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ピンチを救ってくれたのは・・

わたしは何が好きで、何をしてることが幸せなのか

そんなことがわからなくなって、ただがむしゃらに「わたしでない何か」になろうともがき苦しんでいた頃。

周りからの評価でしか、自分のことを評価できなかった頃。

褒められても、また次を目指さないといけないと言われているような気がしてうまく笑うことができなかった頃。

わたしを救ってくれたのは「子どもたち」でした。

初めて担任をもったのは4歳児のクラスでした。3歳から幼稚園にきている子どもたちは、初めてのクラスでも、ちゃんと自分の好きな遊びをわかっていて、夢中になってお部屋にあるブロックを積んだり、折り紙を持ってきて無心になって切ったり貼ったりする。

4歳から入園した子どもたちは、不安な気持ちを、泣いたり、指を口に入れたり、わたしの服の裾をにぎって落ち着こうとしたりする。

そこには、わたしがわからなくなっていた「感情」そのものが、はっきりとあって、そのどれもがとてもキレイで生き生きとしていました。

そこへ、1人の子がトコトコとわたしのところへやってきました。

心の奥が読めるんじゃないかってドキッとするくらいキレイな瞳でわたしの顔をじーっと見つめて、

「せんせいのことすき!」

そういって、子どもたちのキラキラした感情に圧倒されて立ち尽くしているわたしの腰のあたりにぎゅうっとくっつきました。

もしこれがヒーローもののアニメなら、あの瞬間、ぜったいにピンチの時に現れるメカの登場の音楽が流れていたはず。あんぱんの顔の正義の味方なら、パン屋さん2人が新しい顔を持って登場する音楽が流れていたはず。

好きって気持ちはこんなにまっすぐで気持ちいいものなんだ。

やりたいことを夢中でやる姿はこんなにもキラキラしてるんだ。

不安なとき、さみしいときがあってもいいんだ。

自分が何を感じているのかなんて、考えたこともなかったし、考えることから逃げることしかできなかったけど、子どもたちのむき出しの感情に触れて、そのあたたかさを思い出した瞬間でした。

当時の写真を見ると、見事に一枚も笑っている写真がありません。人との付き合いは、いかに空気を読んで、いかに相手に気に入られるように振る舞うかだと思っていたわたしは、自分の顔さえもわからなくなりそうになっていました。そんなわたしのピンチを救ってくれたのは子どもたちでした。

そこから、わたしは保育を通して、そしてその後の子育てを通して、子どもたちから「生きること」のイロハを教えてもらうことになります。

だからわたしの研究テーマは「20年後に子どもたちに残したい社会」です。自分の子どもたちが20歳にあるからというだけでなく、ピンチを救ってくれて、わたしにたくさんのことを教えてくれた子どもたちに、自分が生きている間にできることをしたいから・・・そしてできれば、社会の変化を子どもたちと一緒に感じたいから、だから20年後・・・なのです。

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