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パーツ的技術 レシピ

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調理テクニック紹介〈Spherification〉

調理テクニック紹介〈Spherification〉

分子料理っぽいテクニックを紹介するシリーズ。英語でSpherificationと呼ばれるこのテクニックを日本語に訳すると『球状化』になるでしょうか。身近なところでは人工イクラなどの製造に使われている技術で、エルブジが料理に応用したことで世界に広まりました。定着した日本語の訳語がまだないので、ここでは〈スフィア〉と呼んでいきます。

簡単に説明するとアルギン酸ナトリウムとカルシウムを反応させて、液体

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液体のラビオリ(冷凍逆球体化法)

液体のラビオリ(冷凍逆球体化法)

人工いくらの技術を応用した液体のカプセルを以前、紹介しました。〈調理テクニック紹介〈Spherification〉〉
今回、ご紹介するのは冷凍逆球体化法。同じようにアルギン酸液にカルシウムが入った液体を落とす逆球体化法を用いますが、事前に液体を冷凍させることで効率よくスフィアをつくる応用技術です。

液体(今回はオレンジジュース) 200cc
乳酸カルシウム 2g
キサンタンガム

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はちみつのキャビア

はちみつのキャビア

最新調理テクニック紹介。前回(「トランスグルタミナーゼを使った成形ローストビーフ」)では肉をくっつける接着剤を使ったテクニックを紹介しましたが、今回はつぶつぶ系です。

ハチミツのキャビア
 ハチミツ 50cc
 水 100cc
 寒天 1.5g
サラダ油(グレープシードオイルなどの精製油)

使用するゲル化剤は寒天です。

まずはサラダ油を200ccほど計量カップかコップに入れて、

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ハチミツのフィルム

ハチミツのフィルム

最新調理テクニック紹介。『はちみつのキャビア』に続いてアガー(寒天)を使ったフィルムというテクニックです。

アガーは日本人にお馴染みの寒天のこと。ゲル化力が強く常温でも固まります。液体に対して0.05%でゲル化がはじまり、0.1%〜0.15%では半ゼリー状に、0.2%からほぼゼリー状になることを頭に入れておきましょう。90℃未満で溶けるのですが、いったん沸騰させることで状態が安定します。冷ますと

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オブラートを使ったテクニック〈透明ラビオリ〉

オブラートを使ったテクニック〈透明ラビオリ〉

最新調理テクニック紹介シリーズ。エルブジのシェフ、フェランアドリアが日本から吸収した素材は柚子、寒天、そしてオブラートでしょう。一時期のエルブジのメニューにはオブラートを使った料理が並びました。今回はオブラートの基本的な使い方の一つ〈透明ラビオリ〉です。

オブラートは数種類のデンプンを水で糊状にし、シートに伸ばして170℃で熱したもの。アメリカなどでは「Edible Paper Obulato」

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最新調理テクニック紹介『黒ニンニクのキャラメル』

最新調理テクニック紹介『黒ニンニクのキャラメル』

最新調理テクニック紹介。今日はオブラート+新素材系のレシピ。はじめに書いておきますが「すごく美味しい」というレシピではないです。

新素材の黒ニンニク。黒ニンニクはニンニクを長時間加熱することで真っ黒くしたものです。時々『発酵させている』と書いてあるホームページがありますが、菌(微生物)が介在している反応ではない(どちらかというと酵素は関係あり)ので、それは誤りでしょう。

実はニンニクは野菜類の

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三つ星店風の野菜のラビオリ

三つ星店風の野菜のラビオリ

今日は野菜のラビオリ。ワンタンの皮を使うことで、具材である野菜の色が透けたきれいな仕上がりになります。パリの三つ星レストラン、アルページュでもワンタンの皮を使っているそうです。

野菜のラビオリ
ワンタンの皮 30枚
具材
新玉ねぎ 1個
バター 20g

グリーンピース 100g
バター 20g
キャベツ 四分の一
にんにく 半分
バター 20g
ミント

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最新調理テクニック紹介〈お米のクリスプ(ライスパフ)〉

最新調理テクニック紹介〈お米のクリスプ(ライスパフ)〉

一皿の食感(テクスチャ)にバリエーションを持たせることは現代料理のテーマの1つ。今回紹介するクリスプ(パフ)には魚介類や肉のタルタルに食感を足したり、野菜のピュレを絞る台として用います。

