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PMM(プロダクトマーケティングマネージャー)とPM(プロダクトマネジメント)を科学する旅  (第1回)

皆様、こんにちは!
テックタッチ株式会社のHead of PMの中出 昌哉(なかで・まさや)です。(@masaya_nakade)CFOも兼務しています。

CFOとして私自身が何をやっているかについて、noteをずっと書いてましたが、今ほとんどの(80%ぐらい)時間をPMM(プロダクトマーケティングマネージャー。以下、PMM)とPM(プロダクトマネジメント。以下、PM)業務に時間を使っているので、複数本でPMMとPMについてもnoteを書いて、ナレッジ還元ができればと思っています。(また、紛らわしいので、プロダクトマネージャーの事をPdMと呼びます(PMとの混在すいません))

PMM/PMの世界はかなり奥が深く、僕もまだ一年程度しか携わっていないですが、
・一年の割に立ち上がりは悪くなさそう(事業成長、結果として会社の成長にめっちゃ貢献できている)
・PMMについてのナレッジが黎明期ということもあり、情報が世の中に転がってなく、手探り&人づて&様々な本を読むことでゆっくりしか理解できず、最初の立ち上げに苦戦した
という思いもあるので、
・PMMって何やってるの?
・PMMってそもそも必要なの?
・PMMにアサインされたけどどんなことをやればいいんだろう。
ということが、本noteによって少しでもわかればと思い記載しています。

ちなみに、少し笑い話ですが、僕がPMM/PMになったきっかけは、以下のCEOの井無田から来たDMで(decchoと呼ばれているのが僕です)、ちょっと雑な打診と、僕の誕生日が7月16日で、誕生日翌日の日曜日に来たのが、今でもちょっと個人的には面白い笑える話です笑

雑なPdM/PMM提案(笑)

最初は、プロダクトチームのイメージも全然なく、何をやっていいかもわからなかったのと、色々な事業の責任者をやっていたので、玉虫色の回答で翌日返信してました笑(辞書の「玉虫色」回答の模範例みたいで、これも見返すと面白い)

玉虫色な回答(笑)

とは言っても、その直後から、やり始めて、早一年。結果的にはすごくよかったと思います(自分としても会社としても)。
個人的にも、事業責任者をやったり、全社の事業戦略を日々考えて実行していた経験がフルに活かされているので、事業開発型のPMを科学できるんじゃないかと思ってワクワクしています。

それでは、今後、PMM/PMの記事は断続的に出していきますが、
第一章ではあるので、まずは「PMMって何やるの?」から書いていきたいと思います。

それでは本編に入ります。


1. そもそもPMMって何をするの?

PMMになってまず最初に、PMMって何やるんだろう(あとPdMもですが)を理解することから始めました。本を読んだり、ググったり、以下のプロダクトマネジメントトライアングルを見たりしました。

結論、マジでわからん。。でしたw
「以下の三角形は一体全体なんなんだ?」とか思ったり、わからなすぎて、三角形に魔のトライアングルとか適当に名前を付けたりもしました笑

魔のトライアングル(笑)

特に、PdMとの違いやBiz Devとの違いがわかりませんでした。そもそもPMMはBizチームの人がやることの方が多いらしい。僕もBizど真ん中の仕事をしてきていたので(事業責任者・セールス・CS、Biz Devのヘッド、等)、その経験を活かさないといけないのに、このトライアングルじゃイメージつかないわ!と思ったりもしました。(例えば、ビジネスモデルとか市場の特定は僕が既にやっていたのと、広告・宣伝はマーケチームがいるし、予算はそれこそCFOで僕やってるし、戦略パートナーはパートナーチームがいるし、等)

イメージが全くつかなかったので、各社のPMMが何をやっているかを聞くことにしました(10社ぐらいにお話聞かせてもらいました。皆様本当にありがとうございました!)。そこで初めて、色々とやることが見えてきたという感じです。

ただ、そこで思ったのは、PMMは黎明期ということもあって、各社各様だなということでした。

そこで、各社やっていることをグルーピングしたりしながら、最初にチーム全体にPMMはこんなことやるぜ!を纏めたのが以下の表です。(PMM開始して1ヵ月ぐらいで作った粗々のverです。当時のものをそのまま貼ります)
まずは、PMMとPdMのミッションを以下のように定義しました。

1.1 PMMのミッション(当初)

以下の図の通りですが、PMMのミッションは、LTVの最大化ができるプロダクト・その売り方を考えると定義しました。PdMは事業課題/顧客課題から何を作って、どんな機能/製品に落とし込むか考えると定義しました。

