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人種【エッセイ】六〇〇字

 コロナ禍の今、これまで落ち着いて観られなかった名画鑑賞、遅れを取り戻さんとするかのように、観漁っている。多くは英語の勉強をかねて、英語圏の作品が多いのだけど。
 観ている最中に、「あれこのひと、誰だっけ」と思うことが、しばしば。最近観た『リチャード・ジュエル』のように、主人公ジュエル役のポール・ウォルター・ハウザーとか、『ミザリー』で怖いおばさんを演じた、母親役のキャシー・ベイツのように、体型が太めであったり、著名なオスカー俳優であったりしたら、すぐに識別できる。だけど多くの場合、巻き戻して確認することが多い。邦画や、『愛の不時着』のようにアジア系の映画やドラマの場合は、ほとんど見分けられる。人種の違いだろうか。日本人や韓国人、中国人の顔は、欧米人からは同じように見えると言われるように。人種差別の根底にも、似たようなことが、関わっているのかもしれない。
 海外文学の登場人物の名前でも、同じようなことがある。何度も前に戻り、いちいち名前を確認することが多い。特にロシア文学。とにかく長いので覚えられない。確か、講談社の世界文学全集だったと思うけども、登場人物の名前と人物紹介が印刷された栞が、はさまっていた。便利だった。今でも光文社古典新訳文庫では、そんな栞が使われている。
 なので、映画の場合も、同じように登場人物の顔と役名・役柄を、データボタンを押せば見られたら良いのにと、思うのだけど。

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