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目の前にある階段を下るか、それとも上るか。 上には大好きな人がいる。下にはじぶんを育…
翌週の土曜日。僕は施設に向かい、いつも通り母の表情を見る。今日も眠そうだが、穏やかな笑…
「まさこにとっての『夢』は、秀雄さんが戻ってくることだったのかなって思うの。だから『夢』…
僕が三歳のとき、当時の父、秀雄は消防士をしていた。もともと運動神経が良かった上に、人を…
「まさこは元気?」 翌日。僕は朝から母の妹である遠藤よしこさんの家へ向かった。よしこさ…
ある日。それは日本中を焼き尽くすような太陽が、ようやく落ち着きを取り戻した頃だった。そ…
壁に飾られたその絵に描かれた真実を、僕は受け入れることができるだろうか。 母が介護施設に入ってから三ヶ月が経った。僕は毎週土曜日にこの場所を訪れては、母の体調を確認する。母はいつでも少しだけ眠たげな表情で僕を見つめて、戯けたことばかりを言っている。 「わたし、今は花束を持ったお嫁さんなの」 母の手には、造花を束ねたものが握られている。僕はしっかりとした笑みを作ってあげて、母を褒めた。 「そうなんだ。綺麗なお花もらえて、よかったね」 嘘か誠か。虚実か真実か。そんな難し
「俺、お前の分まで頑張るから」 日が落ち始める夕暮れの空の下、僕と真島は二人で花壇の縁…
僕の一つ前の机には、一輪の花が入ったガラスの花瓶がポツリと置かれている。造花のように枯…
しとしと降る雨がアスファルトを刺激して、ビショビショにさせて鼠色から真っ黒に染めていく…