PMM/PdMのミッション

そして、PMMのミッションを更にブレイクダウンすると、
A. LTVの最大化ができるプロダクトを考える

B. その売り方を考える
にわかれるので、AとBでそれぞれ何をするべきかをさらにブレイクダウンしました。それが以下の図です。

A. LTVの最大化ができるプロダクトを考える

LTVの最大化ができるプロダクトを定義

B. その売り方を考える

その売り方を考える

一人で始めるので、最初はインパクトが出そうな「A. LTVを最大化できるプロダクトを考える」にフォーカスしました。

駆け出しのPMMが作ったわりには、今見返してもまぁまぁではあるのですが(網羅的で多少は参考になりますが)、先ほど僕が「マジでわからん」と言っていた、魔のトライアングルに毛が生えた程度な気もします。

ただ、PMMを一年もやっていると解像度も上がるので、上記のリストとは同じようで違う見方を今はしています。来年は違うことを考えてそうですが、、、今の足元の理解は、以下のようになります。

1.2 PMMのミッション(今)

(ちなみに、テックタッチはBtoBの会社なので、BtoBの会社におけるPMMのあり方になります)

まず、本来的に目指したいのは、プロダクトを提供して、お客様が勝手に買って、勝手にオンボーディングして、勝手にFeedBackをくれて、勝手に他のお客様候補にリファラルもしてくれる。という境地だと思うのですが、この境地にいきつくのは、日本のBtoB企業の場合ほぼ無理だと思います。(所謂、PLGの境地ですが、日本だと特に難易度が高いと思います。理由は割愛しますw)以下の図のようなイメージでしょうか。

理想状況

代わりに、大体のBtoBの会社では以下の図のようになっているのではないでしょうか:
マーケティングチームがいい訴求文言を考えて、リードを集めてくれて、ISチームが商談化してくれて、Salesチームが商談を上手くまとめてくれて、CSチームがオンボを頑張ってくれて、FeedBackは対面しているCSやSalesチームから来る。(以下の図を参照)

心なしか、図の中のお客さんの距離がプロダクトから離れた気さえします(遠くしました笑)

実際のある姿

BtoBは、BtoCに比べてやる事が複雑なので、必然的に上記のようになると思っているのと、特にテックタッチの場合は、エンタープライズ企業に対しての商売がメインとなっていて、関係者が多いのでより一層その傾向が強いです。僕の感覚では、BtoCのビジネスはより理想の状況に近くて、BtoBならSMB(中小規模の会社)向けの方がより近くなって、エンプラ向け(大企業向け)が上記の図に近いという印象です(相対する顧客の数によって相関があると思っています。SMBだと多数の顧客を相手にして、エンタープライズは少数の大きい顧客に対峙)

この図のようになると生じる問題は、色々あり、
1. プロダクトだけでお客さんと勝負できない!
2. 何か解決したい時に、色々な要素が混在して問題の原因と解決策が多岐に渡る!
3. FeedBackが二次情報になるので遠い!
4. 新しいプロダクトを出しづらい!
といった問題がでてきます。

これを解決するのがPMMの役割そのものだと思っていますし、今僕が取り組んでいることそのものです。

1. プロダクトだけでお客さんと勝負できない

まず、最初の問題は、プロダクトだけでお客さんと勝負できない難しさがあります。プロダクトを売るのはセールスだったり、オンボして製品説明するのはCSだったりもするので、「プロダクトだけのことを考えて作っていたら、あら不思議お客さんが購入して満足する」という局面は訪れないです。
マーケプロセスを理解して、どうやったらこんな素敵な商品を認知してもらえるのか、セールスプロセスを理解して、何があると売れるのか、競合に勝ちきれるのか、CSプロセスを理解して、どうすればお客さんのオンボーディングがよりうまくいくのか、を紐解く先にしか、お客さんの幸せはないと思います。
なので、PMMの役割の一つは、マーケプロセスやSalesプロセスやCSプロセスを理解して、そこをレバーに事業を一緒に伸ばしていく。ということになります。これを実施しようとすると、セールスもCSもかなりの粒度での理解が必要なので、事業をやってきた人がやる価値がかなり出ます。コンペ成績をもっとあげるのはどうすればいいか、CSオンボをもっと効率的にするにはどうすればいいか、どういうブランディングだともっとリードを取れるのかを考えるのがサブミッションにもなります。

