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拝啓、映画館さま。

例年より梅雨が長引く今日この頃、
いかがお過ごしでしょうか。

私は大学一年生の時に
初めてアルバイトをしました。

両親や親戚からお小遣いやお年玉以外で初めてもらうお金、そして自分が働いた対価としてもらうお金はどこからがいいのだろう?と考えた時、

割と自宅から近く、当時は新しくできたばかりの映画館をバイト先として選びました。

私はポップコーンやホットドッグ、ドリンクなどを販売するコンセッションという部門を担当。

アルバイトに憧れがあった私は、
大学一年生から平日に授業ではなくバイトばかり入れていました。

そんな私を見て、バイト先の大学三年生の先輩は

「そんなんじゃ卒業間際、
 マジでヤバくなるからな〜!」

とふざけて笑いましたが、
実際そうなったのは言うまでもありません。

それほどに私は映画館でのバイトが好きでした。

平日も夕方になれば学生やカップルが増えるし、
水曜日はレディースデイで朝から混むし、
土日は朝から晩までワタワタしっぱなし。

夏休みの土日なんて
信じられないほどのファミリーで溢れました。
ポケモンとドラえもんを呪いそうになりました。


だけど私はそのバタバタ感がたまらなく好きだったし、暇すぎて永遠と予告を見続けて台詞を覚えられるようになるより、
ずっとそのドタバタした時間が楽しくてしたかなかったのです。
(ポケモン、ドラえもん、さっきは呪うなんて言ってごめんなさい。むしろ感謝しています。)

真夏の開演間際は
たまにファミリーのお父さん同士がぶつかり合って、一触即発なんて場面も何度か経験しました。

それもそのはず。
映画館は劇場内は涼しいけれど、
飲食販売の前ではポップコーンもひっきりなしにポッコンポッコン作り続けるし、
さらにそこに大行列ができているしで、
すごい熱気なのです。

もう開演が近づいているのに!と焦る中、
さらに暑いし、
順番がどうのこうので、沸点も超えますよね。

お待たせしちゃってごめんなさい、お父さん。
でも、大丈夫。
予告の時間がたっぷり待ってますから、ほんのちょっと開演時間に遅れても平気なんですよ。
だからどうか怒らずに、冷静に冷静に。

私は大学生の間ほぼここでお世話になりました。

おかげで4年間でかなり多くの映画を、
あの大画面で観られたし、
大学もバイトも休みの日には当たり前のように
2本立て、3本立てで映画を観に行きました。

私が映画館でバイトし始めたことで、
両親も「映画館に映画を観に行く」という行為を頻繁にするようになりました。

それまではあまりそういう2人の姿は見かけませんでしたが、私がいるならと応援するつもりで観に来てくれていたのかもしれません。

それがいつの間にか当たり前のようにレイトショーにやって来たり、私が観たいと言っていた映画を、私のバイト中にそそくさと先に観てしまうようになりました。

両親にとって映画館が身近な存在に舞い戻ったことで、私が社会人になってからも、ふたりは当たり前に映画館に通い、私も一緒についていくこともありました。

うんと小さな頃から両親や友達と数えきれないほど行った映画館。

父とふたりで行った思い出は少ないですが、
キャンディ・キャンディと何かが2本立てになっていた映画を朧げに覚えています。

母とは数え切れないほど映画を観ました。
幼少期に観に行ったドラえもんは入り口でおもちゃがもらえて、それだけで当時の私は有頂天でした。
ふたりで何度も何度も観に通ったのは、何と言っても「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズでしょう。3作目が公開になる前、1,2作目の復習公演も何度も何度も夜中にふたりで通いました。

友達とも何度も色んな映画を観ました。
ディズニー作品やジブリ作品はもちろんのこと、私には興味のないジャンルも観に行ったりしました。

そうですね、
映画館と言えばデートスポットとしても上げられますね!

私も夫と付き合っていた頃、何度か映画館に行きました。その度に夫が爆睡するので、
どうしたものか…と困ったりもしました。

でも、
お陰様で私はひとり映画館を平気で満喫できるタイプの人間。
朝イチで映画館に行き、映画の世界にどっぷりと浸かることは、私の心をいつも満たしてくれました。


今は、その心満たされる時間を恋しく思います。

営業を再開され、
感染症対策が万全なのも重々承知しています。

しかしながら毎週私は悩み、心が苦しいです。

あの大画面のスクリーンで映画を楽しみたい。

身近な存在でありながら、
非日常の世界へ連れて行ってくれる映画館が、
今の私にとっては
とても近くて、とてつもなく遠いのです。

旧作のアンコール上映を大画面で観たい!

そう強く思うのに、
行っていいのだろうか…大丈夫だろうか…
という迷いが、
胸をギュッとキツく掴んできます。

こんな残酷な告白をわざわざあなた様に対して
する必要もないと思いましたが、
その一方で私は応援する気持ちも強いのです。

シネコンで大作映画を観ることが楽しくなった大学生の頃の私は、
単館映画を観るために小さな映画館にも通っていたからです。

一番の応援は私自身が映画館に足を運び、
映画を観ること。

それなのにどうしても踏ん切りがつかず、
毎週悩んで行けない私を許してください。

私ひとりが行かないことであなたがどうにかなってしまうかは分からないけれど、
この日々の苦悩と葛藤を、
どうしてもお伝えしたかったのです。

そして今週も
迷いに迷ってチケットを購入できなかった私を、
お許しください。

どうかこの切なる思い、届きますように。





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