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超訳ヘルシンキの「自由都市」を読んで、日本のダメっぷりをしっかり認識!世界レベルのまちづくりの根底にあるものとは?

「こういうまちになっていこうね!」そう市民に伝えるグランドビジョンって、日本では「賑わい」「緑豊かに」と、日本全国コピペの嵐。

で、あるときから、世界各国のいろんな都市のサイトを定点観測してるんですね。それもまたいろいろなわけですが、毎回出会う度に、その本質的なメッセージと編集・デザインに関心しながら、日本のダメさを痛感してきているわけです。

そして、今回出会ったのは「ヘルシンキ市」によるサイト ↓↓↓。これ、ヘルシンキマーケティングという市が所有するマーケティング会社が制作しているということも驚きなのですが。

それよりも、そこで発信されていることのメッセージが、日本のそれとは全く違うレベル。

だから、今日はこれを、私個人が超訳しようと思いました。短いのでサクッと読んでみてください!(下写真:Tapio Haaja)

Helsinki - the new city of the free
「自由」とは何なのか?

歴史的に「free city(フリーシティー)」って、国家じゃなくて、地域社会のコミュニティがそのルールを作る自治領のことを指してたよね。でも、ヘルシンキ市的には、こんな伝統的な概念は、もう時代遅れだよって思ってる。

まず、ひとえに自由って言ってもさ、いろんな形と大きさがあるじゃない。生きている人の分、本当に多様なのよ。みんなにとっての自由はそれぞれに違う。

あなたの自由エピソード聞かせて?って言うとさ。

大都市で体験した自由、人混みで自分を見失ったこと、魂を揺さぶるような芸術に出会ったこと、夜明けまで楽しんだパーティー、と言う人もいれば。

富や物欲の実現に自由を見いだす人もいる。

ある人にとっては、規制や束縛のない生活を送ることだったりもする。

本当に人によって自由って多種多様。

その一つひとつをしっかり尊重したいんだよね。

1.ヘルシンキ市は、まず市民の○○を目指す

で、ここでさ。

ヘルシンキ市は、もう少し踏み込んで「free」について考えてみたいと思ったのね。これまでの捉え方とは、ちょっと違うんだ。

まず、ヘルシンキ市は、何よりも、あなたやあなたの愛する人が、何かに束縛されず、より自主的で自由な状態でいられる、そのためのシステムや構造を支援することに情熱を注ぎたい!そう思ってるの。

これが大前提なんだ。

だから、教育だったら、環境に関わらず、すべての人々が自分の可能性を最大限に発揮できるように、手ごろな価格の教育を目指す。

医療は、すべての市民を保護するために無料とする。

まちの作られ方で言うと、どんな状態の人も、恐れることなく街を歩けるようにデザイン・システムを確立したいのね。

あとは、すべての市民が仕事と家庭を両立できるように、育児休暇のようなものも徹底させるし。

誰だって自然の中で自由に過ごすべきだから、公園、森林、ビーチなんかもきちんと安全に綺麗に整えるってわけ。

2.市民に本当の自由を、市はそこから利益を

市民って一言に言っても、いろいろだよね。

一人ひとりには、いろんな背景があるじゃない。性別からはじまり、過去の経験も、今の環境も、人それぞれ。恵まれている人もいれば、そうでない人もいる。

でも、どのような状態の人に対しても平等に、個々の人生をアクティブに促進させる仕組みをつくりたいと考えてるの。だって、それがつくられれば、ヘルシンキ市全体に大きな利益をもたらすからさ。

例えば、親の経済的・社会的地位に関係なく、すべての子どもたちは、成長し、最高の自分になっていく権利がある!

もちろん、親だって同じ。どんな大人も、いろんな経験を重ねてキャリアを高めながら、同時に家庭を持つ権利だってある!

さっき言った、誰もが、安心して街を歩けたり、公的医療を受けられたりってことも、ここにつながる話なんだ。

こういうレベルのことを、より機能させていくことによってこそ、市民は「本当の自由」を得られる。それが実現できれば、市にも大きな利益となる。そういうことね。

3.好きな人を好きになれることを目指す

「自由」について、まとめるとさ。

ヘルシンキが考える「自由」って、「妥協せず自分に合った人生を築けること」なんだよ。

それは言い換えると、どんな人であっても、仕事以外の豊かな生活と、仕事がこんな風になっていくといいな!っていう夢を両立させること。

まちには、都市には、無数のライフスタイルが散りばめられているけど、それを個人個人が最大限に活用できる状態であってほしい。

屋外での時間を楽しむことも、安全に暮らせることも、無料の教育を受けられることも含めてね。

そして、何よりもさ。

好きな人を好きになれること。

失敗をおそれないで、チャレンジできること。

ヘルシンキは、そのすべてが手に入れられる。

そういうまちを目指していきたいんだよね!

(写真:Ethan Hu)

あなたのまちは、どんなメッセージを発信していますか?

というわけで、超訳「Helsinki - the new city of the free」でした。

もし、あなたが住んでいるまちのサイトを開いて、こんなメッセージが添えられていたらどうでしょう。

利益や便利さよりも、目指すべきもの、大切なこと。実はこういう哲学あるビジョンが、様々なジャッジ、選択をしていく際のガイドになっていくんですよね。例えば、デザインに対しても、政策に対しても。

こういったメッセージを、日々、市民も、議員も、子どもも、大人も、誰もが共有して、未来を考えて動いていくことができたとしたら、私たちの身の回りがどう変わっていくかを考えてみてください。

弊社グランドレベルは、いずれこういうグランドビジョンをつくるお仕事も、お受けしていきたいなぁと思います。

そんな仕事が成立するような状況になっていけば、日本の未来はまだまだ明るいはず!

というわけで、今日はこの辺で。

1階づくりはまちづくり。

入門書「マイパブリックとグランドレベル」には、今回の記事に通じる話が盛りだくさんなので、手に取ったことのない方はぜひ!


大西正紀(おおにしまさき)

ハード・ソフト・コミュニケーションを一体でデザインする「1階づくり」を軸に、さまざまな「建築」「施設」「まち」をスーパーアクティブに再生する株式会社グランドレベルのディレクター兼アーキテクト兼編集者。日々、グランドレベル、ベンチ、幸福について研究を行う。喫茶ランドリーオーナー。

*喫茶ランドリーの話、グランドレベルの話、まだまだ聞きたい方は、気軽にメッセージをください!

http://glevel.jp/http://kissalaundry.com/

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