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スタートアップが大手製造業の変革を加速するためには?~CADDi Drawer Enterprise Customer Successの現在地~

こんにちは。
CADDi Drawer エンタープライズ事業部カスタマーサクセス本部の八木です。前回記事を書いた後、入社してくれたメンバーも「note読みましたよ!」と言ってくれるので、書こう書こうと思いつつ気がついたら1年が経過してしまいました。重い筆を取ります。
(結構長いので先に申しておくと、採用募集してますw)

そもそも誰?CADDi Drawerって何?という方向けに要約置いておきます。
八木:クボタ海外営業(4年)→ BCG(9年)→ キャディCS本部長

前回エントリのChatGPT要約
CADDi Drawerのカスタマーサクセス部門は企業の変革を伴走しています。Drawerは「情報の資産化」を通じて、製造現場のデータを有効活用し、業務効率や競争力の向上に貢献しています。お客様と共に価値創造を進め、製造業のポテンシャルを引き出すことがミッションです。

お時間ある方は前回エントリを読んで頂けると経緯が分かると思います。

1年を振り返ると売上成長のみならず、進化の大きさは凄まじく、改めてキャディに飛び込み、カスタマーサクセス(以降「CS」)に携われて良かったと思う次第です。

導入いただくお客様は加速度的に増し、新メンバーも加速度的に増す

流石に私一人で全体を見きれなくなりそう…型化やタッチ量のコントロールとかも少し考え始める

丁度その時、~数兆円規模の超エンタープライズ企業と、他企業は大きく異なるということで、私はエンタープライズ領域にフォーカスすることに。
少なくとも私の管掌ではハイタッチに全振り決定

ここで疑問。エンタープライズで100名で使っていて価値を感じているって、経営者視点でサクセスしていると言うのだろうか?
従業員が数万人いたら0.3~5%じゃん

活用拡大を強化。複数社のお客様が全社的活用に踏み切ることに!

会社としてManufacturing事業(モノの事業)をDrawer事業に統合することを決定。「製造業AIデータプラットフォームCADDi」として第2章へ

営業はManufacturing事業で培った知見を活かした提案を展開。
上がる期待値!更に加速する受注!

嬉しい悲鳴を上げ、成長痛を伴いつつ、進化を遂げる日々 ⇐ 今ここ
(私の部門にまつわるところで記載しているので、会社としては至るところで大きな変化、進化が起き続けてます)

この様に様々な変化がありながらも、我々が顧客に提供する価値とは、企業変革であり、我々の役割はその実現であり、加速です。
便利ツール屋さんではないんです。

このエントリーではスタートアップが大手製造業の変革を加速するにあたりまさに今、試行錯誤しながら取り組んでいることを3つ記録しておきます。

  1. プロジェクト構築:どの様にして価値創出の再現性を高めるか

  2. 価値の質:どの様なユースケースで成果をもたらすか

  3. 価値の量:どの様にしてより多くの方に行動変容をもたらすか

1. プロジェクト構築:どの様にして価値創出の再現性を高めるか

CADDi DrawerのEnterprise CSはちょっと重たいです。
「導入支援させて頂きます!」みたいな活用に乗せるところまでの支援だけでなく、成果創出に向けて二人三脚で走ります。それも単なる二人三脚ではなく、二人三脚しながら、50m走のスピードで、障害物競走します。しかも成果が出たら更に高みを目指すのでシャトルランです。

とすると、キャディ側もお客様側も相当に高いコミットメントで取り組む必要があります。そもそもソフトウェアを導入したら企業変革一丁上がりなんてうまい話があるはずないです。変革はヒトの行動を変えることですから。

我々がお客様と伴走している企業変革はいずれもまだ途上ですが例えば、、

  • 外部環境変化により新規領域が拡大、業務が煩雑化、かつ事業も成長する中で、人手不足は進行。全社の技術力を高めるために知見へのアクセス、情報流を抜本的に変革する企業

  • 図面内に埋もれたデータを取り出し、構造化することで、全社の経営、オペレーション上の判断をデータドリブンに変革する企業

  • 市況悪化に伴い、早期のコスト削減が求められる中、1~2ヶ月でこれまで見つけられなかった改善ネタを続々掘り出し、コスト改革を加速する企業

  • 品質担保のためのレビューが相次ぎ、エース技術者の時間が「守り」に使われていたものを、誰もが同じ情報を見て設計することで、「攻め」の新価値創造業務にシフトした企業