米  100g
水  400cc
味付け用の塩

米を水で煮て、お粥をつくります。余ったご飯でも同様につくることができます。

冷ましておくと作業が楽です。煮る液体を変えれば違う風味をつけることもできます。(例

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最新調理テクニック紹介『焼葱の土』

最新調理テクニック紹介『焼葱の土』

最新調理テクニック紹介。ここ数年、情景を表現する料理が増えたこともあり、土を模した料理(のパーツ)が増えました。(ティラミスを作ったときの植木鉢に使ったチョコレートの土もそうですね)今日、紹介するのは『焼葱の土』です。

とりあえず土だけでは料理にならないので、用意したのは牛すね肉(黒毛和牛) 500g。真空パックにして湯煎にかけます。スチームコンベクションオーブンがあればそちらでもOK。

いつ

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最新調理テクニック紹介『温かいゼリー』

最新調理テクニック紹介『温かいゼリー』

久しぶりの最新調理テクニック紹介です。

温かいゼリーはエルブジが発明したテクニック。冷たいはずのゼリーが温かいという意外性の料理ですが、秘密は簡単。 凝固剤にゼラチンではなく、粉寒天を使うのです。

温かいゼリー
紅茶(市販品) 300cc
粉寒天 2g

今は温かいゼリーというとジェランという凝固剤を使うことが多いのですが、フェランアドリアたちも最初は凝固剤として寒天を使っていまし

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卵黄の塩漬け(フェイクからすみ)

卵黄の塩漬け(フェイクからすみ)

久しぶりの最新調理テクニック紹介。今日は卵黄の塩漬けです。

塩125gとグラニュー糖25gを用意します。

蓋ができる容器を準備し、塩と砂糖の混合物を敷きます。卵で卵黄が座る場所をつくり……

卵黄を並べます。

上から振って、冷蔵庫で3日〜4日置き、水分を抜きます。

4日経った状態がこちら。かなり水分が抜けているのがわかります。

表面を水で洗います。

また、3日程度、冷蔵庫で乾燥させます

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不思議な赤いゆで卵~恐竜の卵風~

不思議な赤いゆで卵~恐竜の卵風~

海外で最新調理テクニックとしてよく紹介されるのが半熟卵です。日本ではラーメン屋さんの味玉でお馴染みなので珍しくもないのですが、半熟の卵はModernist cuisineでも紹介されています。外国人には新鮮みたいです。

ところがModernist cuisineのレシピをそのままやってもどうしても上手くいきません。(卵の大きさの違いなど色々あるのです)そこで彼らのレシピをベースに微調整したバ

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オブラートを使ったテクニック〈極薄オパリーヌ〉

オブラートを使ったテクニック〈極薄オパリーヌ〉

最新調理テクニック紹介シリーズです。オブラートはエルブジによって発見され、世界のガストロノミー料理に使われている日本発の素材。今日はオパリーヌという薄い飴をつくるテクニックを進化させた極薄オパリーヌをつくります。オリジナルの考案者はエルブジの開発スタッフだったオリオール・カストロ。

まずは中性キャラメルという基本の飴をつくります。ちなみにオパリーヌとは乳白色のガラスのこと。フォンダン140gと水

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カリフラワーのピュレ

カリフラワーのピュレ

ソース代わりに活躍するカリフラワーのピュレの作り方をご紹介します。

カリフラワーのピュレといえばパリの二つ星、passage53の佐藤伸一シェフのスペシャリテ、イカとカリフラワーが有名です。これはカリフラワーを茹でてから大量のピーナッツオイルと一緒にミキサーにかけてマヨネーズ状にしたものとさっと火を通したイカを組み合わせた料理。大量のピーナッツオイルを混ぜ込んで乳化させるところに特徴があり、ナッ

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