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睡眠の質を高めるコツについて: 勉強・学習の効率をよくし、生産性を向上させ、健康な日々の生活へとつなげる

本記事は、睡眠の質をどう高めるかについての記事です。


睡眠の質を高めよう

日々、どうよりよく眠り、次の日の朝に、快適に目覚めるか。個人的な体験に基づきながら、その Tips について書いてみたいと思います。

記事としてまとめるにあたり、個人的な体験や知識のみに基づいて構成するのではなく、いくつかの医学研究結果や論文に加えて、先日の英語学習の記事のように、TED Talks で睡眠の重要性やその改善について専門家が語っている Talkも参考としています。(参考となる Talk については、記事内にリンクを貼りつつ、最後にまとめて並べてあります。)


睡眠は人生の重要な一部だ

VUCAというワードが人口に膾炙されるようになる程、変化が激しく、不確実な時代に私達は生きています。そのような中で、心身ともに健全に暮らしていくには、「安らぎの一時」、「休息の時間」が必要です。

睡眠は、私達の人生の重要な一部分です。睡眠があってこそ、日々の行動はよりアクティブなものになります。睡眠があってこそ、私達の学業や仕事、スポーツ、余暇におけるパフォーマンスはより高いものとなります。睡眠を取るからこそ、我々は日々のつらいことにも耐え、前を向いて進むことができます。睡眠は、創造性の質の高さに繋がり、それは人生の幸福感とも繋がります。


睡眠は我々の生産性を支え、ポテンシャルを高める

睡眠は幸福感につながると述べました。眠りが深くなると生産性もあがり、イライラしなくもなります。その分、個人としての仕事も捗り、コミュニケーションにもいい影響を与え、組織としての仕事にもよい影響を及ぼします。また、万全の注意が必要な作業や時間帯において、うたた寝等による致命的なミスも避けれます。重要な会議でうたた寝することはキャリア上とてもリスキーなことですし、生活の中においても致命的な状況をもたらしえます。この動画(「なぜ私達は眠るのか?」)では、現代人の睡眠状況の中では、31%のドライバーが運転中にうたた寝を一回は経験することになるという推計に言及しています。

睡眠を取ることは活動のパフォーマンスにおいても非常に重要です。

生産性の向上に関しては、このTalk(「睡眠を操り、生活を改善する」)が面白い研究結果を示しています。単調な動作で構成されたタスクあっても、その後に睡眠を取り、再度タスクを実施すると生産性が向上する結果が確認されるというものです。脳がそのタスクに向かった学習(情報処理の最適化)を睡眠時にも実施しているのではないかと推測されます。昼寝を扱ったこちらのTalkでは、昼寝すらも生産性向上に効果的であると述べています。夜型と朝型ではそれぞれテストの平均点が異なってくるという研究結果を紹介しているTalkもあります。

また、睡眠は我々の健康的な生活にとってとても重要です。この動画(「睡眠はあなたのスーパーパワー」)では睡眠が病気のリスクとどう関わっているかを述べています。

適切な睡眠は我々の生活の基礎です。よい睡眠を取り、日々のパフォーマンスを高めていきたいものです。


睡眠の Tips に入る前に

以降、睡眠の質を高める Tips について書いていきます。ですが、その本題に入る前に、留意事項について記します。

この記事は医学的な記事ではありません。論文等、医学的なソースも参照していますが、筆者個人の体験にも基づいています。各Tipsは、睡眠障害を治療するものではありません。もし睡眠障害にあると思われる方は、あくまでも医師や専門家のアドバイスを仰いで下さい。


生活習慣が睡眠の基礎となっていく

睡眠の質を高めるための最初の項目は、生活習慣を整えようという至極当たり前のことから始まります。本記事でも後の方では、細かい Tipsも紹介していくのですが、最終的には「生活習慣を整える」という王道に立ち返っていきます。

ジョギング、ランニング、インドアでもできる体操やヨガ等、簡単なエクササイズを日々の中で習慣づけます。また、食事も飲料もヘルシーなものを適度な量で決まった時間帯に食べるように意識します。