などなど。単なるソフトウェア売りを大きく越えて、実際に変わり始めています。(日本を代表する製造業に貢献できるというのは中々感慨深いです)
百聞は一見にしかずということで動画を置いておきます。

さて、このような変革を実現するためには、双方のコミットメントを維持することが重要であり、そのためにプロジェクトを構築します。
変な言い方ですが、キャディとしても退路を絶ちます。本気です。
プロジェクトの要素が以下の4点セット。取り組み始めてから暫く経ち、チームでも「4点セット」で会話が成立するようになりました。

  1. ビジョン:要はどういう変革を成し遂げたいか。多くの場合、全社や事業部の目線で記載します。夢も含めてお客様と書き切ります。

  2. ロードマップ:数ヶ月毎にどういう成果を出すことを目標とするか。コスト削減等の定量目標や、部門間でデータ連携ができる仕組みを作り業務で活用するフローを構築するというような状態目標があります。

  3. 体制:3階層で、プロジェクト責任者、推進者、メンバー。責任者は殆どの場合、役員クラスに入ってもらいます。兆円企業の役員の方ですから、ここが重たいポイント①ですね。

  4. 会議体:推進者と週次で議論しつつ、メンバーの方とは頻繁に連携して課題解決を進め、数ヶ月に1度の頻度では責任者(役員)と全体方向性を議論しましょうと決めます。重たいポイント②。でも、めっちゃ重要です

ここが確りできると、成果も早く出ます。我々も、初期はもっとライトに進めていたのですが、課題解決に他部門を巻き込む必要がある時等、道中の障害を乗り越えられないこともありました。
価値創出の再現性を高めるための試行錯誤として、4点セットに行き着きました。一方、一流のクライアントワークを自らに課すことになります。

2. 価値の質:どの様なユースケースで成果をもたらすか

以前、CS関連の会合で「ユースケースは多くても5つ、大体は3つに絞り込まれる。それを元にCS活動をデザインしていくべし」と伺いました。
多くのSaaSに該当することを否定しませんが、Drawerには無数のユースケースが存在します。お客様が実現したいことに応じてユースケースをテーラーメードすることも珍しくありません。これを是としています。

というのも、Drawerが以下の3点において多岐に亘っているためです。

  1. お客様の業界

    • スズキ・SUBARUの様な自動車メーカー、パナソニック・日立製作所の様な電機メーカー、川崎重工・住友重機械の様な重工メーカー、日本精工・ミネベアミツミの様な部品メーカー、東京エレクトロン・荏原製作所の様な半導体製造装置メーカー 等等

    • 業界が違えば、モノづくりの在り方も異なり、課題や解き方も異なります(付け加えておくと、業界が同じでも結構異なります)

  2. 対象となる部門

    • ほぼ全部門で活用でき、ほぼ全顧客で複数部門横断で活用しています

    • 部門が異なれば当然ユースケースも異なります。更に、データプラットフォームたるCADDi Drawerは部門横断でデータを活用する価値も大きい。故に、組合せは膨大

  3. 扱うデータ

    • 元々は図面と発注実績(コスト等)だけでした

    • 今では製造業に数多存在するドキュメントや、他システム内のデータ、それ以外も含めて活用できるデータが広がっています

「製造業のAIデータプラットフォームCADDi 」の概念図

例を挙げると、設計でいえば全社での検図の最適化/半自動化、設計手法の統一化、流用設計化など。調達でいえば、最適サプライヤ選定・集約化によるコスト削減など。営業でいえば、過去見積流用での見積最適化、営業時の過去類似プロジェクトの参照によるリードタイム削減など。経営なら全社生産性向上、ベテラン依存・暗黙知の脱却、グローバルのM&A後のデータ統合、などなど。非常に重要なテーマに、部門を問わず取り組んでいます。

