林昌弘,Masahiro Hayashi

IT企業で働く会社員(投稿内容は個人の見解であり、勤務先の立場・戦略・意見を代表するも…

林昌弘,Masahiro Hayashi

IT企業で働く会社員(投稿内容は個人の見解であり、勤務先の立場・戦略・意見を代表するものではありません)

最近の記事

【感想】劇場映画『ぼくのお日さま』

映画が始まってすぐ驚くのはスタンダード画角(アスペクト比が4:3)であること。 そういえば今まさに劇場公開中の山中瑶子監督の『ナミビアの砂漠』や約1年前に公開された加藤拓也監督の『ほつれる』もスタンダード画角だった。 何か日本映画界の若手監督の間でスタンダード回帰運動でも起きているのか? ポッドキャスト番組『宮司愛海のすみません、今まで黙ってたんですけど…』で奥山大史監督はこう語っている。 なんというフェティシズムw でもテレビ好きには「わかる!」という人も多いのでは?

    • 【感想】Apple TV+ドラマ『窓際のスパイ』シーズン4第1話

      2022年4月からApple TV+で配信されているドラマ『窓際のスパイ』 そこから同年の後半にシーズン2、2023年にシーズン3、2024年9月からシーズン4というハイペースでシリーズ継続中。 原作はハヤカワ文庫から翻訳版が出ているイギリスのスパイ小説 遂にシーズン4からは未翻訳の巻に突入 今年のエミー賞のドラマ部門にノミネートして世間的・批評的な評価も追い付いてきた感があるけど、2023年初頭の時点でパク・チャヌクが絶賛していた。 さらに書籍『韓国ドラマを深く面白

      • 【感想】フジ水10ドラマ『新宿野戦病院』第9話

        新宿野戦病院テレビのニュースを見た啓三(生瀬勝久)が言う。 クドカン、ここから残り数話で何を描く気だ…!? 衝撃と戸惑いの中で第9話は終わっていった。 思えばこのエピソードは変な回ではあった。 治療シーンは全て回想(カンファレンスの報告という設定) リアルタイム作劇の緊張感は無い。 横山(岡部たかし)の台詞でみんな笑っちゃってるアドリブと思しき場面もw 一応(?)カスハラが描かれてはいるが、ヨウコ(小池栄子)が啖呵を切るまでもなく何かぬるっと解決。 カスハラ加害者の星崎

        • 【感想】劇場映画『ラストマイル』

          野木亜紀子の脚本ヤマザキではなくヤマサキ このギミックが出てきたとき思わずニヤリとしてしまった『アンナチュラル』『MIU404』のファンも多かったに違いない。 このシリーズはずっと「名前」というモチーフで貫かれてきた。 『アンナチュラル』の第1話はタイトルからして「名前のない毒」なわけだが、その冒頭まさにドラマが始まった第一声の会話がこちら。 このシーン自体は花粉症や化学物質過敏症というそれっぽい具体例を交えながら合コンを「異性間交流会」と呼びたいというコミカルなシーン

        【感想】劇場映画『ぼくのお日さま』

          【感想】Nintendo Switch『デイヴ・ザ・ダイバー』

          昨年末にTBSラジオ『アフター6ジャンクション2』で2023年間ベストゲームの1本として紹介されて気になっていた『デイヴ・ザ・ダイバー』 ※14分35秒頃から パンサー向井も自身のラジオで大ハマりしてると喋っていた。 正月旅行先でw 年末年始の怠惰にかまけて結局スルーしていたのだが、お盆休みにやるゲームを何の気なしに探していたらNintendo Switch版が30%OFFセール中なのを偶然見つける。 ※2024/8/18(日) 23:59まで 海が舞台みたいだし

          【感想】Nintendo Switch『デイヴ・ザ・ダイバー』

          【感想】小説『地面師たち ファイナル・ベッツ』

          7/25(木)に全話一挙配信されるや快調にヒットを飛ばしているNetflixドラマ『地面師たち』 僕も大いに楽しみました。 しかし、皮肉にもこのヒットに隠れてしまった感があるのが原作小説の続編『地面師たち ファイナル・ベッツ』 (ドラマ配信の翌日に発売) とはいえ、自分も正直読む前は面白いのかどうか半信半疑だった(ごめんなさい🙏) それは地面師詐欺の手口が原理的になりすましの一択だから。 続編は前作とは違うまた新たな切り口!みたいな期待に応えるのはなかなか難しいのではな

          【感想】小説『地面師たち ファイナル・ベッツ』

          【感想】Netflixドラマ『地面師たち』

          2017年、積水ハウスが騙されて五反田の土地を詐欺師から55億円で“買った”という事件が起きた。 その事件をモデルにして新庄耕が書いた小説『地面師たち』 ドラマの配信に合わせるよう続編が発売 まだ読めてないけどこちらも楽しみ。 第1作の出版前から積水ハウスの事件を元ネタに映画・ドラマを作れないかと考えていた大根仁監督が書店でこの小説を見つけ、自ら企画を立ち上げてNetflixに持ち込んだそう。 そんな経緯で作られた本作は原作のプロットを活かしつつもオリジナル要素が多

          【感想】Netflixドラマ『地面師たち』

          【感想】劇場映画『デッドプール&ウルヴァリン』

          2021年2月、MCUフェーズ4の幕開けにして世界中を熱狂させた『ワンダヴィジョン』のピエトロ・マキシモフのrecast MCU版でピエトロ・マキシモフを演じていたのはアーロン・テイラー=ジョンソン 20世紀FOX製作『X-MEN』シリーズで同役を演じていたのはエヴァン・ピーターズ(要は原作の同じキャラをそれぞれのシリーズで演じる役者がいた) 『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』で亡くなったピエトロが『ワンダヴィジョン』ではある方法により復活…と思ったら出てきた