この遺伝子と睡眠の関係というテーマでの Talkでも言及されていますが、ルーティーン化された適切な運動や、暴飲暴食や偏食を避けた健康的な食生活は、適切な睡眠のサイクルを作るのに貢献します。最終的にはこのサイクルをいかに構築していくかの心がけが、日々の深く快適な睡眠を作ります。


規則性を作り、維持する

睡眠のサイクルに関連して、「概日リズム」という言葉があります。

一般的には体内時計と呼ばれ、約25時間周期で変動する生理現象で、動物、植物、菌類、藻類などほとんどの生物に存在しています。個人差もあり、厳密には地球の自転と一致しておらず、光や温度、食事など外界からの刺激によって修正されることで24時間のサイクルを維持しています。

そのため、体内時計のサイクルを適切に修正・維持していくことが、睡眠にとっても重要ということになります。つまりは、同じ時間に寝て、同じ時間に起き、なるべく同じ時間帯に食事をとる、ということです。

もし平日でも週末でも寝不足になってしまった場合でも、日中に寝ることで睡眠を取り返そうとするよりは、同じ時間帯の行動サイクルを繰り返し、体内時計のサイクルを元に戻すように調整を試みることが、結果として睡眠の量と質を回復させます。

目覚ましにアラームを使う人も多いかと思います。しかし、規則性を意識し、概日リズムをコントロールできていると目覚ましのアラームがなる前にスムースに目覚めれるようにもなります。(こちらに関しては、後述しているスムースな目覚めのTipsも参照してください。)


運動をしておく、リラックスしておく

気持ち良い就寝に向けて、身体と心の健康も維持するように努めましょう。エクササイズについて前述しましたが、日中に運動をしておくことは健康的に過ごす意味でも、概日リズムをきちんと機能させる意味でも大切です。

また、以下のジョン・ホプキンス大学の記事では、運動をしておいて体温をきっちりあげておき、就寝時に体温がきちんと下がることで、睡眠に入ることがサポートされることを述べています。


身体の健康維持をしつつ睡眠に役立つというところでは、鍼(はり)の施術が、血流をよくし、痛みを低減し、ストレスを減らしていき、質のよい睡眠に貢献するという興味深い研究結果もあります。


また、自分のストレスレベルがどれくらいにあるのかを意識し、なるべく高くならないようにしましょう。高そうであったら、夜になる前に、発散する、気分転換する、意識的に気にしないようにする等を心がけることで、ストレスレベルを鎮めておきましょう。ストレスレベルを下げるには、「リラックスできる音楽を聴く」、「心が落ち着く内容の読書をする」「マインドフルネス瞑想を試してみる」というのもありかもしれません。


就寝の準備に入っていく (2時間前)

就寝の準備に入ります。就寝の準備は、寝る直前に始めるのではなく、ベッドに入る2時間ぐらい前から計画的に、段階的に行っていきます。睡眠とは、TVのスイッチのように、それをオフにすることで突然眠くなるというものではありません。脳にも身体にも心にも、これから就寝に向かうことを継続的に伝えていき、身体のモードを睡眠へと切り替える生理的プロセスとして十分な時間が必要です。

まずは、アルコールやカフェインの摂取を就寝2時間前から控えることにします。

そして、2時間前から1時間前の中で、ストレッチをしたり、深呼吸をしたりして体をほぐします。心と身体のこわばりを落としていき、日中の緊張を寝室に持ち込んだりしないようにしてみましょう。そのためにも、お風呂に入ることは効果があります。後述するWSJの記事内にもあるのですが、ある研究では、若く健康な人は就寝前に暖かいお風呂に入ると、余波睡眠(脳を休ませる深い眠り)が約10%増すことが分かっています。特にお湯に浸かることが大切とのことです。


就寝の準備に入っていく (1時間前)

1時間前からは、PCやタブレット、スマホなどのデバイスの画面から離れ、ブルーライトを目に入れないようにしましょう。ブルーライトは、可視光(人の目に見える)の中で紫外線に近い(380~500nm)青色の光で、角膜や水晶体で吸収されずに目の奥の網膜まで届く強い光です。特にLEDを使ったパソコンやスマートフォンはこの光が多く発せられており、体内時計のリズムに影響を与えます。

