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今、企業・プロダクトに必要なのはインナーブランディング【IB前編】

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します!
noteばたついて更新できなかったので、世間の時間が止まっているうちに書きたいと思います。

インナーブランディングという言葉・アクションご存知ですか?
その名の通り、内側のブランディングを意味します。
私の場合は、社員向けというより、創業者・役員も含めて『チームみんなが共通で目指す旗』を作り直すことだと考えています。

一般的に、ビジョン、ミッション、バリューなど企業がある意味の定義などから始めるケースが多いものとなります。
いかにも、面倒臭く、机上の空論感を感じる人もいると思います。実際にワークしているブランディング活動も少ないかもしれません。
実際、内側(社員)から始めれば、客観性や経験則を失い、外側(コンサル)から始めれば、共感性、深度を失い、うまく機能しないことはあり得ると思います。
そのため、私が外部から始める場合、社長か役員がコミットできるか?次第で成功確率を読みます社員(人事部、デザイン部、広報部などなど)から始めると大抵うまくいかないです。

インナーブランディング自体は、ユーザーエクスペリエンスデザイン、デザイン経営、などよりも古い言葉で、刺激的ではないと思います。
実際、ブランディングという言葉・アクションの認知度に対して、インナーブランディングは、1/10のぐらいなのではないでしょうか?

でも、表題の通り、これからの日本や企業やサービスにはとても重要なものになった、よりその傾向は強まると考えています。なぜなら、国内から海外の話をするのであれば、知力・体力では勝負しきれないところまでいつの間にか来てしまったからです。

では順を追って書いていきたいと思います。
・はじめに -私のブランディングの整理-
・インナーブランディングの現状
・インナーブランディングの本来の姿
・インナーブランディングが特に必要なチーム・会社は?

あと、長くなったので、下記は次回
・インナーブランディングの始め方

はじめに -私のブランディングの整理-

私個人としては、
【1】ブランディング(特にインナーブランディング) = マーケティングの下に入るものという分類をしていない。
マーケティングは、市場への最適化を主な領域としており、アウターよりの戦略・施策という認識からです。
一方、私の考えるブランディングは、インナーこそが重要で、アウター向けは、内からのコンセプトによってある程度決められたものが自然に想起されるというものです。
鳥と卵の話のようですが、日々会社としてデータを基にし、数字的な改善をし、利益をあげなくてはならないということを理解しつつも、そもそもそれをやっている理由はあるのか?ということの整理になります。
より大きな会社、既存の優秀なサービスは、日本にはすでにたくさんあります。なぜそれではダメなのかという理由です。

【2】ブランディング = デザイン表現するものという認識・分類もしていない。
一般的にデザイナーが指すブランディングとは、ロゴの製作・規定などと、その周辺のビジネスツール・環境(名刺、ユニフォーム、インテリアなど)であると思います。製作の相談を受けた時点で、デザイナーなりのコンセプトが作成されると思いますが、一般的に表現のコンセプトで、会社や経営自体のものとは良くも悪くも離れているケースが多いのではないでしょうか。
良くも悪くもとは、
良くも = デザイナーがプロとして、腕のふるいやすいコンセプトにすることで、振り切れて偶発的に認知性や審美性に優れたものになること
悪くも = 上記の表現が本来のビジネスやサービスの在り方と関係ないこと
です。

【3】インナーにこだわる理由は、私が、ビジネスやサービスの『始めの理由』に強い関心や感銘を受けているから。
一般的に考えれば、大企業などで働き、すでに稼ぎのあるビジネスを回しているなら、他に小さいモノ、ほとんど当たらないモノをわざわざ作る理由はありません。しかし、何らか数字では測れない理由や情熱があって、新しくビジネスやサービスを始めたなら、その理由や情熱の表現を疎かにして、マーケティングなどの体力勝負で巨人たちと戦うのは、いかにも奇妙に思います。

ということで、アウターのブランディングやマーケティングよりも先に、そもそもなんのために始めたのか?を拡張するからインナーブランディングが大切だと考えているということです。
※比較的新しい単語で、パーパスドリブンと言ったりもしますが、新しいか古いかでなく、本質が重要なので割愛します。

インナーブランディングの現状

概ね10人以上のチームで作るプロダクト・製品に当てはめた場合、
端的にいうと、多くの会社、プロダクトで放置をされていると思います。

創業者・役員のカリスマ性や秀でた経営能力・統率能力によって、インナーブランディングを仮埋めしている状態が多いです。
ミッション、ビジョン、バリューは、創業者・役員らが個人的にインスパイアされた言葉を使うため、時にわかりにくい言葉(ハイコンテクスト、根性論)で表現され、社員や外部パートナーは共感をしにくい状態にある。創業者・役員側は社員は理解してくれていると思っており、社員やパートナーはそれほど気にしていない

また、数字にどう結びつくか、具体的な試算がしにくいので、基本的には放置されているケースもある。
逆に、ユーザーエクスペリエンス(UX)、ユーザーインターフェイス(UI)の方が購入率(CVR)にコンパクトに効くと考えやすく、改善(PDCA)も具体的に回しやすいので、経営からすると注力をしやすい理由がある。これが昨今のUXUIブームの理由でもあるかなと思います。しかし、当たり前ですが、人間・ユーザーを中心として設計することばかりを考えると他のサービスと似ます。その時、似るのは超巨大グローバル企業のサービスとでしょう。マーケティングの体力勝負になれば、良い意味での差を見せるシーンを失うことになります


さらに、共通のビジョンなどがなくとも、日本人はやはり真面目な人が多く、倫理や常識によって自身の行動を見張るため、必ずしもインナーブランディングを強力にしなくても、問題なく、または期待以上に働いてくれる

