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五輪新種目と農業の共通点「シェア文化」からビジネス成長のヒントを学ぶ

2020年には東京オリンピックが開催されます。日に日に大きく注目度が増しています。その東京オリンピック新種目の中で、実は日本が世界をリードする競技があります。

それは3人制バスケットボールの3×3です。

日本にもリーグが存在し、プロリーグ「3×3.EXE PREMIER」のスポーツビジネスは世界にも注目され、大きな可能性を秘めているそう。

3×3はFIBA(国際バスケットボール連盟)が2007年に正式な統一ルールを設けられ、ヨーロッパを中心に人気に火がつき、現在182の国と地域が国際大会に参加しています。(※2019年9月現在)

日本では3×3.EXE(スリー・バイ・スリー・ドットエグゼ)と呼ばれるブランドがあり、3×3.EXE PREMIERはJBA、FIBA承認の国内唯一のトップリーグであり、特に若者を中心に人気も高まっています。

2017年に開催されたBリーグのオールスターゲームでは来場者のメイン層は20代と30代だったそう。また、リーグの広報担当者も、「若者と女性とメインターゲットにしている」と述べており、これは同じバスケ種目である3×3にも言えるのではないでしょうか。

年々参加チームが増加しており、 2020年には参加チームを100チームにまで拡大する予定となっています。

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参考: https://www.3x3exe.com/premier/

そんな人気が高まってる 3×3.EXE PREMIER 。では、実際に3×3.EXE PREMIERが行っているビジネスモデルを見ていきましょう。

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今までのプロスポーツでは見られなかったビジネスモデルです。選手の例でいうと、プロ野球選手なら2月のキャンプインからシーズン終了まではプロ野球選手以外の活動はできません。拘束時間も長く、それに対し年俸が支払われます。

一方、 3×3.EXE PREMIER では多くの選手が兼業しています。日本では「プロになるか」「働くか」の2択を迫られ、どちらか道を捨てなければいけない環境が多いですが、このスタイルは今後プロを目指す人々にとって新しい選択肢になるのではないでしょうか。

また、試合会場も野球やサッカーなら専用の試合会場がないとできませんが、3×3はそれが必要ありません。むしろ、都市化が進むほどコートを作らず済むスポーツ界では珍しい特徴です。試合に使うハーフコートの広さは15m×11m程度でそこにゴールを立てれば会場の完成です。

こうしたモノや人をシェアするという取り組みの背景にはある市場があるからと考えられます。

今までにないビジネスモデルがウケている背景には、シェアリングエコノミーがあるのだと思います。


成長要因はシェアリングエコノミーの発展に

シェアリングエコノミーの全世界の市場は2025年で350億ドルと言われています。また日本でも2015年度に約400億円だった市場規模が、2016年度には503億円と1年で25%以上の成長を遂げています。2021年には1,070億円超に達すると予測され、 今後発展が加速する分野と言えるでしょう。

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参考: https://sharing-economy-lab.jp/share-entry-company


またシェリングエコノミーを利用する年齢層のデータを見ると、主に20代~30代に利用されている傾向が見られます。これらの世代に含まれるのが、ミレニアル世代です。

ミレニアル世代とは1981~1996年に生まれた人を指すと定義されています。アメリカではこのミレニアル世代が経済活動に大きな影響を与えるとして、同世代をターゲットにした営業戦略が練られることも。

親の世代とは異なる特徴があることから、シェアリングエコノミーとの相性は抜群と言われます。

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シェアリングエコノミーが発展した経緯にはスマートフォンとソーシャルメディアの普及が考えられます。

今までは管理の難しかった位置情報が把握できるようになり、モノやサービスとそれらを必要としてくれる人を簡単に結ぶことができるようになりました。

また、ソーシャルメディアを通じて サービスの評価や紹介が行われ、多くの人の目に触れる仕組みがあります。インターネットがプラットフォームとなり、交換や共有によって成り立つシェアリングエコノミーという新しい経済の仕組みが生まれたのではないでしょうか。

また、働き方の1つとして注目されている「副業」の影響も影響としては考えられると思います。

何かスキルを持っている人が、空いた時間にそのスキルを提供して仕事を請け負ったり、教えたりする「スキル」のシェアも、シェアビジネスとして知られるようになりました。

このシェアリングという概念。意外なところで言えば、農業にも活かされ、事業化しているサービスがありました。農業をシェアというと想像がつきにくいですが、一体どのようなサービスなのでしょうか。


農業でシェアリング

一方で、農業就業人口の減少や高齢化が社会問題となる中「脱サラして農業を始めたい」という人が増えており、近年では20代~30代の若年層にも注目が集まっています。

個人経営体(農家)は減少していますが、法人化して農業を行う経営体が急増しており、“サラリーマン”として農業が出来る働き先が増えたことが、若者の就農が増えた要因の一つと言われています。

