「ほんとうにやりたいこと」と「我がまま」
「ほんとうにやりたいこと」は自己実現の欲求ですから、「我がまま」に生きるということですね。そのままでいいんだよということです。
そのままでいいんだよということは、日本国憲法13条1項前段が保障しています。「すべて国民は、個人として尊重される」。あなたが感じること、考えることを、日本国は尊重するというのです。
「ほんとうにやりたいこと」を追及して、「我がまま」に生きていいんだよということは、13条1項後段が保障しています。「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」。幸福追求の権利ですね。
「わがまま」になっちゃいけないよということは、「公共の福祉に反しない限り」という文節が言っています。公共の福祉とは、public welfereのことで、みんなの幸福という感じです。人に迷惑を掛けるようなことは、幸福追求の権利としては尊重しないよということです。
(引用はじめ)
「我がまま」とは、自分のあるがままを受け入れ、自分の考え、思いを大事にしながら生きるという生き方です。一人の人間としての個の尊厳を重んじた生き方です。
そういう生き方は、自分を大事にするのと同じように、他の人の尊厳を重んじるといった、社会との連帯意識、共同社会の秩序を重んじることにも通じるものです。これが個人主義社会を支える基本的な理念です。
一方、「わがまま」とは、主として自分の感情に基づいた衝動的な行動に走る生き方です。好き勝手に好きなことをやる。しかも、それが周りの人たちにどういう影響を与えようが、傷つけようがおかまいなくする、という自分中心主義的の生き方です。
この、自分中心主義的な生き方は、個人主義的な生き方とは程遠いものですが、このところを混同している若い人たちが多いのです。
(近藤裕、「本当にやりたいこと」を見つける本)
個人主義と自分中心主義の違いを理解していない人は、若い人に限らないでしょう。むしろ、年齢の高い人に多いのではないでしょうか。
好き勝手なことは、ほんとうにやりたいことではないでしょう。ほんとうにやりたいことを捉えて、我がままに生きる。他の人の尊厳を重んじて、社会と連帯して、共同社会の秩序を重んじて。日本人(民族)に合った生き方ではないかと思います。いかがでしょうか。
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