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これからの新しい「デザイン」、そのイメージを掴もう!人の幸福のために「ゼロをつくる」という意味を「喫茶ランドリー」を通して考えてみた.

先日、ある学生の方に田中がインタビューを受けていて、そこでポロッと学生さんが言いました。

「田中さんがされているのは、ゼロをつくる仕事なのですね」

その瞬間、目から鱗で、インタビューが終わった後も、田中とあれは言い言葉だったね、と話したりしていました。ゼロか。確かにゼロなんだよね。

何のために「デザイン」はあるのか?

私たちは日々、仕事を通して、ざまざまなことを「デザイン」しています。そして、世間にはさまざまな「デザイン」に関わる仕事をされている人がいます。そして、常に「デザイン」とは何なのか?と人は考え続けてきました。

ここで、そもそも何のために「デザイン」はあるのか?と問うてみます。

そう問いを立てたときに、今であれば多くの人たちは「社会の問題を解決するため」と言うのかもしれません。しかし、先日Facebookでも吐露したように、その視点では、社会を大きく変えることはできません。

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課題解決型からは、社会や街を大きく変えるものは生まれません。何故なら私たちを取り巻く課題、幸福な状態は、顕在化していないものが、本当にたくさんあるからです。

「デザイン」は何のためにあるのか。シンプルに、その答えは「幸せ」のためと言い切ってしまえば良いのだと思います。付け加えるなら「あまねく人々の幸せ」もしくは「世界の幸せ」でしょうか。

要はここからの哲学が一番大切になってきます。つまり、ここで改めて立ち上がる「幸せ」のための「デザイン」とは?という問いに立ち向かうことこそが、これからの時代の「デザイン」を紐解く、ポイントになってくるのだと。

人とはどんな生き物なのか?

そのためには、もうひとつ、「人」という生き物に対しての思考をもっともっと深めていかなくてはいけません。「人」はどのようなときに「幸せ」と感じるのか。(それはさらに意識の世界と無意識の世界にも及びます。)

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一方で、個人から発する「やりたい」は、新しく価値を生み問題を顕在化させ、社会を大きく好転させる力を持ちます。地域も文化も経済も、圧倒的原動力は「個人」です!

私たちは、田中がはじめた「マイパブリック」や「パーソナル屋台」の活動や1000人以上に行ってきたワークショップ。また、「喫茶ランドリー」からはじまった、さまざまな種類の施設や空間、場づくりの立ち上げと運営を通じて、「人」の「幸せ」について、ひとつの結論を確かなモノにし続けてきました。

それは...

「人」の「幸せ」の源は、「小さなやりたい」の「実現」にあった

ということです。

人は一日の間に、あるいは一年の間に、無数の「やりたい」を思います(やりたいにはお茶を飲むから宇宙へ行くまでさまざまなスケールがあります)。しかし、その「やりたい」は一人の人間が予め持っているものではありません。さまざまな関係性、人とモノと環境との関係性の中で、沸き起こってくるものです。

つまり、人がより「幸せ」に近づくためには、「やりたい」が沸き起こるセカイをつくらなくてはいけない。そのときに行き着いたのが、「ゼロ」のデザインでした。

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「ゼロ」をつくる。「位置について、よーい!」までをつくる。

ドン!!から先は、使う人たちによるもの。「ゼロ」を設置できたからこそ、そこから、1、2、3、4……∞ と積み重なっていく。

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ドン!のときは、「ゼロ」だから、いろんな物事を受け入れて膨らんでいく。ピークはその都度、継続的に起きていくものに。

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例えば、喫茶ランドリーのメニューやサービスの場合、それらもすべて「ゼロ」から。お店主催のイベントは一切やらない「ゼロ」。全部、お客さんの想像力(見立て)から立ち上があってくる「やりたい」を実現していく。

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なるほどなぁ。「ゼロ」をつくる。

一枚の白い紙があって、横線を一本引く。「ゼロ」の線。それだけで一つの「セカイ」がはじまります。あなたはどこに「点」を打ちますか?「線」をい引きますか?それを見て次の人は、また何かを描きたくなる。

なるほど。しかし、クオリティの高い「ゼロ」は素人には「デザイン」できない。そこに私たちはプロフェッショナルとして存在している。無意識にそれをやり続けてきたのだと気付かされました。

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そして「ゼロ」を創ったからといって、その上で「やりたい」を「実現」させられるわけではない。それとは別に、組織化・運営・コミュニケーションのデザイン(エンジンのような役割)が必要で、そこも私たちはプロとして行っている。それらが噛み合えば、「デザイン」したモノ・空間に纏わる人々は躍動し続けていく。

上の図は、2018年につくったものです。それから2年でお披露目となったプロジェクトも増えてきました。どのプロジェクトも、まさに「ゼロ」を創り。そこから事業者(オーナー)も働く人たちも利用する人々も、それぞれに「やりたい」を「実現」させ続けています。

他のデザイン分野の「ゼロをつくる」とは!?

上にある事例は、私たちが手がける、おもに建物や施設、まちに関わるものなので、例えばプロダクトやグラフィック、ウェブ、その他のデザインに関わる読者の方にとっては、なかなか親和性が及ばないかもしれません。

それでも、これまで世間では、何かと何かを掛け合わせるとか、「ゼロ」を何にするとか、さまざまな「デザイン」のイメージから次の時代のデザインを見いだそうという思考が取り上げられてきましたが、この「ゼロをつくる」という「デザイン」のイメージの話はとても本質的なところを突いていると思うのです。

「デザイン」の哲学は、深く深く続きます。

最後に、もしあなたが携われている「デザイン」の話と親和性があるのなら、是非お話を聞かせていただけたらなと思いました。

それでは、今日はこの辺りで。

1階づくりはまちづくり

★入門書は「マイパブリックとグランドレベル」で。最近、ついに次の書籍の執筆に入りました!


大西正紀(おおにしまさき)

ハード・ソフト・コミュニケーションを一体でデザインする「1階づくり」を軸に、さまざまな「建築」「施設」「まち」をスーパーアクティブに再生する株式会社グランドレベルのディレクター兼アーキテクト兼編集者。日々、グランドレベル、ベンチ、幸福について研究を行う。喫茶ランドリーオーナー。

*喫茶ランドリーの話、グランドレベルの話、まだまだ聞きたい方は、気軽にメッセージをください!

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