お金の価値とは何だろうか?

 お金とは、サービスや技術を生み出した人間に対し、それを必要とする人が対価として差し出す物である。お金を利用すれば価値のあるサービスや物品と交換ができる。

しかしながら、お金のそれ自体には価値は存在しない。例えば、無人島に漂着した人々がお金を所持していたところでそのお金自体、何も役には立たない。彼らが無人島において真に必要としているものは、食料や生活必需品であるが、お金を持っていたところでこれらは手に入らないからである。したがって、お金というものが価値を持つためには、お金が価値のある何かに交換可能であるという前提や環境が必要なのである。

人間文明において、お金が誕生し普及した背景として、この交換可能性の環境が整備されたことによるものが大きい。人や物の動きが流動的な都市などにおいては、この交換可能性が高レベルで実現されており、お金さえあれば様々なサービスや物を手に入れられる。したがって都市の様なコミュニティにおいてはお金は非常に高い価値を持ち重宝される。お金と物の距離が非常に近いため、双方の価値が密接に結びついているのである。

私は、このような都市環境における、お金と物の価値の倒錯を懸念する。物やサービスへの欲求がいつしか、お金を所持すること自体への欲求とすり替わるのではないか。人々はお金を所持し貯蓄することに価値を見出すため、お金は循環せず、経済が回りにくくなる可能性がある。

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