デジタルが睡眠の導入を妨げることに関しては、既に参照済みのこちらの動画でも述べられており、デジタルから就寝前は離れていくことが肝要です。

また、学業や仕事等、日中の喧噪からも距離を起き、就寝前を心穏やかにできる時間として確保します。

そして、家の電気の半分を暗くしましょう。そうすることで、脳に睡眠の時間に向かっていることを伝えます。この時点で、眠気を感じ始めたとしたら、プロセスは順調に進んでいます。


就寝の準備に入っていく (30分前)

30分前に入ったら、のんびりとぼーっとするような感じで過ごすようにしましょう。この際に、ちょっとだけ部屋の温度は涼しくし、段階的に明かりも暗くしてておくと、睡眠がスムーズになります。この理由は以降の項で述べます。


寝室はミニマリズムで

さて、寝室に入って就寝に向かいます。

寝室の環境が眠りを誘えるようになっているかは大事なポイントです。例えば、以下の記事は、平安を与えてくれるベッドルームについて紹介していますが、ここまではいかないにしても、気持ちが静かになるような環境であるのは理想です。


寝室はミニマリズムの精神でいくのがいいでしょう。できる限りの余計なものはおかず、シンプルな空間にします。そこはあなたの聖域であり、ある種の瞑想の場所となります。心をクリアし、穏やかにリラックスして、睡眠の世界へと入っていけるようにしましょう。

ある研究結果では、「若い世代の方はラベンダーオイルによるアロマセラピーをしておくと睡眠の質が高まる」ということが報告されています。もし香りがある方がリラックスする方はそのような環境にしておくのもありです。


寝室の温度について

寝室の環境に関するヒントは「温度」です。温度は涼しくしておくのが大切になってきます。メラトニンというホルモンによって脳と体が体温を一度下げて脈拍も血圧も下がるときに、体は眠りの準備ができたと認識し、睡眠に向かっていきます。それゆえ、体温低下をサポートするために最適な室温も予想以上に低く18.3度前後がよいとされています。

以下のWSJの記事と記事内の動画は、それを詳しく解説しています。


こちらのTED Talk(「成功する眠り」)でも、実は寝室は涼しくするとよいという話は触れています。


寝室での明かり

室温の次に大切なのはやはり「照明」です。私達は予想以上に光に敏感です。暗くしておくことは非常に重要です。こちらの動画(「睡眠の広がり」)では、たとえ盲目であっても、光の影響を受ける研究結果を説明しています。

メラトニンについて触れましたが、日中、強い光を浴びているとメラトニンの分泌が減少し、夜、暗くなっていくと分泌量が増えます。メラトニンは私たちの睡眠の健康的なタイミングを調整するのに役立っています。


照明の光量は段階的に減らしていき、身体に睡眠に向けたシグナルを送り、スムースな睡眠への移行をはかりましょう。ベッドの中でも、好みによって、アイマスクや目を覆うシェードを使って光量をおさえて確実な暗闇を確保しましょう。


枕について

さて、枕についてです。枕は睡眠の満足感を高めます。できれば自分にあった枕を選んでおくのが睡眠の質を高めるために重要です。自分にあった枕で寝ると、首や肩の不必要な緊張が睡眠時にとれ、朝起きたときに、肩こりがとれてたり、首がスムースに回ったりとした違いがあります。

筆者は様々な枕を試してきまして、一時期は旅行でも以下のウェーブ枕のシリーズを愛用していましたが、


今は、自宅では以下の枕を使っています。


とはいえ、レビューにもありますように、頭や首の形で合う合わないがあり、人それぞれということもあります。枕の専門店に相談してみて、自分にあった枕をオーダーメイドしてみるというのもオプションかもしれません。


寝付けないときの工夫

寝付けないときに、羊を数える、というのは昔から言い伝えられている知恵の一つです。元々は英語圏の言い伝えで、”sheep“ を数えていくことで、”sleep” との語感の類似もあって、眠りへ誘うというものです。

