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ホンダアツシの【読むべし!】vol.3 『教育格差』松岡亮二著

読むべき必読の文章や記事、書籍をご紹介する、
ホンダアツシの【読むべし!】vol.3。

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第3回の今回お届けするのは、

書籍『教育格差』(著・松岡亮二/ちくま新書)
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世間を騒がせた「身の丈」を理解するためにも、この書籍は必読です。

言葉の遣い方は気をつけなければなりませんが、実際に私たちは格差社会に生きている、そのことを教育の現状から紐解いてゆく書籍です。

本のそで(表紙の折り返してあるところ)に書かれた強烈な文章を転載します。

つまり日本は、「生まれ」で人生の選択肢・可能性が大きく制限される「緩やかな身分社会」なのだ。

この文章が気になる方は、ぜひ本書を読んでみてほしいと思います。


データをもとに、教育における「格差」を明らかにします。

書籍を読むと分かりますが、かつて、教育にはデータらしいデータが豊富ではありませんでした。
どうやら日本の教育はデータやエビデンスをおそろかにしてきたようです。
そのこと自体も驚きなのですが、
ようやく昨今集積できたデータをもとに、教育の現状をつまびらかにしています。

昨今教育の書籍を追ってきましたが、これは決定的な書籍であると思います。


個人的な見立てとしても、苅谷剛彦さん(社会階層について明らかにした)以来のインパクトであるとみています。

教育関係者は必読ですが、現在子育て中の親御さんも読まれた方がよろしいかと。
間違いなく、養育、教育の手がかりとなるでしょう。


それなりに厚〜い書籍のため、ここで全てをご紹介することは避けておきます。

読み解く際のキーワードは「大卒親」です。

さらに「都市部と地方の格差」「地域内の格差」も重要な鍵となっています。


この辺りを気にかけながら、内容はお読みいただくとして、ここでは、重要な示唆となる養育についての用語をご紹介しておきます。

これを知るだけで、すでに子育て全般の教育をどこに向かわせるべきか、のヒントになるはずです。

以下、「意図的養育」と「放任教育」についての記述です。

用語的な紹介のため、少し長いですが、引用・転載しました。


意図的養育
1・習い事参加・テレビ視聴時間の制限など「日常生活の構造化」
2・論理的な言語、豊富な語彙による「大人との議論・交渉の奨励」
3・子供に便宜を便宜を図るための「学校などとの交渉」
「意図的養育」をされた子供は、教師や医師のような社会的立場のある大人相手であっても臆さず交渉し、自分の要求を叶えようとする特権意識を持つようになる。



放任的養育
1・子どもの日常生活は構造化されていない。大人によって組織化されていない、すなわち「自由」な時間が多く、近所の友人や親戚と遊び、一部番組内容を除いてはテレビ視聴も制限されない。
2・大人との交渉を奨励される意図的な養育とは異なり、親は命令口調が多く、言語的な内容伝達は最小限に留まり、大人に対して質問、交渉することは期待されていない。
3・親戚とは強い繋がりを持つが、学校などの「制度」との関係は限られる。親は自身の教育歴(低学歴)から学校教育について無力感と落胆を抱いていて、学習については専門家である教師の仕事と捉えている。
「放任的養育」を受けた子供は大人に対して自分の要求を伝えることに躊躇し、教員など権威に従う制約感覚を持つようになる。


教育と子育てに関わる皆様が読まないわけにはいかない、データから見る教育格差。

著者は、これまでも、現在も、変わらず「生まれによる格差」が存在し続けていると述べています。
世界的にも同様です。


だからと言って放置して良い訳ではない。

私たちが取り組めることが何か?
また、自衛できるとしたらどんなことか?

それを考える手がかりになるはずです。


一点、付け加えるとすると、あくまでも研究サイドとしての書籍であるがゆえに、解決策の提案が幾分か心細いように感じます。
現場的な見方をすれば、改善、解決策はまだあるはず。
むしろそう思いたい。

(実際のところ、僕自身はすでに自分のできる範疇で子どもたちの現場で取り組んでいます。これは参考になるはずです。ただし格差とは外れ値を除いて、超えることのできない障壁なので、このあたりは厳密な意味でのベストアンサーになっているかは微妙なところですが)

ということで、今回は近年の教育必読書をご紹介しました。

書籍『教育格差』(著・松岡亮二/ちくま新書)
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(終わり)


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