Drive!! #98 ボート X 小説
エイト第2組の1300m地点で六甲大学は蒼星大学との差を2シート分に広げた。
普段はレース中盤で先行されることなどなく、蒼星大学のCOX森泉 直(なお)は焦りを感じていた。
一刻も早く追いついた方が良いかと思い、アタックを入れようとした。
***
もうすぐ1500mに差し掛かる。ここまできたら相手もスパートでがむしゃらに漕いでくる。このまま逃げ切られるかもしれない。
「アッタクいくよ、準備して」
「いや、直さん、このままで大丈夫っす、多分」
珍しくストロークの荒木が声をかけて