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日本の発想力で最強のパスタになったナポリタン

こんにちは、日伊通訳マッシ(@massi3112

「ナポリタン」を初めて聞いた時に、ナポリ料理のことではないか?と思った。
見た目もイタリア料理っぽくて、スパゲッティにトマトソースが和えてあって具だくさん。
僕はイタリアでナポリのパスタを食べた記憶がない。おそらく食べたことがないことに気が付いて、日本で食べられるなんてラッキーだと思いながらワクワクして頼んだ。
ここから地獄が始まるか、天国が始まるか、道ははっきり分かれる。

食べるのが大好きで新しいアレンジに興味がある僕にとって、パスタの意外な味と新しい使い道に恋に落ちた。日本人が考えて日本で生まれたパスタ料理に感動した理由は、パスタ文化ではない国でこんなに美味しくて感動させられるアレンジが生まれたということだ。このような感動は人生でなかなか出会えない。

ナポリタンは簡単にいうと日本料理の一つということで、イタリア料理と比べずに食べれば特にイタリア人にとって最高に楽しめる料理だ。ナポリタンを研究し出したら、新しい世界に辿り着いたような気分になった。
ナポリタンの発祥は1946年。横浜で開業した老舗の「ホテルニューグランド」が終戦後に提供したのが最初だそうだ。

もっと詳しく名前の由来や歴史を知りたい方はこの記事が参考になるから、読んでみてね。僕もナポリタンのことを深く調べるなんて、完全に愛読者の1人だ。

進駐軍は持ち込んだパスタを茹でてケチャップを混ぜただけのものを食べていたという。これを見かねたホテルの二代目総料理長の入江茂忠氏が、炒めたハムとマッシュルームを茹でたパスタに加え、トマトペースト、玉ねぎ、にんにくなどを使ったトマトソースで和えた料理を完成させた。これが「ナポリタン」の発祥で、当時はトマトソース自体を「ナポリ風」と呼んでいたのがその名の由来であるとされている。
ナポリタンが一般の人々に広まった大きなきっかけは、材料のトマトソースが手に入れやすいケチャップに置き換えられて一般家庭でも作りやすくなったことにある。

男の隠れ家デジタル


大好きなナポリタンをもっと食べてもらいたい。世界中に広がって欲しいという気持ちが強いけど、イタリア人の壁にぶつかって負ける。イタリア人は海外でイタリア料理やイタリアを代表するパスタなどを食べると、現地や地元の味と比べてしまう。要するに、美味しくないと感じる。ナポリタンの場合もそうなる。トマトソースのパスタに見えて一口目からケチャップで作られたと分かった途端、「美味しくない」「考えられない味」「イタリア料理に失礼」などの悲しい言葉が出る。言われたことも聞いたこともある。

イタリア人の考え方が変わればナポリタンも楽しめると思うけど、おそらく変わらない。イタリア料理ではなく、美味しい日本料理の一つとして食べれば日本のことがますます好きになると思う。

世論調査大手ユーガブは世界の17カ国でイタリア料理の食べ方についての調査をした。結果を見ると食文化の差が激しい。イタリア人にとって、最も受け入れるのが難しかったのは「パスタにケチャップをかけること」。

「容認」が7%、「容認できない」が89%

世論調査大手ユーガブ

この結果を見て感じたのは、イタリア人はイタリア料理の味や作り方などを守る傾向が強い。良いことでもあれば悪いことでもある。発想力とチャレンジ力の進化は遅くなる。新しい料理も生まれるのが難しい。もちろん、イタリア料理も好きで美味しいけど、いつもの味と仕組みから少し離れると、受け入れない。

イタリアではケチャップの存在を一言で言うと、「ジャンクフード」のイメージ。ハンバーガーやフライしたものにしか使わない。トマトソースと違って甘味が強くてソースとして認められない。

ケチャップを使う魅力は少し甘みが出て濃厚な味ということだ。チーズやタバスコ、ピーマンと玉ねぎ、きのこ、ソーセージなどの好きな具を入れればいつも最高に美味しくなる。
実はナポリタンも地域によって、仕組みと出し方が変わるから「ナポリタンの旅」ができる。例えば、名古屋に行くと、鉄板ナポリタンに卵焼き付き。

銀座ライオン 名古屋

同じ「銀座ライオン」でも地域によって、こんなに変わるなんて、ワクワクするよね。しかも、東京駅の銀座ライオンは温泉たまご、銀座の銀座ライオンは目玉焼き。ナポリタンの自由さが半端ない!

銀座ライオン 東京

コメダになると、パンもサラダも付いてて食べ方はまた変わる。

コメダ珈琲店

日本在住イタリア人は一部の人だけナポリタンが好きで美味しく食べられるけど、多くのイタリア人はやっぱり無理だ。ナポリタンは美味しいと言うだけで、「マッシはイタリア人じゃない」「マッシはイタリア料理を裏切っている」などのことを言われたことがある。

ここでもう一度言いたいのは、「美味しい日本料理のナポリタンはイタリア料理と比べる意味がない」ということ。
忘れないでほしいことは、「美味しい料理は国境がない」ということ。
そして、美味しい美味しくないというのも人による。イタリアで生まれてないパスタ=美味しくないという考え方は非常に失礼だし、胸が痛む。

日本に来てよかった理由の一つは間違いなく、ナポリタンとの出会い。パスタに対する知識が広がってある意味、自分の成長にもなった。

ナポリタンを食べ続けてわかったことをまとめたから、ぜひ皆さんも楽しくアレンジしてみてね。
①出来上がったナポリタンにモッツァレラチースを乗せて軽く混ぜ混ぜして溶け出したら食べる。
②ミニトマトをカットしてオリーブオイルをかけて混ぜ混ぜする。ナポリタンを食べる前に上にかけて食べる。
③パスタの食感を楽しめる秘密はパスタの太さ。太めのパスタを使うのがおすすめ。

ナポリタンへの愛情が伝わったら嬉しい。日本は寿司、刺身、ラーメンだけではなく、ナポリタンも非常に魅力的だから、多くの人に知ってもらいたい。

Massi

みなさんからいただいたサポートを、次の出版に向けてより役に立つエッセイを書くために活かしたいと思います。読んでいただくだけで大きな力になるので、いつも感謝しています。