2. 何か解決したい時に、色々な要素が混在して解決策が多岐に渡る

1.にも近いですが、何かを解決しようとすると、様々なものに頭を巡らせることになります。例えば、CSのヘルススコアが悪いと仮定すると、プロダクトが使いづらい・芯を食っていないという仮説も勿論でてきますが、CSプロセス自体が悪いのではないかという仮説も出てくると思います。競合に勝てない原因も、プロダクトの機能かもしれませんし、売り方かもしれません。それを、縦軸の部署軸・役割軸で切ってしまうと、何が一番重要な要素なのかもわからないですし、バラバラで統一されていない総花的な解決策が出てくることが多いと思います。
なので、PMMの役割の二つ目は、部署横断でイシューを定義し、プロダクトでの解決だけに囚われない、全社のリソースをフル動員して解決を目指す。というのがミッションになります。プロダクトに囚われていないので、柔軟な発想が出てきますし、Bizにも閉じていないので、プロダクト開発を通じて、イシューにアドレスすることもできます。この、発想が無限大な状態で勝負できるのがバリューです。

3. FeedBackが二次情報になるので遠い

Feedbackが、CS経由やセールス経由で来ることが多くなるので、お客さんからの重要なインプットが二次情報になってしまうことが多いです。二次情報になってしまうと、その対面のミッションバイアスがかかるのが難しさです(僕が事業責任者をやっていた時も、なるべくバイアスフリーにしようとしていましたが、やっぱり自分の事業を伸ばすために、強く言ったりする局面等があり、誰しもが陥るバイアスだと思います)。これはなるべく一次情報を取りに行く(お客様にインタビューをかける)のは当たり前なのですが、この二次情報にも、価値がめっちゃ含まれているので、この二次情報をどう料理するかが鍵です。なので、前述の1に近く、Bizの悩みを理解していて(自分で事業をやるか、できないならBizにもインタビューを沢山かけて)、それを咀嚼する。というのがPMMの役割になると思います
例えば、前述の通りですが、プロダクトだけで勝負はできないので、CSの負担を軽くする機能も必要で、その時のPMMのお客さんはCSになったりもするので、全方向的な理解が必要です。(顧客がもちろんお客様なんですが、CSを通じてトータルサービスで勝負しているので、その際はサービス目線(CS目線)でのプロダクト開発も個人的には必要だと思っています。)。余談ですが、「SaaStr」というグローバルのSaaSのイベントで、ある1,000名規模の会社の社長と1on1で話せる機会があり、そこで、彼が「SaaSの最後のSは何か知ってるか?ServiceのSなんだ。プロダクトだけじゃない、サービスでどう勝負するかが肝で常に考えている」と発言していました。As a Serviceの意味は違うだろ(笑)と思いつつも、正しいな・非常にいい考えだなと思っていて、まさにその境地に近いです。

4. 新しいプロダクトを出しづらい

3とほぼ同じ理由で、お客さんと少し遠い関係になったり、セールス/CSを挟んだりするため、新しいプロダクトをローンチしづらくなってしまうという問題が出てしまいます。PMMはここにも上記と同じ理由でアドレスしやすくなるようになってきます。

上記がPMMの役割になってきます。
魔のトライアングルと比較すると、かなりわかりやすくなった気がします。

2. 開発サイクルで見た時のPMMの役割

今までのことをプロダクト開発の開発サイクル上に並べると、よりわかりやすくなるのですが、次の図のようなスコーピングになります(レジェンドを見たらわかる通り、緑色のボックスがPMMの範囲になります)
ちなみに、テックタッチの実際の開発サイクルも以下の通りです。

開発サイクル

テックタッチとしての特徴ではあるので、あくまで一例ではありますが、見て頂くとわかる通り、特徴は3つ程あると思っていて、

  1. ディスカバリーのフェーズでは、UXリサーチや定量分析をするだけでなく、Bizチーム(Sales/CS)との連携や、経営戦略との連携が密に関わってきます(以下で詳細記載します)

  2. デリバリーのフェーズでは、基本プロダクトのデリバリーはPdMが担当していますが、オペレーショナルなデリバリー(プロダクトではなく、サービスや運用で回避できることも多いので)については、アイディエーションの実施・CSチームとの連携を実施します

  3. リリースフェーズでは、顧客への打ち出し方、オペレーションへの落とし方等について、Sales/CS/マーケチームとディスカッションしていきます(以下で詳細記載します)