日本の古くからの形式として、雇われの経営陣や社員の定期的配置転換が起こった時に、亀裂が生じるのは、そもそもビジョン共有がなく細かく対応をし続けることで、数字を超えた発想・判断・行動ができなくなるためだと思います。『チームみんなが共通で目指す旗』がない状態です。これは、純粋な業務の引き継ぎではできません。

一方、多様な人種、思想が混ざり合った時に、何のために、会社が存在するのかはかなり明確に宣言しておかないと、まず良い人が、いい条件で採れません被雇用側も、優秀であるほど、その国のその会社でなくても良いのです。さらに、私が実際に見た優秀な人の共通の特徴は、お金のプライオリティは一番の人は少ないです。自分のキャリアになる、本当に胸を張ってこの仕事を推進して、町や国、人のためになるのかを知りたい人の割合が増えてきています。それは、日本の平均給料より低いアジア諸国でもそうですそのような判断をしていてる20代前半の方々はたくさんいますし、面接などをしていても、長い目でキャリアで勝ち切る自信があるのだと感じました

インナーブランディング活用後の本来の姿

【1】壁を越える伝達性
ビジョンを多言語にしてもシンプルに伝わり、数字的な利害以外に人を味方につけることができる。優秀な人もそのビジョンに惹きつけられ、なぜそのプロジェクトに加わりたいのかを意識できる。これが最もこれからの国内企業やサービスに必要だと思います。

【2】戦略・施策の連続性
担当が変わっても、数字以外にどのような行動をすべきか理解しており、任された予算・裁量の中で、ある程度の冒険・成長を含む施策を行うことができる。
日系企業の海外支社などだと、言語、メディアバイイングの状況、マーケの状況の違いなどから、いい連続性を作ることに苦戦する企業が多いので、インナーブランディングが必要ということです。

【3】タッチポイントの活性
インナーブランディングは行き届いていれば、カスタマーセンター、非正規社員、外部パートナーなど経営者からある程度離れていても、行動・対応に共通点があり、マニュアル外のことでもらしく対応できる、というものです。
簡単に言ってしまうと、アミューズメントパークや、高級ホテルのアドリブなどがそれに当たると思います。

いいことばかり書いていますが、企業だとここまで来るのは早くても1.5年〜はかかると思います。
そのため、初動または、ステージが変わる段階で、戦略に合わせて、組み込まれるべきだと思います。
従業員・パートナーにもわかりやすく設置し、行動変異に役立てるべき、コスト効率も、営業コストも飛躍的に変わる可能性があるからです。
例えるなら、角度1度の変化が、長い距離を進むうちに大きな差になることの様にです。

始め方・やり方などは、長くなるので、次回に回します。

インナーブランディングが特に必要なチーム・会社は?

【1】新規事業
社内ベンチャーには特に必要なケースが多いと思います。理由は外部スタートアップより、資金が少なくかつ、それほど背水の陣という認識、意識も薄いからです。一方、リスクをとって起業する人は、自分の出血を理解しているので、言葉の整理をする前に仲間の獲得などをできてしまうことがあります。

【2】シリーズAの会社
※数千万〜数億規模のコストで、プロダクトを広める段階
プロダクトは、少人数のチームと情熱、計画、実行力などで乗り切ったものの、メンバーが増え、意志の伝達に微妙な誤差が生まれるようになってきた段階。マーケティングディレクターなどの雇用をした時に、お金を大企業のスケールで使うことは慣れているが、いかに泥臭く、らしく使えるかは認識しきれていない状態
この状態のままで、タレントなどを雇用したCMやプロモーションを打つと、資産は消滅することになります。大手企業と混じり合い、印象も薄いものとなるでしょう。

【3】海外へ進出する会社
日本企業・プロダクトから海外進出を想定した時の恐ろしいほど高い壁があります。
筆者も中国、シンガポール、インドなどで悪戦苦闘をしていますが、お金を稼ぐだけなら国内で良いなと何度となく思います。
ただし、市場のスケールは決まり、世界規模のサービスは作れないことを意味します。車、レンズ、衛生用品などは通用していますが、古くからある日本の資産で、それも時間の問題ではないでしょうか
今の時代の恐ろしいところは、コピーの方が本物より良くなる
ことです。
そのような昇華をされてしまうと、勢いのないチームに勝ち筋は100%ないと思います。(100%という表現は嫌いですが

まず、同じ1000万を稼ぐのであれば、特別な助力(親族に有力な現地人がいる等)がない場合、海外の方が10倍はきついのではないかと思います。
独裁政権の場合もありますし、法律がころころ変わるところもあります。基本的に外国人、外資にはきて欲しいと、地元国政がウェルカムと言っていても国民はそう思っていません。
その時になぜそこにその企業・プロダクトがあるのかをその国の言葉で、タブーを回避しならが、端的に説明できなくてはなりません
例えば、アメリカの企業がこれができるのは、もともと多民族・(一神教を含む)多宗教の同居国家だからだと思っています。
日本の場合は、かなり近い認識を持った人が集まり市場を形成しているので、海外に出る時にびっくりしてしまうわけです。言わなくてもわかるだろという認識だと協業できません
あと当たり前ですが、世界には、お金や知力を底なしに持っている人もライバルとして出現します。そういう人たちは、不思議なことに、ルックスまで完璧だったりします、、、笑

そこを何がしたくてはるばるきているのかをミッションに表す必要があるのです。

ちょっと長くなったので今回はここまでで、次回はやり方のステップみたいなものを簡単に書いてみようかと思います!
では、今年もがんばりましょう。