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考えるために立ち止まるな! 上を目指すなら走り続けながら考えよう

歳を重ねるに連れて昔を振り返ることが増えてきました。
 
大学を卒業して就いた職業は自動車の設計でした。工場地区ゆえに朝が早く、設計ゆえに夜が遅い生活の中で、楽しかった学生時代をよく思い出したものです。
今風に言えば “ブラック” な働き方でしたが当時はそれが普通でしたし、情熱に後押しされていました。
 
そのころ、仕事に熱中するあまり闇雲に走り続ける私に先輩方が掛けた言葉は「立ち止まって考えろ」でした。
 
ムキにならず、いったん冷静になって頭の中を整理してみなさい、そんな思いが込められていたのでしょう。これは計画そのものです。いま、こうして計画力ブログを書いている私の根っこは、このころにあるのかもしれません。

 
さて、頭を今に切り替えましょう。
 
時代は変化しました。私たちは立ち止まって考えてはいられません。
立ち止まって考えていると環境が変化してしまいます。考えてから行動しようにも、考え終わったころには前提条件が変わってしまっているのです。
立ち止まって考えていると、考え終わったころにはその答えはすでに時代遅れで、使い物になりません。
 
コンサルタントとして、私はお客様にこう声を掛けます。

「走りながら、遠くを見て、冷静に考えましょう」


 最初のキーワードは “走りながら” です。走りながら周囲に働き掛け、走りながら情報を受け取って、私たちは考えなければなりません。
 
改めて、走りながら考える理由を整理しておきましょう。
 
・   周辺環境が常に変化しているから。
・   いまやっていることを止めて考えるだけの時間的余裕がないから。
・   解決すべき課題が複雑すぎて、予測がつかないから。
 

一つ目の「・」はすでに説明しました。立ち止まっていては前提条件が変化してしまうからです。二つ目と三つ目の「・」について簡単に説明しましょう。
 
私がこれらを実感できるのは、プロジェクトが問題を起こして計画のやり直しを余儀なくされたときや業務改革を企画しているときです。
 
これらのシーンはスピードが要求されますが、考えるには相応な時間は必要です。ゆえに私は走りながら考えることを選びます。
 
流血し続けているプロジェクトはいったん止めて再計画するというのが理想ですが、お客様との関係などで、なかなかそうもいきません。
 
問題プロジェクトの場合、立て直しに向けた方針を議論していると、分からないことがたくさん出てきます。情報収集活動はきりがなく、そのうち情報に埋もれてしまいそうになります。しかも、一つ目の「・」で書いたように状況は刻々と変化し、新たな情報が追加され、もともとの情報とは辻褄が合わなくなってしまいます。
だからこそ私たちは走ることで周辺環境と常に対話し、折々のニーズに合ったやり方で課題を解決し続けなければなりません。
 
業務改革では、すでに時代遅れとなったやり方をいったん止めて仕切り直したいのは山々ですが、だからといってじっくりと時間をかけるわけにはいきません。時代遅れなやり方は日々の事業活動の中で損失を発生し続けるため、幹部たちの多くはこのことに対して驚くほどに短気です。
今やっていることを止めて、腰を据えて考えるだけの時間的余裕を与えてはくれません。
 

さらに言えば、私たちが直面している状況は昔よりもかなり複雑になっています。規模が大きく、技術的にも構造的にも複雑で、関連する知識領域は幅広く、ステークホルダー(利害関係者)の数も昔とは比較になりません。
状況が複雑であるがゆえに、立ち止まっている間の変化はカオスと化し、私たちは浦島太郎になってしまいます。これは、致命的な痛手となります。
 
勘違いが無いようにお伝えすると、私は「走りながら考える」を支持していますが「計画は無意味だ」と言っているわけではありません。
 
走りながら考えている最中でも計画は大切です。計画しているからこそ、その後の変化に追従できるのです。ただし、計画を放置していたら、すぐに実態と合わなくなってしまいます。だからこそ、私たちは走っている最中も周辺環境に働きかけて反応を観察し、最新情報を収集し、計画を更新し続けるわけです。
 


もうひとつのキーワードは “遠くを見て” です。
 
遠くを見るとは未来を予測することです。走っていると不安に駆られ、どうしても足元を見てしまいます。
 
ここでのポイントは、遠くを見ていると走りが安定することに気づくことです。
 
それに気づけば不安はなくなります。予測もせず、計画もせず、場当たり的に目の前の出来事に右往左往していてはダメです。
未来の予測や計画は羅針盤となって、走り続ける私たちを未来へと導いてくれます。
 
立ち止まって考えるのは、すでに時代遅れです。そんなことをしていては、時代から取り残されます。そんな行動にはオーラがないので周囲の人たちは付いてきません。
 
走りながら遠くを見るには慣れと経験が必要で、すぐに身に付くものではありません。
そのうえ “冷静に” ともなるとなおさらです
私たちが今すぐにできることは、常にこれを心掛けていることです。
がんばりましょう。
 


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