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和歌短歌を味わおう❗️

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大人の国語の教科書です。情報を得る読書もいいですが、心が疲れたときは「感じる文学」も有効です。
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#和歌鑑賞

【百人一首鑑賞】わが袖は潮干に見えぬ沖の石の人こそ知らね乾くまもなし 二条院讃岐

【百人一首鑑賞】わが袖は潮干に見えぬ沖の石の人こそ知らね乾くまもなし 二条院讃岐

■わが袖は潮干に見えぬ沖の石の人こそ知らね乾くまもなし 二条院讃岐

(詠んで味わう)わがそではしおいにみえぬおきのいしの ひとこそしらねかわくまもなし

92番目の讃岐の和歌を取り上げました。
讃岐という名前だから讃岐と関係ある人なのか??
→確認すると関係ありませんでした。

■現代語訳
わたしの袖は たとえればあの沖の石のよう
ひき潮にもあらわれぬ深海の石
ぬれにぬれ 人は知らないけど
涙は

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【百人一首鑑賞】み吉野の山の秋風さ夜ふけてふるさと寒く衣うつなり 参議雅経

【百人一首鑑賞】み吉野の山の秋風さ夜ふけてふるさと寒く衣うつなり 参議雅経

■み吉野の山の秋風さ夜ふけてふるさと寒く衣うつなり 参議雅経

(詠んで味わう)みよしののやまのあきかぜさよふけてふるさとさむくころもうつなり

今回は94番目に位置する、こちらの和歌を取り上げます。

■現代語訳
吉野の山の秋風よ ふけゆく夜の静寂に砧の音が寒々と聞こえる
ふるさとのこの地にもの思えというがごとく…
田辺聖子著「田辺聖子の百人一首より」

■語句説明
砧…今風にいうと、アイロンが

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【百人一首鑑賞】田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ 山部赤人

【百人一首鑑賞】田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ 山部赤人

■田子の浦にうち出でてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ 山部赤人

(詠んで味わう)たごのうらにうちいでてみればしろたえの ふじのたかねにゆきはふりつつ

百人一首4番目のこちらの和歌を取り上げたいと思います。
これは、日本国民ならば、一度は口ずさんだことのある和歌だと思います。
富士は古代日本人の心も捉えていた、不変の美しさがあの山にはあるのですねぇ。

■現代語訳
駿河の国の田子の浦にたた

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【百人一首鑑賞】難波潟みじかき芦のふしの間も逢はでこの世をすぐしてよとや 伊勢

【百人一首鑑賞】難波潟みじかき芦のふしの間も逢はでこの世をすぐしてよとや 伊勢

■難波潟みじかき芦のふしの間も逢はでこの世をすぐしてよとや 伊勢

(詠んで味わう)なにわがた みじかきあしの ふしのまも あわでこのよを すぐしてよとや

■現代語訳
難波潟に生い茂る芦
その中でもことに短い芦のその節と節のあいだはいっそう、短いわ
そんな短い逢瀬の機会さえ あなたはつくってくれず
あたしにこのまま過ごせというの?
これっきりだと あなたはいうの?                

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【百人一首鑑賞】瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ 崇徳院

【百人一首鑑賞】瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ 崇徳院

■瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ 崇徳院

(詠んで味わう)せをはやみ いわにせかるるたきがわの われてもすえに あわんとぞおもう

百人一首77番目の歌完全に暗記していない私でも、なんとなく記憶に残っている歌です。確か川の流れを人に例えているそう、擬人法だったように思うのですが…。なんとなく激しい恋の歌の様に思います。とにかく、百人一首は恋の歌の多いこと!というよりは、恋

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【和歌鑑賞】難波津に  咲くやこの花  冬ごもり  今を春べと  咲くやこの花 王仁

【和歌鑑賞】難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今を春べと 咲くやこの花 王仁

■難波津に 咲くやこの花 冬ごもり 今を春べと 咲くやこの花 王仁

(詠んで味わう)なにわづに さくやこのはな ふゆごもり いまをはるべと さくやこのはな わに

競技かるたにおいて、一番最初に読まれる和歌だとのこと。百人一首に入っている和歌ではありませんが、詠まれるように決まっているらしいです。でも、それもわかるような気がします。明快で分かりやすい言葉や情景、さらに声に出すと収まりのい

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【百人一首鑑賞】千早ぶる神代もきかず龍田川 からくれなゐに水くくるとは 業平

【百人一首鑑賞】千早ぶる神代もきかず龍田川 からくれなゐに水くくるとは 業平

季節が全く違うのですが、映画の公開も近いですし。そして、「ちはやぶる」という枕詞の魔法にかかっている私の個人的なこだわりもあって、今日はこの和歌をみなさんと味わってみたいと思います。

作者。平安のプレイボーイ、在原業平古典の時間に習った「伊勢物語」の主人公とされている人ですね。父方母方ともに家系をさかのぼれば天皇にいきつくという、高貴なお家の出のお方です。伊勢物語では、好いた女性を都から連れ出し

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