インナーブランディング始めるかの判断【IB中編】
インナーブランディングの重要性について前回書きました。
まとめると、
デザイン業界、経営業界、そして双方をブリッジするデザインコンサルティング業界において、様々なトレンドやBUZZワードはあれど、インナーブランディングこそがより重要なシーンになったではないか考えています。
内側のブランディングを重視することで、ただ儲かる以上の意味を見つけ、ユーザー、市場に合わせるばかりでなく、『らしさ』をどれくらいバランスをとりながら実現できるかです。
(世界の巨大企業は、この精神性の部分も隙なく作り上げてはきますが、、、)
新規企業、部門、サービスをせっかく立ち上げるという方々で、インナーブランディングに少し目配せしてみたい!という人は下記をチェックしてみてください。
まず、私の意見は、インナーブランディングは、始めない方がいいケースも散見されるということからお話をしたいと思います。
やっても大抵効果が出る前に、終わることが多い条件について下記に簡単ですが書きます。
これは内部従業員、外部コンサルタントの能力にも比例はしますが、基本的に決裁者による理解がない場合は、まず失敗します。
また、私個人のやり方は、一般的なインナーブランディングと結構違うところがあり、IT企業・スタートアップなどに合わせ、デジタルのツール活用などを行い、従来より速く完成させるというものです。
インナーブランディングは古くからある手法で、時間・コストなどを掛けるものが主流であるので、十分な時間などがある場合、会社がとても大きい場合などは、伝統的なものを行うと良いでしょう。
概ね、伝統的/世界的ブランディング会社 or 日系大手だと、『コスト:X億円〜』、『時間:X年〜』を掛けるものですが、新スキームでは、大体1/10ぐらいを目処にしています。
インナーブランディング始める前のチェックリスト
基本的に、下記のネガティブ要因数が、ポジティブ要因数よりも多い場合は、成功率は10%以下だと思います。
※誤解のないように言っておきますと、会社・チームが変わらずに事業を継続し、社員・家族を支えられるのであれば、素晴らしいことです。
下記のネガティブ、ポジティブというのは、あくまでもインナーブランディングをやるのであれば、という視点です。
【ネガティブ要因例 9つ】※始める前に注意が必要な状態
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【N1】経営陣が始めようと思っていない
現場は、日々危機感を強めていて、始めたいが、経営を説得しなくてはいけない状態
【N2】役員が始めようと思っている段階
社長を説得しなくてはいけない状態。他の役員に強く反対する人がいる。この状態も全く油断できない、いい状態でないです。
【N3】株式を上場した大企業本体
役員陣自体にも投資の十分な自由がない状態。実施できても、ロゴ変更(アウターブランディング)までに止まることが多く、インナー側は特に変化がない。
【N4】配置転換が頻繁に行われる会社
大体2-3年に一度は、配置転換が行われ、一つ一つに長期的な目標を持つ必要がない状態
【N5】歴史のある大企業本体
50-100年続く企業は企業本体のブランディングを創業者の言葉などを借りているケースが多く、変えにくい状態。しかし、一方で、パワフルだったその言葉も時間の流れによって若干の剥離が生じている
【N6】マーケティングの傘下部門にブランドチームを入れている状態
よくある形ですが、インナーはアウターマーケとは性質が違うので、理解や測定が得にくい。できると思ってやってしまうと、そもそも成功しているか失敗しているかもわからず霧消する。
【N7】現状、会社やサービスに関して危機感がない
本業で利益が出ており、特段変わる必要がない、ステージとして安定している状態。右肩下がりはじめでも気にするほどでない状態。
【N8】短期の定量的ビジネスのみに関心がある会社、チーム
そもそもブランディングは不要で、その時々で勝ちを狙いに行くのが良い状態。コアの業態が不要な状態。
【N9】独占、または寡占によって利益を得ている状態
外的にも内的にも変わる必要性を感じていない状態。
【ポジティブ要因例9つ】※始める前に改善が見込みやすい状態
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【P1】長丁場の時間を掛ける根気・情熱のある人が内側にいる状態
必ずしも役員がやる気出なくても、部長クラスなどで長い時間をかけてでもやるつもりの人がいる。5年〜10年かけてもいいというような情熱です。
【P2】会社のステージが変わりそう、周年記念が近い状態
資金調達時、社員の増加、多角化など、特にファウンダー、社長が変わらなくてはならないと考えている。また、周年発表などで改めて、自分たちの今までとこれからを見直す時期にある時。
【P3】スタートアップ、新事業、新規企業設立した状態
自費または、出資などでこれからやるぞという状態。どちらにしてもミッションなどの整理は発生する。ただし、スタートアップなどの場合、社長が情熱を共有しあえる仲間(元同僚、元同級生など)とブランドデザイナーなしでもやりきれてしまう場合もある。
【P4】海外進出、検討している状態
リサーチなどを海外にしに行くものの、思いの外コミュニケーションやトレンドが読みにくく、少なくとも現場には相当の危機感がある。
【P5】大手コンサルティング企業とうまくマッチしなかった状態
データに基づいた戦略までは作ったが、施策のところでつまずいている。
【P6】強力なライバルが現れた状態
スタートアップや歴史ある会社が先行していた市場に、大手、外資などが現れた時。
【P7】不祥事などが起こった直後の状態
倫理や常識など、言わなくてもわかっていると思われていたことが、実は伝わっておらず、伝え直す必要があると思っている。
【P8】人材が連続で離脱した、非正規/パートなどの割合が多い状態
経営陣の意思に共感している人が思ったより少ないとわかった時。会社に対して共感する理由が薄い時。
【P9】いままで一度もインナーブランディングをしたことがない状態
少なくてもブランドにおける超基礎的なことも知らない。更地の方が進めやすいというケースです。
まずは、興味を持たれて実施して見たいなと思った方は、参考にしていただけたら幸いです。長くなってきたので、次回は具体的なhowの部分を書けるところまで、書いてみようかなと思います。
では:)