例えばミスチルはどちらかと言えば、変化を続けてきたバンドだ。

Mr.Childrenの世界観は、常に桜井和寿の迷いと葛藤、そしてそこからの脱却。それを繰り返してきた歴史であるように思う。

だからこそ彼らのサウンドは幅広く、年代によってカメレオンのようにその色を変える。新譜を聞けば新たな挑戦に驚かされるし、「Kind of love」を聞けば「やっぱこの頃のミスチルも良いよなぁ」と思う。

(彼らのデビュー曲。ビートルズっぽい演出をやらされてる感が愛おしい。)



一方スピッツ。
彼らのサウンドは、時代によって大きくは変わらない。
ちょっとこれを聞いてほしい。

スピッツのデビューシングル、「ヒバリのこころ」である。

この曲を、2017年に演奏した映像がこちら。

どうだろう?

音圧、演奏、オーラ。そのどれもが着実にパワーアップしているのは間違いないけれど、彼らの世界観、目指す音楽像は全くブレていない。おそらくスピッツにあまり詳しくない人に「これがスピッツの新曲だよ」と聞かせても気づかないのでは?? それくらいの一貫性。


そういえば少し前に「スピッツってどれも同じに聞こえる」という趣旨の意見が界隈をざわつかせたけれど、それはおそらくこの辺に理由がある。

曲の構成要素って「音色(楽器)」、「コード感」「リズム」、「スケール」、「ルーツとするジャンル」など色々あるけれど、スピッツに関して言えばこれらの要素がデビュー時から今に至るまで大きく変わっていないのだ。

(↑2023年のシングル、「美しい鰭」)

かといって彼らの楽曲が単調かというと、決してそういうわけではない。彼らはあくまでこれと心に決めた要素の中で音楽を追求し続けているという、それだけだ。もちろん、「では変化を続けたミスチルは軽薄か」ということでもない。


不安と好奇心を胸に音楽的な探究を続けてきたミスチルに、自分の好きな音楽を信じてコツコツと歩みを重ねたスピッツ。どちらも最高。みんな違って、みんな尊いのである。

それは彼らがいかに素晴らしい音楽を量産してきたかを見れば明らかだ。


3.総括


ということで見てきたけど、どうでした?
僕は「つくづく日本はスピッツに征服されているな」と思いました。


だってこの人ら、30年以上も一貫した世界観とサウンドを鳴らし続けているのだ。街の中で、誰かの車のステレオで、あるいは一人歩くイヤホンから。ずーっと鳴り続けているのだ、このサウンドは。


そんなの好きになって当然…いや、もはや好きとか嫌いとかいう問題ではない。我々の血肉の一部なのである。スピッツは。

ずっと見ていたい背中

もちろん本人たちにそんなつもりなく、自分たちの音楽を続けてきただけなんだろうけど、それを30年以上も粛々と続けてしまったことにより、図らずも大部分の日本人に彼らのサウンドを刻み付けてしまった。それも、それぞれの大切な思い出とセットにして。


だから僕らがスピッツを聞くとき、懐かしさと、安心感と、ほんの少しの切なさが込み上げてくる。それは日本人が桜を見て「綺麗だ」と思うくらい、ごく自然なことなんだと思う。


そんな日本の宝、スピッツ。
願わくば、どうか僕が死ぬまで音を鳴らし続けていてほしい。


だから誰か早くスピッツを国の重要文化財に指定した方が良い。
早急に。


今日はそんなお話でした。

それでは!


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