海外に学ぶデザイナーのキャリア
この記事は、海外のデザイン業界はどうキャリアを作るかの話です。平均的に日本の方がいい環境を得ることができます。
たとえそれが、ひどい環境でも、海外の場合は上と下の開きが大きいので、下はほんとやばいです。だからこそ、学びがあると考えています。
関連記事を書きました > 『海外に学ぶ社内デザイナー競争』
まず、海外とは、英語圏のことで、言葉はその会社、人に態度の変化をもたらし、キャリア設計も国をまたいでも似てきます。
デザイン業界だと英語で働いている人が多く、評価されている役職の人は皆英語は話せる状態であります。
ここ数年、日本は大手企業などでも退職エントリーも目立ち始め、一つの会社で務め切らない時代が、いよいよ現実のものになってきました。
私は、8社ぐらいは転職経験をしており、日本文化においてはジョブホッパー(ちょいちょい辞める人)に当たるかなと思います。さらに、フリーランスや、社外取締役などを含めると結構な数です。種類は、制作、外国外資、大手、事業会社、スタートアップなど様々です。
これを聞くと、
日本の伝統的な働き方をしている人だけでなくほとんどの人が薄情な奴だなと思うでしょう。
しかしこれを言うのは、デザインやITなど流行を追うというより作り出すような速い業界において、日本ぐらいでないかなと思います。
大手に新卒で入ったり、デザインという職人の世界に入りとにかく5年、10年我慢するものだと思っている人が多いと思いますが、それはもう日本だけかもということです。
『一つを深掘りする大切さ』と、『横断的知識の大切さ』がある時、横断性に価値にようやく気づいてきたかなという風に思います。
一つの深堀はいれば得れますが、横断はまず無理です。
カンファレンスや勉強会に行っても誰も内部の生データの話などしませんしできません。ちゃんとした会社なら、資料を出す前に広報部・法務部などで、徹底的にチェックをするはずです。
しかし入社すれば、当然ですが、仲間としてフィルターのない学びを得ることができます。
スタバの戦略を知りたい場合は、入社しましょう(笑
ということで、日本にいながらにして使えるかもしれない海外デザイン業界の知識をシェアしてみます。
【1】ヘッドハンターを活用
学び = 客観的に自分のキャリアをみてもらう
ここでのヘッドハンターは、内部や企業付き(リテーナー)ではない横断型のヘッドハンターです。私の場合は、シンガポール時代は、シンガポール、香港、日本にヘッドハンターがおり、2,3ヶ月に一度は、最近どうだ?話そうぜということで、電話でキャリアやどこのポストが空いたなどのある種自分を商品とした戦略会議が行われます。
何か難しくに聞こえますが、海外では20代前半の人も当然のようにしています。
なぜなら、いい仕事や役職は実力だけでなく、空いているかどうか、巡り合わせも非常に重要だからです。
日本でこうしたタイプのヘッドハンターは少ないですが、海外も視野に入れる場合は、Linkedinなどなら見つかる可能性が高いです。
メールをみると胡散臭いかどうかは不思議とわかります(笑
【2】SNSを活用
学び = とりあえず釣り糸を垂らしてみる
Linkedinは、英語ベースで、上司の承認なども記載できることもあり、海外英語圏では非常に人気です。中国でも使えるので、英語が話せない現地の有能な若者でも皆使っていました。SNSの良いところは、常に自分のポートフォリオや経歴、スキルをアップデートしつつ晒せるところですね。
この場で重要視するのは、企業内部型のヘッドハンターです。なぜなら、人の入れ替わりが多いことを承知の上で社内にヘッドハンターを抱え、常に探しています。他のヘッドハンターと違うところは、タイトルに年収を書いてきたりして、手っ取り早いことです。いちいち隠してこないです。
例としては:
メールタイトル:XXXX万、クリエイティブディレクター、〇〇社上海、興味あるか?
本文:じゃ、よろしく!
添付: JD(job discription = 役職の能力要求や責任が書かれた資料)
とかですね。こういうのはだいたい本物でした。
これ以上の役職が欲しい場合は、JDが貼られておらず、いくら欲しいか言えと言われます。責任範囲も自分で決めろと。
シンガポールの時は、階段で歩きながら、電卓叩かれて、これでどうだと?見せられて、OKしたら、屋上でタバコ吸うという謎の儀式がありました。
(ちなみに私は非喫煙者です)
【3】速い見切り
学び = 離職は悪いことでない
本当に上手くハマれてない場合は、上司も本人も速攻で組み直しをします。それは、ファイヤー(クビ)や退職など社外に出ることも含まれます。
なぜなら、環境とマッチしてないだけで、使えないというレッテルを貼られ、長い時間を無駄にしてしまうことは相互に利点がないからです。
大げんかをして辞めてあいつはほんとダメな奴だったなんて思われてた人が、大出世しているのを何度も見ました。
要は、情熱が空回りしていたということですね。
海外は、31,32才までにクリエイティブディレクターになれないと将来はかなり厳しくなります。しかし、IT企業などでは、24,5才のプロダクトオーナーなども大量発生しており、時間の考え方の軸が日本とは10年は変わってしまったかもしれません。だから皆焦っているし、速さがもっと重要になったわけです。
ただ、注意としては日本はいまだに、辞めるとその日から敵とみなす謎の文化が結構残っているとおもうので、慎重に。
【4】会社としてでなく、個人として付き合う
学び = 今日のライバルは、明日の味方
海外のデザイン会社は隆盛が半年後と変わります。理由としては、会社の力は、会社でなく、実力・カリスマ性を持つクリエイティブディレクターが決めます。会社は箱でしかありません。
そのため、クリエイティブディレクター同士は、同僚より仲の良いケースがあります。お互いに一発負けたら切られることもある世界の中で、強者同士のコミュニティをガウス状に形成しており、そこにいれば、いろいろな国の、いろいろなポストの話も転がり込んできます。
日本は最近は、他の会社の人とのコミュニケーションは頻繁に行われている認識ですが、まだまだ会社と会社かなという風に思います。
もっと自由にコミュニケーションしてみると様々な可能性が見えるかもしれません。
【5】他業界に目を向けてみる
学び = デザインスキルはデザイン業界以外にも人気
日本の場合、制作会社→制作会社、広告代理店→広告代理店が異様に多いと思います。転職しても、結構環境が変わらず息がつまることもあるのではないでしょうか?
海外では、デザイン、広告業界のスキルは主にコミュニケーションスキルと位置付けられ、どの業界からも人気です。そのため、海外時代の同僚の多くは、代理店外に転職をしていきました。
BMWだったり、テンセントだったりとモテモテなわけです。
日本の場合は、まず事業会社やスタートアップにはデザイナーはデジタルができれば人気でしょう。他にも地方に目を向けると相当ニーズはありそうなものです。
トータルで見ると、海外は過酷ですが、だからこそ生き抜く知恵があるわけですが、そういったものを少し紹介しました。
僅かでも参考や刺激になったようなら、幸いでございます。
では、また!:)