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意識を変えて、自ら考え、行動することが大事

【ポイント】

  • 指示待ち人間は、ビジネスの世界ではダメ人間だ。

  • 「参加意識」で満足しがちだが価値を生み出すのは「当事者意識」だけ。

  • 目的を意識すること、想像すること、心のブレーキを解き放つことが、当事者意識を育む。


コンサルティングの現場では、しばしば指示待ち人間に出会います。
指示待ちは「指示してくれないとできない」という能力の問題と考えられがちですが、実はそうではありません。背景にあるのは意識の問題です。

新しい物事に向き合う人の意識は …
「無関心」→「関心」→「参加」→「当事者」
と変化すると言われています。参加意識の人は、リーダーの指示があれば協力して行動します。これに対し、当事者意識の人はリーダーがいなくても「自分が何とかしなくては」と考えて、指示なしでも行動します。

つまり当事者意識の欠如が「指示待ち」の原因なのです。

そして難しいのが、「参加」から「当事者」への意識の変化です。周囲への甘えが当事者意識への変化を邪魔するわけですが、この意識の違いが非常に大きいのです。

当事者意識は日本の組織では少数派です。横並び意識の強い日本では参加意識が普通なのです。そんな職場環境を過ごしてきた職場の管理者たちは当事者意識を育む術を知りません。具体的な指示ばかりで、部下に概念的に考えさせようとはしません。

参加者意識を当事者意識に変化させるには、周囲からの直接的な働きかけ(=指示)ではなく、自発的に考えるように仕向けることが大切なのです。

ところが「自発的に考えるように仕向ける」ことは簡単ではありません。そこで、ポイントを3つ挙げておきましょう。

①    目的や目標を意識させる
目標達成を自らの責任として意識させない限り、自ら考えさせることはできません。

②    想像することを奨励する
私のまわりのビジネスマンは総じて想像が苦手です。ビジネスの現場では実践力が重んじられてきたからでしょう。想像力のない人は「このままでは、将来、どのような悲惨な状況に陥ってしまうのか」を想像できません。それゆえ、考えさせたところで危機感が伴いません。

③    「そんなことできるわけない」という心のブレーキから解放する
現状ありきで物事を見る人は、自分にできる狭い範囲でしか発想しません。大切なのは「できる・できない」ではなく、目標に向かって仮説を立てることです。仮説を通じてゴールのイメージを固めたら、その次に「それを実現するためにはどうすればいいのか」と考えさせればいいのです。

例を挙げて、理解を深めていただくことにしましょう。
前回のブログに書いた「ある事業体の管理者」の事例はその一例なのですが、似たようなケースは他にもあります。

議論の最後に私は「次回までに新商品の企画案を作成しておいてください」と伝えました。すると参加者から「それは私たちには難しすぎます」「浦さんに見本を作成いただいて、それをもとに議論するのではだめですか」と言われてしまいました。
私はこの発言に少なからぬショックを受けました。

このときの議論のテーマは商品をプロデュースする上で欠かせない「顧客観察に基づく満たされない要求の発見」でした。この場合の「プロデュース」とは、ともすれば軽視されがちな既存の技術や製品をうまく組み合わせることで顧客に響く新たな価値を創出することでした。これは確かに慣れないと難しい作業です。しかし、作業の目的や成果物のイメージはすでに伝えてあったので、それらをヒントに自ら考えてほしかったのです。

彼らは私に反抗しているわけではありませんでした。単に、当事者意識が欠けていたのです。

彼らは能力の限界を口にしていましたが、私にはその背景に「当事者意識の欠如」があることはわかっていました。

私は、彼らの心を開放することに努めました。次の議論のたたき台になればいい程度で、大それたものを期待しているわけではないこと。実現性よりもアイディアに価値があること。私だって、アイディアが採用につながる確率は数パーセントしかないこと。できあがったものよりも考えるプロセスが大事なこと。
彼らの心には「企画案」という言葉が引っ掛かっていたようなので「新商品のアイディア」と言い直しました。

かくして、持ち寄られたアイディアのおかげで、議論は一層活発なものとなりました。


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