また、上記の1(図で言うと、以下の図の紫で囲んだ部分)について、まずディープダイブすると、

左下の紫で囲んだ部分

以下のような役割を果たしていくのがPMMのスコープになると思っています。

経営戦略との関わり方:
・市場、セグメント、競合、ビジネスプラン、KPIを議論・理解
・足元の経営課題を議論・理解

CSとの関わり方:
・オンボーディングの課題感、アダプションの課題感を議論・理解
・ヘルススコア、CS効率性、CSの課題感、VoCを議論・理解

Salesとの関わり方:
・Salesの課題感、課題訴求の課題感を議論・理解
・競争環境、プライシング、リードタイムを議論・理解

Marketingとの関わり方:
・マーケティング・PRの課題感を議論・理解
・広報の仕方、チャネル・メッセージについて議論・理解

見て頂くとわかる通り、横串で事業横断しているならではのやりがいがあり、かなり広範な役割にはなります。

ずっと、経営戦略を考えている人、セールスを考えている人、CSを考えている人、マーケティングを考えている人と対面し、そこで彼・彼女らが課題に感じていることをプロダクトで解決するというミッションに加えて、
ずっと一つの領域で問題解決をしようとしているチームと対面して、プロダクト外のソリューションで、当該チームが気付かない解決策を提案できるの?という点は気になると思うのですが、できることは沢山あると思います。
詳細は、noteで別のタイミングで説明できればと思いますが、アプローチが異なるためです。プロダクト開発で使われる思考法(例えば、UXリサーチ、ジャーニーマップ)を使うので、ソリューションを考える際に広い目線からアプローチでき、アイディアを発散できるのが特徴だと思います。

上記の内容を、図にすると以下の図の様になるでしょうか。

PMMのBizチーム・経営戦略との関わり

また、3の開発リリースフェーズについては、顧客への打ち出し方、メッセージ性・セールス資料への落とし込みと同時に、リリースの出し方等について、セールス・マーケティングチームとの連携が発生します。更にリリース後に、CSチームが顧客にオンボーディングしながらプロダクトを使ってもらうことになるので、当該オペレーションへの落とし方でプロダクトの出せる価値も変わります。そのため、当該プロセスも非常に重要になります。

3. 開発サイクルでの責任分担

テックタッチでは、以下の図の開発サイクルを取っていると説明しましたが、みんながざっくり全部をやっている状態ではなく、それぞれのチャンクの責任者を担いつつ、全体も見るというスタイルをとっています。

開発サイクル(再掲)

例えば、「定量データから意味だしをするのは、Aさんが責任者ね。」という感じで、Aさんは全体理解を前提にしつつ、定量データの箇所は責任を持っているという状態です。また、比較的短期間でローテーションして色々経験しながら、視座を深めるということをやっています。(最近始めました笑)
開発サイクルのプロセスをしっかり設計することで、コトに取り組みやすく、再現性が高くアウトプットを出しやすい組織を目指しています。ここは、Product Opsという領域があり、それを参考に考えています。

また、責任者を明示的におくことによって、アウトプットの質も上がるのと、プロセス化しやすくなるのでオススメではあります。
また役割を固定し続けるとスキルが偏るので、ローテーションもオススメです。

4. 最後に

PMMの役割について記載しましたが、如何でしょうか。断続的にnoteを書ければと思っていますので、続編も是非楽しみにしてください。(こんな話を特に聞きたい等あれば是非ツイッターで絡んでください笑)
また、冒頭記載した通り、僕も発展途上で勉強・情報交換したいので、是非意見交換させて欲しいです!奇特な方がいたら是非ツイッター等でDMください。

そして、一番重要な話ですが、
PMM/PMについては、これからもっともっと深掘りしてベストプラクティスを作っていける局面だと思っていて、僕と一緒に本気のPMM/PdMとして働く仲間を募集中です。本気で僕と一緒にPMM/PMの日本のベストプラクティスを作りませんか。ご応募お待ちしています!(是非HPからご応募ください!直接僕にDMしてもらっても、もちろん大丈夫です)
会社HP:https://techtouch.jp/about/

また、
それ以外の職種についても、テックタッチは、一緒にビジネスを拡大してくれるメンバーを大募集中です!少しでも興味があればお話ししましょう!!めっちゃいいチーム・いい事業だと思います!

そして、僕の他のノートはこちら:
A 
シリーズB資金調達の裏側: テックタッチはスタートアップ冬の時代になぜ20億円強を調達できたのか?(前編)
B シリーズB資金調達の裏側: テックタッチはスタートアップ冬の時代になぜ20億円強を調達できたのか?(後編:銀行借入ver)
C 数字でドライブする経営(前編)
D 数字でドライブする経営(後編)


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