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ホンダアツシの【読むべし!】vol.8『私たちは子どもに何ができるのか』ポール・タフ著

ホンダアツシの【読むべし!】vol.8


第8回目となる今回は、

『私たちは子どもに何ができるのか ーー非認知能力を育み、格差に挑む』ポール・タフ 著、

をご紹介します。



教育に関する書籍です。

近年の教育現場の疲弊と崩壊は、日本の未来を左右する一大事です。


公務員であるかも関わらず辞めていく先生が増加、さらには精神疾患で出勤できない先生も多くいます。一昔前には考えられませんでしたが、先生という職の難しさが今、露わになっています。



本書は、非認知の力に焦点をあてた本です。

一般に、私たちが頭に浮かべやすい力は、読み書き計算、分析といった認知の力と呼ばれるもの。これはある程度目に見える形で、例えば、筆記試験での点数といったようなもので表すことが可能で、わかりやすい能力と言えます。

一方、本書でフォーカスされているのは、それ以外の力、たとえば、やり抜く力、好奇心、誠実さ、自制心、楽観的なものの見方、といったような目に見えづらい力です。非認知の力と呼ばれているものです。筆記試験のようなもので図ることが難しいものですよね。なかなか分かりづらいものだと言えます。


本書では、この非認知の力こそが、認知の力を底支えし、子どもたちの能力を伸ばしていくのだということを、エビデンスと共に明らかにします。

それは一般にいうところの、学力さえ左右する、そのことを本書が明らかにします。

非常にコンパクトで分量も少ない本ですが、今後の教育の向かうべき道を示唆する決定的な本となっています。

いつもなら目次をご紹介するのですが、ちょっとこちらがシンプルすぎる構成のため、文章を引用することにします。


私の至った結論はこうだ。「非認知能力は教えることのできるスキルである」と考えるよりも、「非認知能力は子供をとりまく環境の産物である」と考えたほうがより正確であり、有益でもある。


非認知の力を伸ばしたいからと言っても、先生が生徒にどう教えれば養っていけるのか?を、ノウハウのようなもので示すことが難しいと筆者は述べています。

ぜひ本書を読み進めることで、非認知の力に対するアプローチや環境づくりについて考えてみてください。

僕も現場にいて、この10年弱の間で、非認知の力にアプローチしてきました。現場感覚としてもかなり前からその重大さは認識していましたし、今、2020年を迎えてよりその思いは強くなっています。(なお、僕の取り組みについてはnoteの他記事や動画シリーズ『教え方2.0』をご覧ください)日本の、そして地方を代表する、大変貴重な事例かと思っているので、著者ポール・タフさんに、一つの事例として、取材していただきたいとすら思っています。

閑話休題。

学校を中心とした学校現場が機能不全に陥って長い時間が経っています。その要因の一つ、否、要因の中心にあるのは、先生と生徒が信頼関係を築けないこと、そればかりか指示命令強制型の指導を強めるだけになりかえって逆効果になっているという現実です。

本書は、クラス運営や授業作りなどにお困りの先生にはぜひ、一読していただきたい書籍です。

ページ数は少なめコンパクトなので手軽に読めますよ。

(終わり)













 

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