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コメダ珈琲:極上空間

すごく個人的な話だが、最近、特に正確に言うと今年の春くらいからコメダ珈琲に行く頻度がかなり上がっている。

別にコメダ珈琲は以前からあったし、認知もしていたが、特に行くこと、行きたいと思うことは無かった。その理由はズバリ価格帯が高いからで、学生の頃の流れを汲んでいつもお茶はマクドナルドやコーヒーチェーンで済ましていた。コメダ珈琲はその単価の高さから敬遠していたのであった。学生時代も友達との付き合いで行ったことがあるが、「豆が付いてくる」という程度のイメージしかなかった。


それが今年の春ごろの話だ。上司たちと外回りへ出た帰りに、軽くお茶をしようということになり、上司が知っているコメダ珈琲へ案内してくれた。コメダ珈琲は駅前や繫華街の店舗を除いて、基本的には駐車場が完備されているので、我々も仕事用の車を難なく停めることができた。

「久しぶりのコメダ珈琲だなぁ」と漠然と思いながら、私はアイスコーヒーとシロノワールを頂いた。上司と話しながらも改めてコメダ珈琲を見回してみると、全席フカフカの椅子、席ごとの仕切り、熱いおしぼり、雑誌や新聞の完備など改めて他のコーヒーチェーンとは一味違った感じに気づいたのと同時に、とても居心地の良さを覚えた。

店内は話し声は聞こえるものの、マクドナルドやスターバックスみたいにガヤガヤしていない。どこか上品な雰囲気が漂っている。学生の時はその価格帯の高さゆえ敬遠していたが、改めて来店するとその居心地の良さを強く感じた。

アイスコーヒーを頼んだが、他の店によくあるグラスや紙のコップではなくマグカップ型のタンブラーで提供されるので、口当たりもよく、水滴が垂れてくることも、氷がすぐに溶けてしまうことも無い。

コーヒーと一緒に豆菓子もついてくるし、シロノワールを始めとするデザートはどれもパンチが効いていて、一つ一つが主役になりうるボリューム感を持っている。私はその日から、コメダ珈琲のファンになってしまった。それからは誰かといてもコメダ珈琲に行くし、朝からどこにも行かなかった一人の休日でさえコメダ珈琲だけは行く日も多い。それくらい信頼を置いている。


売り上げも好調のコメダ珈琲であるが、ビジネス雑誌『PRESIDENT』のオンラインサービスであるPRESIDENT onlineにはその人気の秘密が書かれていた。

コメダ珈琲は、郊外型のお店では駐車場から設計するらしい。そこには十分な駐車台数の確保と広いスペースが用意される。そうすることでストレスなく、クルマでの利用ができるようにしているのだそう。

確かに、言われみれば私も休日は車での移動が多いが、コメダ珈琲はほとんど必ず駐車場が付いているため、事前にリサーチする必要がない。また十分な台数やスペースがあるので、店の横に数台しか停められないラーメン店などと違ってストレスを感じることは少ない。いや、むしろクルマ移動の時は「駐車場があるからコメダ珈琲に行こう」という動機を持って向かうことも多い。

コメダ珈琲のアイスコーヒーは一杯500円するが高いと感じないのはこういう秘密にあるのかもしれない。コーヒーが一杯300円でも近くの駐車場代が200円かかってしまうとしたら、どこか心理的な費用感を感じてしまうが、駐車場が付いていて、コーヒーが500円ならば、同じ費用でもどこか納得してしまう。不思議なものだ。

また記事には「階段のある店舗にはしない」ということも書かれていたが、これも確かに言われてみれば印象を決める大きな要素だ。回転寿司など多くの飲食チェーンでは1階が駐車場で2階が店舗というパターンが非常に多い。これなら確かに、スペースを有効活用することができるが、客は階段を登るというストレスやその代償を味わわせられることになる。

「階段を登るのはしんどいなぁ」と意識的に思うことはあまりないかもしれないが、無意識的にはそれがストレスになっているということだ。コメダ珈琲はそのストレスを取り除くために階段を設けていないらしい。


コメダ珈琲は単価でみると、「安い」ということは無い。他にもコーヒーや食べ物を食べられるところはたくさんあるし、もっと安く済ませる店もある。だが、それでもコメダ珈琲に行ってしまうのはその単価以上の満足感や付加価値が確かに感じられるからである。

コメダ珈琲は単に豆菓子やモーニングがサービスされる店では無い。記事にもあるように、クルマの運転中にその看板を見つけた時からその体験は始まっている。そして、店内に入るまで、その滞在中、店を出る時などすべてが考えられた体験なのである。

最近では土日のどちらかは必ずコメダ珈琲に行くと言っても過言ではない。確かにコーヒーの値段は安いとは言えない。だが、コメダ珈琲にはそれでも行きたくなる価値がある。スターバックスやファミレスには無い満足がそこでは得られるのだ。

最近の読書はもっぱら自宅かコメダ珈琲で行っている。




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