          【感想】劇場映画『デッドプール&ウルヴァリン』

          【感想】Nintendo Switch『SCHiM - スキム -』

          例によって(?)任天堂のインディーワールドで見つけたこのゲーム。 要は子供の頃にみんなやったことある影踏み遊びみたいなことか? でもそのアイデアだけでゲーム1本持つのか…? この心配は半分当たって半分外れた。 アクション×パズルとでも呼ぶべきか、影から影へと飛び移るのは確かに楽しいのだが後半になると単調に陥るのは否めない。 ギミックの幅を持たせようとする意志は伝わってくるのだが、いかんせんそもそもが一点突破のアイデアなので。 ステージのバリエーションもそこまであるわけでは

          【感想】Nintendo Switch『SCHiM - スキム -』

          【感想】FXドラマ『一流シェフのファミリーレストラン』シーズン3

          The Bear a.k.a.一流シェフのファミリーレストラン シーズン2の感想はこちら↓ 今年1月にシーズン1がエミー賞10冠を達成 シーズン2は(奇しくもシーズン3の日本配信の翌日に)23部門ノミネート まぁ今回ばかりは『SHOGUN 将軍』の25部門ノミネートにかき消されているけどw 下馬評だとドラマ部門は『SHOGUN 将軍』でコメディ部門は『一流シェフのファミリーレストラン』シーズン2が本命っぽいな。 個人的には『窓際のスパイ』や『マーダーズ・イン・ビルディ

          【感想】FXドラマ『一流シェフのファミリーレストラン』シーズン3

          【感想】HBO×A24ドラマ『シンパサイザー』

          HBOとA24の共同製作 ショーランナーはパク・チャヌク 原作はピュリッツァー賞とアメリカ探偵作家クラブ賞を受賞した傑作小説 ロバート・ダウニー・Jr.が重要な役どころで出演 エピソード監督の中にはフェルナンド・メイレレスの名前 これだけ条件が揃って、しかも北米放送の時点で絶賛が相次いでいるとなればU-NEXTで日本配信されたら観ないわけにはいかない。 信頼できない語り手原作はヴィエト・タン・ウェンの同名小説 ちなみに続編も出版されているが今回のドラマにはそちら

          【感想】HBO×A24ドラマ『シンパサイザー』

          【感想】小説『難問の多い料理店』

          宮沢賢治の『注文の多い料理店』を初めて読んだのは小学生の頃だったか。 導入部でワクワクしたものの結構怖いお話だったという感情の記憶(アンメット風の言い回し)はぼんやり残っている。 さて、そんな名作のパロディ的なタイトルの新刊を上梓したのは前著『#真相をお話しします』が話題となり本屋大賞にもノミネートされた結城真一郎。 マッチングアプリやYouTuberを題材にした現代的・近代的なミステリー短編集でした。 その作家性は新作にも受け継がれている。 あらすじはこんな感じ↓

          【感想】小説『難問の多い料理店』

          【感想】フジ月9ドラマ『海のはじまり』第1話

          脚本家・生方美久の新作 前作『いちばんすきな花』には不参加だった『silent』のチーフ演出・風間太樹監督を呼び戻している辺りに村瀬プロデューサーおよびフジテレビの本気度が伺えるような? 葬式に行った先で親を亡くした子供と出会って引き取るというプロット (ただし、初回時点では引き取るかはまだ決めておらず、恐らく引き取るのかどうか?も物語の中心的テーマになると思われる) 今パッと思い付くだけでも うさぎドロップ 海街diary 違国日記 といった作品の導入とやや似て

          【感想】フジ月9ドラマ『海のはじまり』第1話

          2024年上半期ドラマ10選+α

          映画10選はこちら ドラマの鑑賞数は25本でした。 (自分は民放地上波の日本のテレビドラマもネット配信の海外ドラマも両方フラットに並べて観ています) では、上半期ベスト10(順不同) 春になったらポーカー・フェイスSHOGUN 将軍寄生獣 -ザ・グレイ-ゾンビや家族、新興宗教といった作家性で換骨奪胎。 銃撃戦もカーアクションも『新感染半島』の時のモードの、やりすぎノリノリなヨン・サンホw 配信当日にイッキ見してラストで驚嘆 上で「換骨奪胎」と書いたが、原作と全然違う

          2024年上半期ドラマ10選+α

          2024年上半期映画10選

          テレビドラマ10選はこちら 映画の鑑賞数は54本でした。 ちなみに 哀れなるものたち オッペンハイマー の2本は昨年観て年間ベスト10に入れているので今回は対象外となっています。 では、上半期ベスト10(順不同) 違う惑星の変な恋人正直なところ有名で安牌な作品が多くなってしまった上半期10選だが、これは掘り出し物だった。 (まぁ去年の東京国際映画祭で上映されてるから映画好きにはとっくに見つかってるんだけどw) 今泉力哉作品(『街の上で』とか)を彷彿とさせるよう

          2024年上半期映画10選

          【感想】カンテレ月10ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』最終話

          いやはや最後の最後まで素晴らしかった。 第9話も第10話もクリフハンガーで終わり「ミヤビはどうなっちまうんだ!?」と思わせながら、それはあっさり片付ける構成。 一命は取り留めた所からスタート。 生死や記憶喪失をめぐるハラハラドキドキのサスペンスをやりたいわけではないという宣言にも受け取れる。 描きたいのはあくまでドラマであってシチュエーションではないのだと。 (ここでの「ドラマ」はテレビドラマというフォーマットの意味ではなく作劇の方の意味の「ドラマ」です) そこから食とい

          【感想】カンテレ月10ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』最終話