また、近年は就農をサポートしてくれる国の施策が多数あり、環境改善に向けてさまざまな取り組み行っておりこのことも、就農者の増加の一因と言えるでしょう。

参考:https://www.sangyo.net/contents/myagri/agriculture-population.html

国のサポートだけでなく、事業にも農業を身近に感じられるサービスがあります。「シェア畑」というサービスで、田舎に行かなくても農業が体験できる畑のレンタルサービスです。

月額の使用料を払うだけで、自宅近くの畑をシェアできます。また、手ぶらで行けるのも魅力の一つです。

シェア畑とは畑を借りて野菜づくりを楽しむレンタルサービスです。月額約5000円で1つの畑を小さな区画で分けて沢山の人とシェアします。農業に知識がなくても、アドバイザーのサポートがあるので初心者の方でも年間20種類以上の野菜を栽培できます。

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手ぶらで気軽に行くことができ、移住しなくても農業ができる点に多くの人が魅力を感じています。また年齢層も多岐にわたり、20代~60代まで幅広い利用者がいます。

農園も全国に93ヶ所、区画は日本最大の9,844区画を運営しており今後も開設も続くそうです。(※2019年5月現在)

これらのことから、3×3.EXE PREMIERとシェア畑はシェアリングエコノミーの広まりが関係していると考えられそうです。また、受けている年齢層も重なっていることから、20代~30代のミレニアル世代にこうした事業が受け入れられているとも言えるでしょう。

では、他の企業はどのようなシェアサービスを行っているのでしょうか。


シェアリングの広まりは他にも

シェアには様々な分野のビジネスモデルが存在します。

・Uber EATS

最近目にする機会が増えたUber EATS。そろそろ定番となりそうな気配さえあります。

自宅や旅行先でいつもとは異なる家庭料理を提供してくれるサービスや、本格派レストランのシェフが作った料理を配送してもらえるサービスなど、食の分野でもさまざまな形でシェアリングサービスが広まっています 。

規模もわずか3年でアメリカのほぼ全域および世界中の大都市でサービスを展開するまでに発展しています。

また、配車サービスを展開している同社は、2018年末までにアメリカの人口の70%を網羅し、主に中小規模の市街に進出することで243の大都市圏へサービスを拡大することになるそう。

Uber EATSは既に36ヶ国にわたる300以上の都市で自転車を使った国際的な配送を行っています。  

参考:https://newsphere.jp/business/20181118-1/

・タイムズカーシェア

「車は欲しいけど維持費が高くて購入できない」という首都圏の若年層を中心に、カーシェアリングの需要が高まっています。レンタカーよりもリーズナブルかつ手続きが簡単、さらにガソリン代も不要と利用者にメリットがあるほか、遊休資産(自動車、駐車場など)を活用できることから参入する事業者も多くなっています。

ステーション数は1万カ所以上、2万台以上の自動車を提供する業界No.1のシェアリングサービスです。駐車場の一角などに設置されているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。

シンプルでわかりやすい料金システム、キャンセル料がかからない、独自のポイント制度で商品券や無料利用券に交換できることなども、タイムズカーシェアが人気の理由です。

また業界内でも圧倒的な数字を誇っており、カーシェアの利用者数は約100万人だが、そのうちの約78万人がタイムズカーシェアの会員となっている。

参考:https://synapse-diary.com/?p=5476

他の企業でもシェアリングエコノミーの広まりは随所に見せており、需要があると言えます。


他の業界に活かすなら

シェアリングとして事業になり求められているものの特徴として「わざわざ買うまでにはいたらないけど、使ってみたい!」という顧客の潜在ニーズをついている印象を受けました。

また、使う期間が限定されているモノにも注目が集まると感じられました。そこで他業界で需要があるとしたら、「化粧品」ではないでしょうか。

例えば、1つの化粧品を使いきるにはリップなら1か月以上はかかります。また値段もピンキリですが、高いものなら3000円ほどします。買う前に使用感を試すことはできますが、買った後に「肌に合わなかった」「色味が思っていたのと違った」など後悔することも。

中国ではこのビジネスが事業として発展しています。

日本でも、10代~20代前半の若者向けに「自分では買いづらいけど使ってみたい憧れのブランド」を手ごろな価格で使用できるサービスがあれば注目が集まるのではないでしょうか。

シェアリングエコノミーは今までにない新しさがありますが、経済効果は底知れず年々増加しています。

そこには人々が認識していなかったけど、自然と意識していたものが隠されていたと言えます。

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