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♯22 あとがき:派遣社員生活を通して学んだ、「全ては〇〇から始まる」

派遣社員生活が長くなってくると、就業先で親しくなった社員さんや上司から、
「今まで色んな会社に行かれてたでしょ?ぶっちゃけ、うちの会社ってどんな感じに見えてる??」
と、質問を受けることも多くなった。
ひとつの会社で長年働いている人ほど、興味津々で聞いてくるのだ。

「〇〇なところが、よい会社だと思いますよー」
などと、答えると皆さん安堵した表情になる。
その度に、自分の仕事に誇りを持って、長く働き続けられる環境って本当にうらやましいな…と思うのだ。

私が一社目に正社員として勤めた会社は、超ブラック企業と言っても差支えのないところだった。
上司がいい加減、社員に覇気がない、薄給でボーナスも退職金もない、セクハラ・パワハラも日常茶飯事…今では信じられない様なことがまかり通るひどい職場で、
憧れのマスコミ業界に心が浮き立った若者が、理想と現実の間で疲弊していた。
私自身も法律スレスレのことを強要されることもあったりと、身の危険と我慢の限界を感じる日々だった。
自分の仕事に誇りも持てなかった。
「就職超氷河期にせっかく好きな業界にいるのに辞めるのはわがままなのではないだろうか…」
「こんなニッチな仕事しかしていない自分は他の会社で通用するのだろうか…」
「5年で辞めるなんて、私は我慢が足りないのだろうか…」
そのようなことを数年悩んだ末に、最後は気持ちが完全に切れての退職だった。

今考えると、もっと早く辞める決断をしておけば良かった、然るべき機関などに相談に行けば良かった…などと思うのだが、
私はそこが一社目であって、中にいる間、自分の会社を他社と比較することができず視野が狭く、自分の状況を客観的に見れていなかったのだ。

派遣社員となって色んな会社に行かせてもらったが、そこ以上に酷い会社は今のところなく、大概の理不尽には耐えられる様になっていた。
他の派遣社員のスタッフの方が
「こんなことを派遣にさせるなんて、この会社はおかしい!」
と、怒っていても、そうかな??と思うぐらいに軽く麻痺してしまっていたことにも気付いた。
やっぱり私は酷い会社にいたのだな…という確信を持てたことは、悩み抜いた自分への慰めにもなった。
(案の定と言うべきか、一社目は私の退職した数年後に事業譲渡され、今はなくなってしまった。)

反面、やはりその会社ごとに良いところ、悪いところがあり、
理想通りで完璧な会社なんてないのだな…としみじみと思わされている。

派遣社員生活を通して一番感じたことは、大事なことは全て『コミュニケーション』、『傾聴』から始まるということだ。
仕事を紹介してもらう際には、派遣会社の営業との信頼関係を築くことから始まる。
職場に少しでも馴染むために職場全体の空気を読むことは、自分に合う職場なのかを早く判断することに繋がる。
頼まれる仕事を把握するためにも、上司や配属部署の社員とのコミュニケーションは要になる。
アウェイである派遣社員は、ただ受け身でいては十分な役目を果たせない。そうやって居場所を作っていかなければならないのだ。

これは恐らく社員も同じである。
正社員時代、私はきっとホームな状況に甘えて、常に受け身で、積極的に社内コミュニケーションをとらずにいたのではないかと思う。
たらればにはなるが、もっと色んな人に助けを求めていたならば、少しは状況が改善されたのかもしれない。

企業に属しながら、やりたいことを実現していくためには、何よりも職場に馴染まなければならない。
いくら好きな仕事をしたいと願っても、他の社員の協力を得られなければ、思い通り出来ない部分が大きい。
そういうことを一社目で学べる環境でなかったことは、本当に残念だったが、派遣社員生活を通じて、色んな出会いから学ぶことができた。
そして、何より派遣先で出会う正社員の方々が自分の仕事に誇りを持って働いている姿は、私にとって励みになった。

私もこれからは自分の仕事に誇りを持てる様に働きたい…

そのために今後、まだまだたくさんの企業を派遣社員として巡るのか?
はたまた新たな雇用形態を模索するのか?
今後どうなっていくのか、正直今はわからない。

これからも色々な出会いやコミュニケーションに刺激を受けながら、私の不器用過ぎるキャリアを探る道は続いていくのである。

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