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「下手なオンライン授業」の方程式

現状の学校の中で、ひとつ判明したことは、子どもたちが下手なオンライン授業をうけてしまって、“オンライン授業ってイマイチだな“という子が、生まれてしまうのだということだろう。


学校のオンライン授業が下手すぎて、全く意味不明だったという子が僕のところにも実際にいる。これについては、先生の側も言い訳をしてしまうから注意が必要だ。
「リアルならこんなことはない。リアルならいい授業ができる」、なんてことになったら、オンラインの存在自体が一方的に悪者になってしまう。

おいおいそれはちょっと待て、だ。

考えてみよう。


なぜ下手なオンライン授業が生まれてしまうのかを。

本当に、オンラインの授業がわかりにくいのは、「オンラインであること」のせいなのだろうか。

そもそも、リアルの授業であればその先生は、本当に上手な授業をしているのか。


ここでは、「下手なオンライン授業の方程式」を示す。

そして、オンライン授業がどうして下手なのか?どうしてわかりにくいのか?リアルなら上手な授業ができるのか?を明らかにしたい。


下手なオンライン授業が生まれる方程式はこうだ。

(ア)そもそものリアル授業の下手さ × (イ)オンライン授業の下手さ × (ウ)デバイスやツールを使いこなせない下手さ = 下手なオンライン授業 

三つの要素が、悲しいかな、掛け算されてその威力を増す。

ア)は、先生によくある“自分は授業が上手い”という思い込みに関すること。自己満足と呼ばれるもの。本来、授業が上手というのであれば、他人やお客さん(ここでは生徒や保護者、および市場)から適切な評価、批評を受ける必要が必要がある。客観的評価を欠かすことはできない。ところが学校には総じてこれが存在しない。王様はいつも裸なのである。
だから、オンライン授業をやることで、実はリアルの授業が下手だったのだということが、このたびの禍下では明らかになる。

イ)は、「オンライン授業だからこその良さ」をうまく生かせるかどうか。リアルにこだわり過ぎるとうまく行かない。オンラインはやはりオンラインなのだから、その特性を理解し、オンラインの良さを生かした授業が求められる。リアルをただ置き換えようとしても、あまり良いものにはならない。
そこには柔軟さも必要だし、クリエイティブでなければなるまい。お手本も正解もない今だからこそ。


ウ)は、テクノロジーへの理解と順応である。たとえばパソコンを使うなら、タイピングが得意である方が有利だし、タブレットを使うなら、そもそも普段からタブレットを利用し馴染んでいる人が有利なのは当然のことだろう。ピンチインって何?スワイプってどうやるの?では、まずいのは自明なはずだ。
デジタル、テクノロジーを知ろう。学ぼう。プロとして仕事をし続けたいのなら当然のことだ。とりあえず、いい映像といい音を準備することは、ホストの側の必須事項であると考えたい。


繰り返す。

(ア)×(イ)×(ウ)=下手なオンライン授業


こうして下手な授業が生み出されていく。これが今起こっているのことの正体だ。


たとえば、標準的スキルを数値1としよう。
1より大きければ優っている、1より小さければ苦手だとしてみる。
今、ア、イ、ウがいずれも少し苦手、上手くないとして、それらの数値をそれぞれ0.8と仮定した場合、0.8×0.8×0.8=0.512、となる。


驚くなかれ、それぞれが標準の8割程度の力では、結果、オンライン授業としては半分程度の実力となってしまうのだ。

このインパクトは大きい。

オンライン授業は、ただやれば良いならまだしも、そのクオリティを求めるなら、思う以上にハードルの高いものかも知れないのだ。(これを考えると、オンライン授業が一定数スタートした後に、一気に淘汰が始まることが予想できてしまう)


ハードルが高い分、簡単に諦めるのではなく、じっくりと向き合い、実力を養う必要があるはずだ。リアル授業ができるから、オンラインもできるだろうというような安易なものではないのだ。(もちろん、これはクオリティを求めた場合。まずはやってみる、というところのハードルが高いわけではない)
 
何かをすぐに見切り、諦めるのは簡単なことだ。


より深く知ろう、深めよう、技術を磨こう。

あなたが本当にプロなら、〇〇は苦手だから、で逃げてはならない。
少なくともすでに民間では、デジタルが苦手で使えないという講師は、首を切られている。(リアルで聞いている)。
プロならプロらしく向き合うのは民間なら当たり前のこと。学校の先生だから、公務員だから、は言い訳でしかないのだ。

すべてはまだ始まったばかりだ。


自分がどこへゆくのかを、自分が決めよう。
可能性の道は、誰の前にも等しくひらかれているのだから。



(おわり)



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