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あえて「愛」を定義するなら~天秤の皿の外~(2)

(1)からの続きです。

さて、
(1)では、「「愛」とは何なのか?」について、私なりの考えを書きました。

では次に、
「愛する」とは、どういうことなのか?
について私なりの考えを書いてみます。

似たようなテーマだと思う人も多いとは思いますが、今回は、「愛する」という行為(まあ、心持ちと言った方が適切だとは思いますが)が、自分の糧となる方法について、私なりに書かせて頂くので、得られるアイデアは広がると思います。


前置きが長くて申し訳ございません💦
さて、皆さんは目の前の人を「愛しよう」と思った時、どうしますか?

良いところを探す。
悩みを聴いてあげる。
話しかけてみる。
わがままを聞いてあげる。

これもまた、人それぞれだと思います。


私は、「愛する」ということは、具体的な行動や態度以前に、
「心の天秤の皿の外に、相手を置いてあげること」
だと思います。


…「心の天秤」って何でしょうか?
それは、
「生き残る上でのあらゆる選択を行うときに、私たち人間が心の中で使っている、「(自己の)欲求」と「(社交における)要求」の自分にとっての重さを比べるための天秤」
です。

そして、この天秤は、

「欲求」の方が重ければ、「要求」は切り捨て

「要求」の方が重ければ、「欲求」が抑圧される

という性質をもっています。

したがって、心の天秤を使って
相手の要求を「重し」
とする行為は、優しさではなく、結果として、「相手の要求」を理由に「自分の欲求を抑圧」する行為で、その行き着く先は「我慢の限界」であり、「関係の破綻」なのだと思います。

だから、相手とのやり取りの中で、心の天秤を持ち出した時点で、ベクトルとしては「関係の破綻」へと向かっており、それは「愛の無い」行為なのだと思うのです。

なので、心の天秤が自分にかける負担を理解した上で、相手とのやり取りの中で、
「できる限り心の天秤を使わないようにする。」
このことが、「愛する」という行為では、非常に大切になるのだと思っています。

ここで、テーマを少し広くしてみます。
「「愛すること」と社会生活での自分の心の支え方」についてです。


人間は、「社交」の中で生活していくものなので、この天秤を一日中ギッコンバッタンして生きているのだと私は考えています。
そして、この「天秤をギッコンバッタンする」という心理的な行為が自身に過剰な抑圧や罪悪感を強要し、徐々に人の心を疲弊させて行くのだと私は考えています。

だから、ギッコンバッタンを減らしてあげると良いのだと私思っています。

あくまでも、心持ちの話なのですが。


では、どうするればいいのか?


「頭の整理」をしてあげればいいのです。

日々、生活をしていて、自分の欲求と同時に、社交的な要求を感じとったときに、

まず、心の天秤に、目を向けるのではなく、

相手の「生きる」や「存在」

が、その「天秤の皿の外」にあることを認めてあげるのです。

正直、これは状況によってはなかなかエネルギーのいることだと思います。
でも、この「相手の「生きる」を皿の外に置く」という心持ちが、結果として、自分の心にゆとりをもたらしてくれるのだと私は、思います。

なぜなら、自分の欲求も、社交的な要求も、過ぎてしまえば「その時だけ」の物だからです。

だから、そこにわざわざ相手の「存在そのもの」を持ち込み、天秤を使い終わった後も生き続けるであろう、その「相手」と自分のストレスを関連付けてしまうと、自分の心がむやみに疲れてしまうハメに合うのです。


少し話がずれますが、
人にとって「幸せ」は、一種の生きるモチベーションであり、自分の「生き残りたい」という生物としての根元的な心のベクトルと一致する何かに出会ったとき、人は「幸せ」を感じるものだと思います。

でも、社会は、「利害」や「競争」で成りたっているので、常に人々に各々の「心の天秤の使用」を要請して来ます。
そして、人同士も何らかの天秤の上に乗せられ、比べられ、「重し」とされた方が優遇され、天秤の示す結果の先にしか「幸せ」が無いような錯覚に陥りがちです。

ここに、落とし穴があるのだと私は思うのです。

天秤の示す結果がどうであれ、必ず「共存」には、人それぞれの「生」を支え得る要素があるはずで、その「共存しているという事実」自体が本当に有り難いもので、人の心を豊かにしてくれるはずだからです。

だから、そういった意味での「本当の幸せ」に気付くためにも、「心の天秤」は、最小限にしか使わない努力をしてみるのもいいのかもしれません。


心の天秤を支えて日々疲弊している自分の心は、もしかしたら、自分で「天秤の皿の外に置いてあげた存在」が、知らず知らずの内に支えてくれるものなのかもしれませんよ。

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