多岐に亘るだけだと説明になっていないので共通点を2点。

  1. 一本通った軸として、車輪の再発明を防ぐ、というデータプラットフォームとしての価値があります。車輪の再発明とは、一度確立した手法・アイディア・技術を再度生み出してしまうこと。製造業ではデータ・資料・知見があらゆる所に散らばっているので、頻繁に起こっていることですが、製造業に特化したテクノロジーを持つDrawer故に防ぐことができます。

  2. もう一点はユースケースの生み出し方です。種々の提案実績はあるものの、顧客課題の深い理解を起点にします。多くの場合、プロジェクト構築を進めながら1~2時間にも及ぶ現場インタビューや、プロジェクトオーナー(役員)とのディスカッションを通じて課題を捉えます。そこから、社内の製造業知見者を巻き込んで打ち手を検討します(顧客の業界・部門も多岐に亘りますが、キャディ社員のバックグラウンドも多岐に亘るので、大体知見者に出会えます)。そして、環境構築を担うOpsチームやTechチームと実現性を議論します。

Drawerにおいてユースケースとは有り物のご紹介ではなく、過去事例を活用しつつも、会社としての課題解決や専門性を動員した総合格闘技なんです。

3. 価値の量:どの様にしてより多くの方に行動変容をもたらすか

先にも述べましたが、どんなに素晴らしいユースケースを考案しても、ユーザーの方の行動が変わらなかったら無価値です。使って、一人ひとりに価値を感じて頂いてなんぼ。
昨年時点では、お客様の推進者のコミットメントがある場合にはさして問題になりませんでした。なぜなら推進者の声がユーザーに行き届くから。

数千人以上の規模で活用するお客様においては、従来のやり方では難しい。推進者に近い部門では毎日の様に活用しているのに、他部門では半分位の勘の良い方に限られるということもあります。

まだ試行錯誤中ではありますが、地上戦と空中戦でユーザーの認知とWowを勝ち取ることに奏功しつつある、というのが現在地です。

  1. 地上戦

    • 一番良いのは直接会う、話す。日常的にインタビューしてニーズを掬い上げるのは当然として、先日あるメンバーはお客様の工場の打合せスペースを間借りしてDrawer説明ブースを作ってました

    • そのうちに、ホットなユーザーとの接点も多くなってくるので、その方を焚き付けて、ミニプロジェクトを作ることも重要です

  2. 空中戦

    • メールマーケ的な施策がまず基本。ペルソナ切って、ジャーニー書いて、接点をデザインして…とかです。CSツールももうすぐ導入予定

    • その他の施策も、手応えも掴みつつありますが、ここでは秘密

泥臭いですが、究極CSという仕事をすることは「サクセスの伝道師」になることですしユーザーが変わる瞬間、感動する瞬間に立ち会うこともできるので、喜びの多い仕事です。

どんな人が働いているの?

ここまで読んで頂いて、「この仕事、誰ができるの?」という感想を抱く方もいるかもしれません。
・一流のクライアントワークができて、
・製造業の様々な業種・部門の方々の業務に入り込む専門性を持ち、
・データモデリングに精通していて、
・泥臭くユーザーの方々に会いに行き、マーケ施策も打つ人…?

しかも、これらの取り組みはまだまだ試行錯誤中。各メンバーが試し、手応えを得て、1つずつプラクティスに落とし込んでいるところです。まさに事業であり、組織を作っている最中で、裁量も大きいですが、チャレンジも大きいです。

これらを全部できるに越したことはないのですが、今チームで活躍しているメンバーにも凸凹はあります。チームメンバーのバックグラウンドとして、製造業の設計・開発・調達・品質等の方もいますが、SaaSのFS・CS、商社、ロボットベンチャー、EC、コンサル等、多様な業界から参画しています。

共通するのは「デカいことをしたい」「製造業を変革したい」という想い。
足りない部分をCSチーム内で、また部門を越えて補い合いながら一丸でお客様にサクセスを届けています。その過程で、メンバーの成長が見えるのが、私としては非常に嬉しいですね。サクセス!

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

キャディのEnterprise Customer Successでは、モノづくり産業のポテンシャルを解放し、日本発の爆速成長SaaS事業を作る仲間を募集しています!

少しでもご興味をお持ち頂けましたら、是非お気軽にカジュアル面談でお話しましょう!

もちろん、直接のエントリーも大歓迎です!

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