記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

【感想】劇場映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』

世界中で大ヒットした『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』のポストクレジットでほぼ予告編に近い映像が流された『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』
(以下、それぞれ『スパイダーマンNWH』『ドクター・ストレンジMoM』と記述します)

久々のサム・ライミ監督作品

まず、本作最大の注目ポイントは『スパイダーマン』三部作を手がけたサム・ライミが監督を務めるという点。
シリーズ1作目の『スパイダーマン』の公開は2002年5月なので、ちょうど20年前(!)
トビー・マグワイアやアンドリュー・ガーフィールドという歴代ピーター・パーカーを復帰させた『スパイダーマンNWH』に続く作品で今度は監督を引っ張り出してくるというファンサービス。
そういえば『スパイダーマン2』では「ドクター・オクトパス」の名前候補で「ドクター・ストレンジ」が却下されるシーンがありましたねw

ただ、これが楽しみワクワク全開だったかというとそうでもない。
いや、正直むしろ不安の方が大きかった。
というのもサム・ライミは『スパイダーマン3』以降ほとんど映画を撮ってないのである。

映画は2013年の『オズ はじまりの戦い』以来なので実に9年ぶり。
映画に絞らなければホラー系ジャンルのテレビドラマを何話か演出したことはある。

というかサム・ライミはルーツがホラー映画なのでむしろ原点に戻ったというべきか。

初期の代表作『死霊のはらわた』
(まさかのツイッタートレンド入りw)

そんなわけで「これだけブランクあってビッグバジェットのアクション大作映画を今さら撮れるのか…?」と。

結果は…公開日に「死霊のはらわた」がツイッターのトレンドに上がった事実が証明しているように、サム・ライミ節全開のホラーな仕上がり。
僕は前述の通り半分不安な気持ちで映画を見始めたので「なるほど!こう来たか!」とホクホクでしたw
誇張じゃなくワンダ=貞子www
そこそこ気持ち悪いシーンもありましたね。
サム・ライミに撮らせた意味がしっかり見えたという点は良かった。

ただ、MCU映画のファン層がこういう視点で楽しんでるかというと「え?昔のスパイダーマンの監督ってのは知ってるけど、別に過去作品は予習してないよ?」とミスマッチが起きる気も…
まぁゴリゴリのホラー映画ではないので途中退出したくなる人はさすがに少なそうだけど。
子供はもしかしたら泣くかもw

さらに本作は編集もスパイダーマン三部作と同じくサム・ライミの盟友ボブ・ムラウスキー。
スパイダーマン三部作でもちょくちょく見られた「次のシーンの映像が薄ら重なってくる」トランジションが今回も見られる。
序盤のニューヨークを舞台にしたガルガントス(シュマゴラス)との戦いも『スパイダーマン2』を彷彿させるし懐かしい。
(ただ、個人的にはあの編集それ自体は単に映像を重ねてるだけに見えてしまってあまり好みではない)

なのでサム・ライミ作品としては

作家性はバリバリ見られた。
ただ、それがノスタルジーを超えてMCU最新作に期待するものだったかと問われると…

といった感じ。

マルチバース設定と脚本

で、個人的に本作の評価がそこまで高くない理由が脚本。
正直『スパイダーマンNWH』で扉が開いて今後のMCUシリーズの鍵になっていくと思われるマルチバースの企画ありき。
それを説明して語ることに追われている内に2時間が終わった感。
映画全体がそれに振り回され気味なのが非常にもったいない。

ストーリーも「ワンダが追ってくる」「別の宇宙に飛ばされる」「魔術書を探す」の繰り返しだから、一見サクサク進んでるようで実は同じ所をグルグル回ってるような。

そこを補うはずのアクションもワンダが無双すぎて制約が無いからあまり面白いアクションになってない。
上空に浮かんだまま手から無尽蔵にビーム撃てちゃうので。
(ドクター・ストレンジvs.モルドの格闘戦は手錠のギミックや壁に囲われた狭い空間設計など制約が効いていて面白かったです)

ちなみに脚本は『ロキ』も手がけたマイケル・ウォルドロンという方。

正直『ロキ』も似た印象あったし、この方はマーベル・スタジオにとってはマルチバース説明請負人なのか?

この辺はマルチバースの基礎知識が観客に定着したと判断されたタイミングでスリム化されていくとしたら今はまだ過渡期なのかな。

『ワンダヴィジョン』の続編として

ある意味MCUファンにとって最も重要なのがこの部分でしょう。
本作は予告編の時点でワンダが出てくるのは確定しているので、必然的にドラマ『ワンダヴィジョン』の続編でもある。

そうなると避けては通れないあの件。

第5話のラストで世界中を大興奮させた後に最終回で急に梯子を外し、特に清算されないまま現在に至るあの件。

それはピエトロ・マキシモフのrecast
超ざっくり書くと

  1. MCU版でピエトロ・マキシモフを演じていたのはアーロン・テイラー=ジョンソン

  2. 20世紀FOX製作『X-MEN』シリーズで同役を演じていたのはエヴァン・ピーターズ(要は原作の同じキャラをそれぞれのシリーズで演じる役者がいた。まぁこれ自体は別に普通のこと)

  3. 『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で亡くなったピエトロが『ワンダヴィジョン』ではある方法により復活…と思ったら出てきたのは何とエヴァン・ピーターズ!

  4. マーベルと20世紀FOXがディズニー傘下になった頃から噂されていたMCUとX-MENのクロスオーバーが遂に実現!?と世界中が大騒ぎ

  5. しかし『ワンダヴィジョン』最終回で「単なる偽物(字幕はニセトロ)」という真実が明かされてあっさり退場

  6. ポカーン( ゚д゚)

という事件w
そして『ドクター・ストレンジMoM』の予告編に『X-MEN』シリーズのプロフェッサーXらしき人物が映っており「今度こそ!?」と話題に。
(声も完全にパトリック・スチュワート)

結論、今回も匂わせ止まりw

プロフェッサーXは確かに出てきた。
予告編にはギリ映ってなかったイルミナティの面々もサプライズで登場。
でも全員あっさりワンダもといスカーレット・ウィッチに殺されたw

まぁ「あの宇宙では弱すぎて死んだ」ということなのでしょう。
他の宇宙ではまだ生きてるわけで、今後絡んでくる説は濃厚と。

やはり登場シーンでは「うおおお!」とテンション上がりましたが、その後あっさり殺られてしまったので、またこのパターンか…とがっかりw

ちゃんと伏線回収というか清算される日は来るのだろうか…w
何か製作サイドが匂わせて煽ってファンが「ネタバレ厳禁!サプライズ満載!」みたいに過激化していくのってあまり健全ではないと思うんだよなぁ。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?