実際に羊を数えることは睡眠導入としての効果があるのかについては、2001年にオックスフォード大学での不眠症の研究の中で調査がされました。以下はその論文です。

以下の記事は、論文の内容をわかりやすく紹介しています。

この調査によると、羊を数えることはむしろ寝付きが悪くなったという結果になっています。羊の数を数えあげるという行為が不安を助長し、かえって眠れなくなっているということです。代わりに調査の中では、穏やかな風景(静かな滝等)を視覚的に思い描いた不眠症のグループが、通常より平均して20分ほど早く眠りに落ちたと報告しています。映像を思い描くのは、能動的な脳の行為になり寝付きが悪くなるのではと当初は研究者も考えていたのですが、そうではなかったということです。ここは、知恵のアップデートが必要な箇所かもしれません。

寝付けないときの工夫というのは色々な人が色々なアイデアを試されていると思いますが、羊を数え上げていく行為が、自分が何匹分、今眠れていないのかということを自覚させてしまうために不安を助長するのだとしたら、特にそのような自覚をもたらさない行為の方がよさそうです。工夫としては静かなリズムを自分に与えていくという方向性がありそうです。

例えば、こちらのTalk(「いかに脳を騙して眠りにつくか」)では、左右の太ももを交互に、右、左と優しくタップするということを5分やっていたら眠っていた、というTipsを紹介しています。

また、ちょっと前には、メトロノームをかけて寝ることで眠りにつくという Twitterの投稿が流行しました。

このような感じの工夫の方が功を奏するのかもしれません。

(※睡眠障害については、前述したとおり、医師や専門家のアドバイスを仰いで下さい。)


目覚めをスムースに

さて、無事に眠りにつきました。でも、まだ終わりではありません。眠りの質を高めるには、目覚めの質を高めることも大切です。

暗闇の中でアラームによって突然目覚めるのではなく、体がじっくりかつ、しっかりと活動のモードへと移行していくのサポートするような、目覚めのプロセスや環境をデザインしておくことがポイントになります。

前の方で、眠りにつくためには段階的に照明をしぼり、それがメラトニンの分泌量を増やして睡眠へと導いていくことを述べました。この逆のプロセスが、目覚めの質に関わることになります。光が徐々に入ってくる、あるいは照明を段階的につけていく等をすることで、脳に活動の時間が始まることを伝えていき、メラトニンの分泌量を減るように仕向けます。

そこで、部屋をカーテンで締め切らないようにし、朝が来たら、ある程度の光の漏れは部屋に自然に入ってくるようにします。アイマスクを使っている場合は、一度目が覚めかけたときに、アイマスクを外します。そして、部屋の外の生活音や聞こえてくる家の外の街の音に耳を傾けます。そうすることで、これから朝が来て起床するのだというシグナルを体が受け取れるようにして、スムースに目覚めへとシフトします。

もしアラームをかける必要がある場合でも、無機的なアラーム音で目覚めるよりも、朝に聞きたくなる自分の好きな音楽がかかるようにすることで目覚めを助ける方が良さそうです。以下のオーストラリアのRMIT大学での研究結果では、メロディのある音楽の方が目覚めにはよく、アラームは脳を混乱させる可能性があることを示唆しています。

以下のCNBCの記事は論文の内容をわかりやすく紹介しています。


こちらは目覚めを良くする曲のリストですが、このようなリストを参考にしながら、朝のスイッチを入れるお気に入りの音楽をもっておくのもいいかもしれません。


そして、朝食を食べて、身体のスイッチをアクティブなモードへと切り替えていきましょう。


最後に

最初に書いたように、睡眠は、私達の人生の重要な一部分です。睡眠があってこそ、私達の学業や仕事、スポーツ、余暇におけるパフォーマンスはより高いものとなります。睡眠は、創造性の質の高さに繋がり、それは人生の幸福感とも繋がります。

例え何らかのの事情で短時間睡眠である必要があったり、睡眠時間を確保することが難しくても、睡眠そのものの質を高めていくことは有益です。それは社会にとっても大事なことです。眠りの質を日々高めて、明日に備えましょう。


睡眠について取り扱っているTED TALKの動画一覧


おまけ

本記事のように、他にも様々な言語学習のTED Talkを参照しながら、英語学習の鉄則について考察する記事も書いています。ご興味がありましたら、こちらもご覧ください。



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